ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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2020年上半期アメリカーナ・ベスト・アルバム その1

2020-07-22 23:38:36 | カントリー
Logan Ledger / Logan Ledger

作品はゆったりとした「Let the Mermaids Flirt With Me」から始まる。アコギを弾き語るローガン・レジャーなる男の歌声に、これから始まるストーリーへといざなわれていく。ジェイ・ベルローズとデニス・クロウチによるまるで緩やかな波のように心地良いリズム。そこにマーク・リボーの甘味なエレキ・ギターとラス・パールのスティール・ギターが交差する。最高だ!

カリフォルニア出身のカントリー・シンガー、ローガン・レジャー のデビュー・アルバム。正直、この人のことはよく知りません。ですがこのデビュー作がすこぶる良い! まずは彼の歌声。若々しく艶やかな響きを持ったそれは、懐かしきカントリーの輝きを纏いながらもどこかダークなトーンを持ち、ほのかな色気を滲ませつつ、孤独で、厭世的で、そしてロマンティックだ。ただただその歌声に包み込まれていきそうになる。そして陰影の深い風景や、何かしらのストーリーすら感じさせるようなバックの演奏、その音響が素晴らしい。それもそのはず、プロデューサーはかのTボーン・バーネット。そしてジェイ・ベルローズ(ds)にデニス・クロウチ(b)という最高のリズム隊。さらに鬼才マーク・リボーのギターが幽玄な響きで彩る。この人達がモダン・ルーツ・ミュージックに果たした役割っていうのはもう説明不要でしょう。例えば、2007年にTボーン・バーネットがプロデュースし、グラミー賞を席巻したロバート・プラント&アリソン・クラウスの「Raising Sand」、このアルバムでバックを務めた主要メンバーがこの人達だった、と言えばそれで十分ですよね。さらに随所で麗らかなペダル・スティール・ギターを奏でるのは、ラス・パール。この人もこれまで数多のアーティストをサポートしてきた名手ですが、近年ではケイシー・マスグレヴスの諸作が知られるところ。

ナッシュビルのハウス・オブ・ブルース・スタジオで録音。全11曲中、9曲がローガン・レジャーの作曲もしくは共作。オープニングの「Let the Mermaids Flirt With Me」や、「The Lights Of San Francisco」、「Tell Me A Lie」など、緩やかなリズムの曲でのドリーミー味わいは至極。軽快なロカビリー調「Starlight」や、Tボーン・バーネット作による「(I’m Gonna Get Over This) Some Day」、サーフなフレーズを交えたマーク・リボーのフリーキーなギターが駆け抜ける「Electric Fantasy」など、アップテンポな曲も良い。翳りのある陰影の濃いアレンジが印象的な「Nobody Knows」も秀逸。唯一のカヴァー「Skip A Rope」は、ヘンソン・カーギルが1968年にカントリーチャートのトップに送り込んだヒット曲。いやはや、最高だ!

聴き始めた当初は、王道なカントリーに聴こえるかもしれない。ですが聴けば聴くほど新鮮な、新しい音楽に聞こえてくる。マーク・リボーとTボーン・バーネットによるエッジーなギターの鳴り、スウィンギーなリズム、浮游するスティール・ギター、そして明暗が表裏一体のように響くローガン・レジャーの歌声。それらが対比し、混ざり合う。

何度でも言おう、最高だ!



ロレッタ・リンの平癒を願って

2017-05-08 23:59:14 | カントリー
LORETTA LYNN / VAN LEAR ROSE


5月4日の夜、カントリー界を代表する歌姫の一人、ロレッタリンが、脳卒中のため、ナッシュビルの病院に入院されたそうです。意識はあり、完全な回復が見込まれているとのことですが、心配ですね。彼女はこの4月に85歳になったばかりでした。しかも彼女のサイトを見てみると、そのご高齢をものともしないように、5月以降も11月までライヴ・スケジュールが組まれておりました。療養中は全て延期になるだろうとのことですので、1日も早く回復し、元気な姿を見せて頂きたいものです。また、昨年の「FULL CIRCLE」に続くニューアルバムが、今年8月に予定されているそうです。





*写真はロレッタ・リンの04年作。プロデュースはジャック・ホワイト。ロレッタ・リンはこの時、既に70歳を超えてるはずですが、とてもそうとは思えない、まだ可憐さすら残る瑞々しい歌声がジャックのアレンジに映えまくる傑作です。ジャックがエレキ・ギターはもちろん、アコギ、オルガン、ピアノ、パーカッションとマルチに活躍するなど、彼のプロデュース作としての個性を発揮しつつ、カントリーらしい華やかさに溢れたロレッタの歌声が圧倒的な存在感を放ちます。04年度のグラミー賞において『Best Country Album』部門を受賞。またロレッタとジャックによるデュエット曲「Portland Oregon」も同『Best Country Collaboration With Vocals』を受賞。


