ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

グラミー賞 ノミネート『BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM』

2016-02-15 14:44:30 | ルーツ・ロック
Alabama Shakes / Sound & Color

さて、グラミー賞ノミネート特集、目標にしていた10回目にたどり着きました。その記念すべきその第10回は、一見「ルーツな日記」とは無縁に思える『BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM』です。“オルタナティヴ”ですからね、ですがこれが案外「ルーツな日記」的に超激戦区だったりするんです。そのノミネート作は以下の5作品。


Alabama Shakes / Sound & Color
Björk / Vulnicura
My Morning Jacket / The Waterfall
Tame Impala / Currents
Wilco / Star Wars

どうですか? アラバマ・シェイクス、マイ・モーニング・ジャケット、ウィルコですよ!確かに彼らはオルタナティヴかもしれませんが、米ルーツ・ミュージックを血脈としたバンドであることは誰もが認めるところですよね。まったく「ルーツな日記」的には目移りしてしまいます。また、デビュー作に比べソフトになったとはいえ相変わらずのサイケ&トリップ感を漂わすテーム・インパラも守備範囲ですし、さらに個人的フェイヴァリット・アーティストであるビョークがここに加わるという。いやもう、誰が受賞しても納得のこの部門。個人的にはビョークを推したいところですが、「ルーツな日記」としては、やはりアラバマ・シェイクスに注目したいですね!


その名の通り、2009年にアラバマ州アセンズで結成されたアラバマ・シェイクス。ブリタニー・ハワード(vo&g)、ヒース・フォッグ(g)、ザック・コックレル(b)、ベン・タナー(kbd)、スティーヴ・ジョンソン(ds)の5人組。アルバム・デビューは2012年の「Boys & Girls」。翌年のグラミー賞では『BEST NEW ARTISTS』を含む3部門にノミネートされました。

私はアラバマ・シェイクスという格好良い名前に惹かれて、2011年にリリースされたデビューEP「Alabama Shakes EP」を聴いて、そのサザン・ソウル愛溢れるサウンドとブリタニー・ハワードのパワフルなヴォーカルにぶっ飛びました。ですが翌年期待して聴いた1stアルバム「Boys & Girls」は、よりオルタナな方向へ行くだろうと予想はしていたものの、そのオルタナ・テイストとサザン・ソウル・テイストとの間でちょっと消化不良な印象を受けたりもしたんです。デビュー・アルバムということで気負いすぎた面もあったのかな?なんて思ったり。

そしてこの2nd作「Sound & Color」。これはめちゃくちゃ格好良いじゃないですか!!先の両テイストが見事にブレンドされとんでもないサウンドになっている。1曲目のタイトル曲「Sound & Color」から抑制されたソウルネスと、インディー・フォーク的なコラージュ感がこの先を期待させるに充分な魅力を放ち、つづく「Don't Wanna Fight」ではサザン・テイストが顔をのぞかせつつも、どことなくニューウェイヴぽい質感を漂わす。フォーキーなセンチメンタル性がブルースロック的展開に映える「Dunes」、アジアともアフリカともつかない不思議なグルーヴが浮遊する「Future People」など、スワンピーな南部的ノリをミニマル且つシャープに置き換え、ある種の無国籍感やポスト某的なモダンさを備えた強力グルーヴ、そしてパワフルなれど絶妙にコントロールされたブリタニーのヴォーカルがまた素晴らしい!

ですがこのアルバムの神髄は終盤、強烈な南部フィーリングが爆発する「Miss You」、アラバマ・シェイクス流のブルース解釈とも言えそうな「