ロレッタ・リンの1日も早い平癒を願っています。

グラミー賞 ノミネート 『Best Americana Album』

2017-02-09 20:05:41 | カントリー
Kris Kristofferson / The Cedar Creek Sessions

「ルーツな日記」的グラミー特集、前回は『Best Folk Album』部門を取り上げましたが、今回はそちらといまいち線引きがよく分からない『Best Americana Album』部門です。気になるノミネート作は以下の5作品。

The Avett Brothers / True Sadness
William Bell / This Is Where I Live
Kris Kristofferson / The Cedar Creek Sessions
Lori McKenna / The Bird & The Rifle
The Time Jumpers (Vince Gill) / Kid Sister


注目は2016年6月22日に80歳になったクリス・クリストファーソン。そのバースデーを祝うかのようにリリースされたのが、まるで彼の長い活動歴の回顧録のような作品「The Cedar Creek Sessions」です。テキサス州のシーダークリーク・スタジオにて、2014年の6月23日、24日、25日の3日間に渡って録音されたという2枚組、25曲。 Tamara Saviano とShawn Camp のプロデュース。Tamara Saviano は、過去にスティーヴン・フォスターのトリビュート・アルバム「Beautiful Dreamer: The Songs of Stephen Foster」でグラミー賞を受賞しているプロデューサー。Shawn Camp は数々のカントリー/フォーク系の作品にギタリスト、ソングライターとして名を連ねる方で、個人的にはジェリー・ダグラスの The Earls Of Leicester でのギタリスト/シンガーとしての活躍が印象的。

そしてバックを務めるのは、その Shawn Camp(Guitar)を始め、Kevin Smith(Bass)、Michael Ramos(Keys)、Mike Meadows(Drums)という布陣。さらに Overdubs として Lloyd Mains(Steel, Slide and Mandolin) 、Fred Memmers (Keys) とのクレジットがあります。Lloyd Mains は、ディキシー・チックスのリードシンガー、ナタリー・メインズのお父さんですね。

何はともあれ、クリス・クリストファーソンの人間味溢れる歌声が素晴らしい。それはおよそ80年という年輪を感じさせる深くも渋い響きであり、柔らかくて、暖かくて、優しくもある味わい。リズムに付かず離れずの愛らしいフィーリングがまた、なんとも土臭さくて良いんでよ! もちろん楽曲も最高ですよ。全てクリス・クリストファーソン自身の作曲もしくは共作。

70年のデビュー作「Kristofferson」から「The Law Is For The Protection Of The People」、「Duvalier's Dream」、「Sunday Mornin' Comin' Down」、「To Beat The Devil」、「Me And Bobby McGee」、「Help Me Make It Through The Night」、「Casey's Last Ride」、「Darby's Castle」、「For The Good Times」と、9曲も選ばれているのが嬉しい。

特に彼を代表する楽曲「Me And Bobby McGee」の味わいは堪らないものがありますね。私が初めてクリス・クリストファーソンの曲を聴いたのはこの曲でして、もちろんそれはジャニス・ジョプリンが歌っていたんですけどね。そして私はジャニスの曲の中で「Me And Bobby McGee」が一番好きで、そこからオリジナルを探してという経緯だったので、ここで、新作として聴くクリス本人によるセルフ・カヴァーは、感慨深いものがありますね。

ジョニー・キャッシュで知られる「Sunday Mornin' Comin' Down」。幾人もに歌い継がれる名バラード「Help Me Make It Through The Night」。近年にノラ・ジョーンズがリトル・ウィリーズで歌ったのも素敵だった「For The Good Times」。名曲の数々が心に沁みる。

71年の2nd作「The Silver Tongued Devil And I」からの「Jody And The Kid」や「Loving Her Was Easier (Than Anything I'll Ever Do Again)」も良いですね。心地よいカントリーフレイバーでしっとりと寄り添うバックの演奏にも舌鼓。78年の「Easter Island」収録の「Lay Me Down And Love The World Away」は軽快なリズムにペダル・スティールが最高! ブルージーな味わいの「The Sabre And The Rose」は低く唸るようなクリスの歌声と、アコギとオルガンの絡みが秀逸。

ジョニー・キャッシュとジューン・カーター・キャッシュのデュエットで73年にヒットした「The Loving Gift」では、唯一のゲストとしてシェリル・クロウが参加し、クリスとスウィートなデュエットを披露。ちなみにこの曲、これまでクリスは公式には録音していない曲だとか。


2枚組というボリュームながら、聴けば聴く程に深みが増す作品。良い曲、良い歌。クリス・クリストファーソンにしか出せない味わいです。




さて、対抗は? それはウィリアム・ベルでしょう! ま、あまりメリカーナで語られる人じゃないですけどね…。





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グラミー賞 ノミネート 『Best Folk Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Roots Gospel Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Traditional R&B Performance』
グラミー賞 ノミネート 『Best R&B Performance』
グラミー賞 ノミネート 『Best Urban Contemporary Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Traditional Pop Vocal Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Rock Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Rock Performance』
グラミー賞 ノミネート 『Best Rock Song』
グラミー賞 ノミネート ビヨンセ!!

グラミー賞 ノミネート 『Best Folk Album』

2017-02-08 23:27:19 | カントリー
SARAH JAROSZ / UNDERCURRENT

グラミー賞授賞式が間近に迫ってまいりました。グラミー特集も佳境です。今回は『Best Folk Album』部門。気になるノミネート作は以下の5作品。


Judy Collins & Ari Hest / Silver Skies Blue
Robbie Fulks / Upland Stories  
Rhiannon Giddens / Factory Girl
Sierra Hull / Weighted Mind
Sarah Jarosz / Undercurrent


注目はサラ・ジャローズとシエラ・ハル。どちらもブルーグラスをベースに10代でデビューした才女。しかもどちらも1991年生まれの同い年。その2人が昨年リリースした最新作は、それぞれブルーグラスの枠にとらわれない自由な音楽表現で聴く者を魅了して止まない傑作となりました。まさにフォーク・ミュージックの未来を担う2人。ではどちらをこの部門の本命に挙げるか? どちらも!と答えたいところですが、やはり「ルーツな日記」といたしましては、デビュー時から推しているサラ・ジャローズなのです!!

テキサス出身のサラ・ジャローズ。09年にSugarhillから「Song Up in Her Head」でアルバム・デビュー。新人ながらグラミー賞『Best Country Instrumental Performance』部門にノミネートされ、受賞こそならなかったものの、その早熟の天才振りを印象づけました。そんなサラ・ジャローズの通算4作目のスタジオ・アルバムが「Undercurrent」です。

彼女のこれまでの作品は、ジェリー・ダグラスやスチュアート・ダンカン、ダレル・スコット、クリス・シーリー等々、豪華な名手達が曲ごとに入れ替わり立ち替わりでバック・アップしていましたが、今作はオーストラリア出身のシンガーソングライター、ジェッド・ヒューズ(g)、ベラ・フレックやニッケルクリークとの活動でも知られるマーク・シャッツ(b)の2人を中心にシンプル且つコンパクトな演奏で纏められています。プロデュースはサラ自身と Gary Paczosa(ゲイリー・パチョーザと読むのでしょうか?)。この方はアリソン・クラウス、ディキシー・チックス、ニッケルクリーク等のエンジニアを務め、これまでに9個のグラミーを受賞している偉人で、サラとはデビュー作以来、4作連続でプロデューサーを務める関係。

サラ自身の弾くアコギだけをバックに歌う1曲目「Early Morning Light」の、まるで朝の陽光のように清々しい音色と、柔らかくも凛とした彼女の歌声を聴き、これぞサラ・ジャローズ!!と嬉しくなりましたね。サラがオクターブ・マンドリンを弾き、ジェッドとマークがサポートする「House Of Mercy」で陰影あるブルージーな味わいを醸せば、サラの巧みなフィンガーピッキングが印象的な「Everything To Hide」ではトラディショナルなフォーク・スタイルを聴かせてくれる。ゆったりとしたリズムの上で何処か寂寞としたサラのヴォーカルが秀逸な「Back Of My Mind」では、ジェッドのエレキ・ギター、ルーク・レイノルズのペダル・スティールがアメリカーナの幽玄に誘う。近年アメリカーナ界隈で話題のシンガーソングライター、パーカー・ミルサップとサラの共作になる「Comin' Undone」は、土臭いグルーヴとティム・ロウアーのオルガンが良い塩梅。サラの寂し気なバンジョーに導かれる「Lost Dog」の孤独感を感じさせるようなサラの歌声も滲みる。フォーキーな質感と柔らかいメロディーに酔う「Take Me Back」はサラとジェッドによる人肌のハーモニーが美しい。サラとイーファ・オードノヴァンの共作「Still Life」には、イーファはもちろんフィドルでサラ・ワトキンスも加わりアイム・ウィズ・ハーの揃い踏み。

曲ごとにギター、マンドリン、バンジョーを持ち替えるサラ・ジャローズ自身も含め、的確且つシンプルなバックの演奏。その瑞々しくもフォーキーな音色を引き締めるマーク・シャッツの低音ライン、スパイスのように響くジェッド・ヒューズのエレキ・ギター。そしてメロディーに寄り添うように表情を変えるサラ・ジャローズの歌声。そして何と言っても曲が良い! メロディーが良い! これまでのサラ・ジャローズというと、豪華なゲスト陣もあって、新世代ブルーグラスとか、ブルーグラスの進歩形としての印象が強かったのですが、今作は純粋に歌物作品として素晴らしい。まさに、シンガーソングライターとして飛躍を遂げた傑作と言って良いでしょう。

前作「Build Me Up From Bones」では 『Best Folk Album』と『Best American Roots Song』の2部門にノミネートされたサラ・ジャローズ。ですが残念ながら受賞を逃しているので、今年こそは獲ってほしいものです。ちなみに今年は『Best Folk Album』と『Best American Roots Performance』の2部門にノミネートされています。そして本作「Undercurrent」により、エンジニアを務めたGary Paczosa、Shani Gandhi、Paul Blakemore の3人が『Best Engineered Album, Non-Classical』部門にノミネートされています。




SIERRA HULL / WEIGHTED MIND
そしてサラ・ジャローズが本命なら、対抗はもちろんシエラ・ハル。10歳で自主制作によりデビュー・アルバムをリリースしたブルーグラスの天才マンドリン少女もいつしか20歳を超え、音楽的な成熟がさらなる飛躍をもたらした最新作が「Weighted Mind」。デビュー時から独自の音楽性を培ってきたサラ・ジャローズに比べ、シエラ・ハルはもっとブルーグラス然としたスタイルを踏襲してきました。そのシエラ・ハルがメジャー3作目にして開いた扉、プロデューサーにベラ・フレックを招き、基本的にベーシストのEthan Jodziewicz(イーサン・ジョズィウィックと読むのでようか?)とのデュオ作という新境地。ユニークな曲群とマンドリン&ベースによる刺激的なアンサンブル。ブルーグラスから一皮剥けて小悪魔的な魅力すら醸す歌声。それらが不思議な雰囲気を醸す。これはブルーグラスの、マンドリンの新たな可能性。見事です。ゲストにアリソン・クラウスやリアノン・ギデンスも参加。


はたしてどちらが受賞するか?

もちろん、60年代にグリニッジ・ヴィレッジで愛されたジュディ・コリンズと若手シンガーソングライターとの美しいデュエット作や、アウトローなオルタナ・カントリーを味合わせてくれるロビー・ファルクスの新作、そしてキャロライナ・チョコレート・ドロップスからソロで大躍進中のリアノン・ギデンスのEPと、どれが受賞してもおかしくない大激戦区なんですけどね。




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グラミー賞 ノミネート 『Best Roots Gospel Album』
グラミー賞 ノミネート 『Best Traditional R&B Performance』
グラミー賞 ノミネート 『Best R&B Performance』
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グラミー賞 ノミネート ビヨンセ!!

パンチ・ブラザーズ@ブルーノート東京

2016-08-07 20:58:36 | カントリー
8月4日、ブルーノート東京にてパンチ・ブラザーズを観てまいりました。新世代ブルーグラスの旗手として、現行アメリカーナを代表するバンドの待望の初来日公演です。私が観たのはこの日の2ndショー。ミーハー魂を炸裂させて最前列ど真ん中で堪能させて頂きました。

まず会場に入って驚いたのが、ステージにはアンプはもちろんモニターすらない、ただ中央前方に1本のマイクがあるのみ。1本のマイクが歌やハーモニーはもちろん各楽器の音も全て拾うのでしょうか? 座席案内のお姉さん曰く「前方のお客様の呼吸の音すら拾ってしまう程、高性能なマイク」だそう。そのマイクのほぼ目の前の席に座った私、流石にちょっと緊張してしまいましたね〜。

さて、開演時刻となり照明が落ちると、拍手喝采に迎えられたメンバーが、各々の楽器を持ってステージに登場。現行アメリカーナ・シーン最重要人物の一人、クリス・シーリー(マンドリン)を中心に、ゲイブ・ウィッチャー(フィドル)、ノーム・ピクルニー(バンジョー)、クリス・エルドリッジ(ギター)、ポール・ コート(ベース)の5人。5人ともスーツにネクタイでビシッと決めつつ、ジャケットは着てたり着てなかったリというラフな感じがまたオシャレ。フィドルのゲイブ・ウィッチャーなんてベストにハンチング、そしてオレンジ色?っぽいパンツでしたからね、なかなかスタイリッシュなメンバー達であります。

彼らが1本のマイクの前に集まり、始めた1曲目は「Another New World」。いきなり陰影の濃いアメリカーナでスタートです。クリス・シーリーの歌も、メンバー達が奏でる弦楽器のアンサンブルも、驚く程に情緒豊か。パンチ・ブラザースというと、テクニカル且つプログレッシヴな先鋭性が注目されがちですし、かくいう私もそう思っておりましたが、いやいや、このバンドの本質は人間味溢れる楽曲表現にある!と思いを新たにさせられる程、その溢れんばかりの表現力にグイグイと引き込まれて行きました。終盤の、悲しみが募るように折り重なる弦の響きがまた見事でしたね。

また1本のマイクを囲むように演奏するそのスタイルも鮮やか。1曲のなかでその輪を縮めたり、広げたり、各々がマイクに近づいたり遠ざかったり、ごくごく自然な動きながらライヴ感に溢れ、アコースティック編成による生身の音楽という旨味をたっぷりと味あわてくれる。愛らしいワルツのリズムとちょっぴりセンチメンタルなメロディーが素敵な「Next to the Trash」では、朗らかながら憂いを持ったクリス・シーリの歌声も印象的でしたが、マイクを囲んでいたメンバー達が突然ワルツに併せて左右にステップを踏み始めたのには驚きました。そしてそんな遊び心がさらに楽曲の世界感へトリップさせてくれるんです。

もちろん、パンチ・ブラザーズならではの新世代感も強力でした。プログレッシヴ・ブルーグラスなどと評されるその音世界。そもそも「Next to the Trash」だって変拍子ですし、それぞれ楽曲1曲の中でめまぐるしく展開しつつ、圧倒的な技量で駆け抜けて行く。典型的なブルーグラス編成でありながら、ブルーグラスではない”何か”に進化した彼らの音楽。まるでクラシックのようにエレガントであり、ロックのように野性的。

後方から低音グルーヴを提供するポール・ コート。卓越した速弾きを駆使してブルーグラスの先へ誘うかのようなクリス・エルドリッジのギターとノーム・ピクルニーのバンジョー。まるで室内楽のような洗練を与えるゲイブ・ウィッチャーのフィドル。そして全体を統率しつつ、人間離れしたテクニックと、身振り手振りを交えた圧倒的な表現力で異次元を魅せてくれるクリス・シーリーのマンドリン。メンバーそれぞれが化け物的なレベルでありながら、どこか爽やかに、気持ち良くアンサンブルを編み上げいく。そもそも1本のマイクに向かった距離感とフォーメーションで音の厚みをコントロールしてる訳ですから、それだけでもとんでもない世界ですよね〜。

1曲目からラストまで、初めて見るパンチ・ブラザーズの圧倒的な音楽表現に身も心も浸かりっぱなしでしたが、白眉は最新作からの「My Oh My」でしょうか。まるで小曲を継ぎ合わせたような不思議な展開が連続するこの曲、ファルセットを駆使するクリス・シーリーの歌声にメンバーが合わせるハーモニーも素敵でしたし、弾力抜群のクリスのマンドリン・ソロにもやられました。そしてそれらを含みつつ目まぐるしい展開から生まれる曲風景の見事さ。やっぱりパンチ・ヴラザーズの魅力はここにありますよね〜。

終盤にやった「Rye Whiskey」も格好良かった。最後のコーラス部分なんて、スキャット風でなんて言ってるのかいまいちよく分からないのですが、ついつい一緒に歌っちゃいましたから。やはりクリス・シーリーのどこか人懐っこくも熱いキャラがジワジワと観客との距離を縮めて行った感はありましたね。それにしても彼のフロントマンとしての統率料は見事でしたね。あくまでも音楽ありきというストイックな姿勢を感じさせつつ、エンターテイナーとして魅せる部分や観客を煽る部分、その塩加減も絶妙でした。


アンコールはケルティックなアカペラ・コーラス曲「The Auld Triangle」。これも素晴らしかった!! もちろん1本のマイクをメンバー全員が囲んで歌うんですが、そのハーモニー、特に低音と高音の響きが絶品でした。ただただうっとりでしたよ。アンコールにこんな曲を持ってくるパンチ・ブラザーズ、なんて素敵なバンドなんでしょう!!最後にやった「Julep」も滲みました〜。


いやはや、本当に素晴らしいステージでした。間違いなく年間ベスト級です。こういうバンドが初来日な訳ですから、日本ではアメリカーナの本質って、まだまだ全然伝わってないんだな…。としみじみ感じさせられました。だって、このパンチ・ブラザーズもCDで聴くのと生で体験するのとではまったく別物と言っていい程、その印象は違いましたからね。正直、難解すぎたらどうしよう?みたいな不安も有ったんです…。ですが、まさか、これほど人間味に溢れた、情緒豊かな音楽表現をするバンドだったとは!! まるで何かの物語を語るかのように音を紡ぎ、刻々と移ろい行く情景を魅せてくれるようなそのステージは、まさに至福の音楽体験でした。もちろんテクニカルな面も凄かったですよ。その技量有っての表現力ですしね。インスト曲でのソロの応酬も堪らないものが有りましたし。ブルーグラスを超越しながらも、しっかりとブルーグラスらしさも聴かせてくれて嬉しかった!!先鋭だけではない、圧倒的な深みを体感させてくれたパンチ・ブラザーズ!これが現行アメリカーナ!!



最後に、自慢話を。私は入場整理番号2番だったのですが、1番の方がマイクに向かって左側の一番前、そして2番の私が右側に座ったのですが、おそらくこの2席だけが味わえる、最前列ど真ん中。これは本当にミラクルな席でした。私はミーハーなので、恥ずかしながら過去に何度も最前ど真ん中を味わって来ているんですが、この日程それを堪能したことはありませんでした。最前列の特権は誰よりも近くでアーティストを観れることですが、パンチブラザーズはそれだけでは有りません。まずブルーノートの最前列って、ほとんどステージと密着する程の近さなんです。なので、例のマイクがほぼ目の前にある。もちろんそのマイクを囲むメンバー達も近い。囲むと言っても観客側は開けている訳で、その開けた先に最前列ど真ん中が有る訳です。これは凄いですよ!ライヴ中、何度もメンバー達と供にマイクを囲っている錯覚に襲われるんです。自分がパンチブラザーズの輪の中に居るような錯覚。そしてそれはその音楽の中に入り込むような錯覚に変わって行く。これはとんでもない体験でしたね。本当にミラクル体験。今思い出してもゾクゾクしちゃいます。

すいません。最後にこんな極々少数派の自慢話でごめんなさい。でも本当に凄い体験だったんです!!







メンバーの足下にあったセットリスト。実際にこの通りやったかどうかは既に記憶があやふやでよく分かりません。この日もメモを取りながら観ようと筆記用具を用意していたんですが、最前列ど真ん中があまりにも凄すぎてそれどころじゃ有りませんでした。ま、セットリストが近くに有るし、後で写真を撮らせてもらえば良いか?みたいに思っていましたが、どうなんでしょう?明らかに違う部分も有りますし、その時の気分や雰囲気で変えてくるようですね。その辺りもライヴバンドとして素晴らしい!!と思ったり。ちなみに「True Love Waits」はレディオヘッドのカヴァー。




こちらはパンチ・ブラザーズ公演を記念したスペシャル・ドリンク。私はお酒飲めないのでパスでしたが。



珍しく食事のスペシャル・メニューもありました。



で、私が頼んだのはパンチ・ブラザーズと何の関係もない白桃のパフェ。すいません、甘党なので…。

最前列

2016-08-04 20:35:32 | カントリー
パンチブラザーズ、最前列ド真ん中をゲット!ステージにはアンプもモニターも無い。ただマイクが一本あるのみ。これ、観客の呼吸まで拾ってしまいそうな超高性能マイクだそう。なんか緊張する。

ガイ・クラーク安らかに

2016-05-20 19:37:10 | カントリー
GUY CLARK / MY FAVORITE PICTURE OF YOU

5月17日、テキサスが生んだ孤高のシンガーソングライターにして、アウトロー・カントリーのレジェド、ガイ・クラークが亡くなられたそうです。ナッシュビルにて。享年74歳。長い間、癌による闘病生活を送っていたそうです。

写真はおそらくガイ・クラークの遺作となってしまった、2013年リリースの「MY FAVORITE PICTURE OF YOU」。アコースティック・ギターを中心にしたシンプルなフォーク/カントリーが滲みる傑作。2014年のグラミー賞『BEST FOLK ALBUM』部門を受賞。このジャケ写でガイ・クラークが掲げている写真は奥様であり、音楽活動のパートナーでもあったスザンナさんで、彼女は2012年に癌で亡くなられています。

今頃、天国で奥様と再会されてるでしょうか?


ガイ・クラークさん、安らかに。

マール・ハガード、安らかに。

2016-04-08 00:44:49 | カントリー
WILLIE NELSON & MERLE HAGGARD / DJANGO AND JIMMIE

ベイカーズ フィールドが生んだアウトロー・カントリーの巨匠、マール・ハガードが、4月6日、肺炎のために亡くなられたそうです。79歳でした。また、4月6日は彼の誕生日だったそうです。

1966年の「I'm a Lonesome Fugitive」を皮切りに、「Sing Me Back Home」、「Mama Tried」、「Workin' Man Blues」、「Okie from Muskogee」、「The Fightin' Side of Me」、「If We Make It Through December」、「Pancho and Lefty」など、デュエットも含め米カントリー・チャートへ計38曲ものナンバー・ワン・ヒットを送り込んでいる、まさにカントリー界を代表するレジェンドでした。グラム・パーソンズが彼を敬愛していたことでも知られるように、後進への影響も絶大でした。

写真は、何度も共演を繰り返している盟友ウィリー・ネルソンとのデュオ作「DJANGO AND JIMMIE」。昨年リリースされたアルバムで、これが本当に素晴らしい作品なのですが、マール・ハガードにとっては遺作となってしまいましたね…。


マール・ハガードさん、安らかに。

リアノン・ギデンズ@ブルーノート東京

2016-03-20 20:06:57 | カントリー
3月15日、ブルーノート東京にてリアノン・ギデンズを観てまいりました!

皆様、キャロライナ・チョコレート・ドロップスというグループを御存知でしょうか? まるで古き良き時代の黒人ジャグ・バンド/ストリングス・バンドを現代に甦らせたようなスタイルにより、2006年に初作「Dona Got a Ramblin' Mind」をリリースして以来、2010年作「GENUINE NEGRO JIG」がグラミー賞『Best Traditional Folk Album』部門を受賞するなど、ここ数年で一気に知名度を上げているオールドタイム・トリオです。そしてその紅一点シンガーこそ、今回の主役、リアノン・ギデンズなのです。

もちろんリアノン・ギデンズ自身も、ここ2~3年の間に数々の話題作に参加し、一人のシンガーとして名うての共演者達にも引けを取らない存在感を発揮したかと思えば、昨年にはついにソロ名義としては初のフル・アルバムとなる「Tomorrow Is My Turn」を名匠Tボーン・バーネットのプロデュースの元にリリースするなど、ソロ・アーティストとしても俄然注目を浴びるにいたっているのです。そしてそんななかでの初来日です。私はその最終公演となる3月15日、2ndショーを観てまいりました!


ほぼ開演予定時刻、客電が落ち、拍手と歓声に迎えられメンバー達が入場してまいりました。リアノン・ギデンズはワンピースのように見える鮮やかなブルーの上下。スカートに裸足というスタイルが眩しい!彼女を中心に向かって左側にはギタリストのチャンス・マッコイ、ウッドベースのジェイソン・サイファー、中央にドラムスのジェイミー・ディック、向かって右側にはアコギやバンジョーを弾く2人の黒人プレイヤー、ハビー・ジェンキンスとローワン・コーベット、以上の6人編成。ハビー・ジェンキンスとローワン・コーベットは現在のキャロライナ・チョコレート・ドロップスのメンバーでもあります。ちなみにチャンス・マッコイはオールド・クロウ・メディシン・ショウの現メンバーだったり。

1曲目、バンジョーの音色に導かれて始まった「Spanish Mary」。ボブ・ディランが地下室セッションに残した歌詞から生まれた企画作「The New Basement Tapes, Lost On The River」でリアノン・ギデンズが歌っていた曲。ルーツに根ざしながらもエレクトリック・ギターをフィーチャーした幽玄なサウンドに、リアノンの凛とした歌声が響きます。

続いてソロ作から「Don't Let It Trouble Your Mind」、「She's Got You」、「Waterboy」と3曲続けて。序盤からドリー・パートン、パッツィー・クラインと女性カントリー・シンガーのカヴァーを持ってくる辺り、今回の公演における彼女の趣向が伺えて、なる程、と思ったり。ですが、圧巻だったのは「Waterboy」。ブルースとしても知られるトラディショナルですが、リアノンは黒人フォークシンガーのオデッタが歌ったヴァージョンを下敷きにしているよう。麗しいメロディーのカントリーを歌うリアノンも素晴らしいですが、私はやはりこういう曲を歌う彼女に惹かれてしまう。特に終盤、アカペラのようになる部分でのブラック・フィーリングは堪らないものがありました。

さらに「Underneath the Harlem Moon」。こちらは昨年11月27日(RECORD STORE DAY)にリリースされた彼女の最新EP「FACTORY GIRL」に収録されている曲で、1930年代に黒人女性シンガー、エセル・ウォーターズが歌った小粋なジャズ・ナンバー。エレキギターがブルージーな味わいを施しつつ、まるでボードヴィルの時代にタイムスリップしたかのような雰囲気がまた最高でした。そしてソロ作から「Last Kind Words」。30年代初頭にパラマウントへ3枚のレコードを残して姿を消したという伝説の女性ブルース・シンガー、ギシー・ワイリー(ジーシー・ワイリー)のカヴァー。この辺り、さすがリアノン・ギデンズ!!と拍手したくなる選曲ですね。

そして続く「Louisiana Man」という曲がまた格好良かった! バンジョーを中心にトラッド的な雰囲気を漂わせつつ、エレキ・ギターによるロックなリフを合わせたオルタナ・カントリー。終盤はちょっとジャムっぽくなったり。リアノンはこの曲について“ケイジャン”と語っていましたが、ダグ・カーショウのあの有名曲とは違う曲でしたね。これも古い曲でしょうか?それともオリジナル?

中盤の聴かせどころはしっとりと、ソロ作からタイトル曲「Tomorrow Is My Turn」。シャルル・アズナヴール他の作でニーナ・シモンが歌った曲のカヴァー。ニーナ・シモンの繊細さとはまた違う、リアノン・ギデンズならではの芯を感じさせる歌声が素晴らしかったですね!そしてこの流れでフレンチな雰囲気のこの曲を違和感無く聴かせるリアノンのルーツ表現には脱帽です。

それにしても彼女にとってのルーツの裾野の広さや、その自由なブレンド感覚には驚かされます。白人の父と黒人の母との間に生まれたという彼女ならでは感性なのでしょうね。


さて、ステージは終盤に差し掛かります。リアノンがハビー・ジェンキンスを紹介し、彼のリード・ヴォーカルによるゴスペル曲「Children, Go Where I Send Thee」。アップテンポに、しかも次々にキーを変えて行く展開が興奮を誘い、客席から自然に手拍子が沸き上がる盛り上がり! 続くトラディショナルな雰囲気を醸した「Come, Love, Come」。こちらはキャロライナ・チョコレート・ドロップスのレパートリーにもなっている曲で、おそらくリアノンのオリジナル。

そしてこの夜のハイライト!私が最も聴きたかった曲であるゲーリック・ナンバー「S'iomadh Rid The Dhith Om / Ciamar A Ni Mi」。この曲もキャロライナ・チョコレート・ドロップスでやっている曲ですが、私は映画「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」のスペシャル・ ライブの映像でこの曲を観て、これは凄い!こんなの生で聴けたらな~!と羨ましく思っていたのですが、やってくれました!! ケルティックなメロディーが徐々に加速して行くようなリアノンの歌唱が素晴らしい! さらに終盤、みるみる熱を帯びてくると、その歌声には黒さが光り出す。こういう感性はリアノンならではですよね。歌い終わると同時に割れんばかりの拍手歓声。いや本当に素晴らしかったです!あとこの曲ではそれまで後方にいたローワン・コーベットが前へ出て来て、ボーンというパーカッションでまるで踊るようにリズムを繰り出してまして、それがまた躍動感に溢れていて最高でした!

本編ラストは再び「The New Basement Tapes, Lost On The River」から「Duncan And Jimmy」。ブルーグラス&アイリッシュっぽい爽やかなフレイバーに最後はほっこりして終了。いや、もちろんこれで終わる訳はありません。アンコールを求める拍手にステージに戻って来た彼女達。曲は「Lonesome Road」。そして「Up Above My Head」へと繋がれる。シスター・ロゼッタ・サープ・メドレーと言ったところでしょうか? いやはや、最後まで天晴でした!!



最新ソロ作からゲスト参加曲、バンドのレパートリーを織り交ぜ、カントリー、フォーク、ブルース、ケイジャン、フレンチ、ケルト、ゴスペルなど、ジャンルを横断し人種を超えたルーツ解釈により、まるである種のミュージック・トラベルのようでもあり、それでいて散漫にならず、あくまでもリアノン・ギデンズの音楽としての流れを感じさせる圧巻のステージでした。また、伝統的でありながらモダンかつ魔術的なバンド・アンサンブルは、Tボーン・バーネットやジョー・ヘンリーとの仕事を重ね、吸収した、その影響を伺えるものでもありました。

そうなんです、リアノンの歌声が素晴らしいのはもちろんなんですが、バンドの演奏がまた見事だったんです。メンバーそれぞれが多彩な技を見せてくれましたしね。例えばリアノンは2本のバンジョー(ひとつはフレットレス)を曲によって使い分けていました。フィドルも用意されていましたが、結局使わなかったような…? ベースのジェイソン・サイファーは指弾きと弓弾きを織り交ぜていましたし、ハビー・ジェンキンスはバンジョー、マンドリン、大太鼓と大活躍でした。そして曲によってはフィドルも弾いていたギタリストのチャンス・マッコイ。彼の良い具合に歪んだギター・サウンドが、このバンドの音楽性を異空間的な世界に広げていた要だったと思います。実はチェロ奏者の代わりに彼が入ったそうなんですが、この交代は大正解だったのではないでしょうか?(チェロの入ったステージも観てみたかったですけどね…。)




この日のセットリスト↓

01. Spanish Mary
02. Don't Let It Trouble Your Mind
03. She's Got You
04. Waterboy
05. Underneath the Harlem Moon
06. Last Kind Words
07. Louisiana Man
08. Tomorrow Is My Turn
09. Children, Go Where I Send Thee
10. Come, Love, Come
11. S'iomadh Rid The Dhith Om / Ciamar A Ni Mi
12. Duncan And Jimmy
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13. Lonesome Road ~ Up Above My Head




この日のスペシャル・カクテル↑




終演後はお楽しみのサイン会。私もサインを頂いて、ツーショットの写真も撮っていただきました!!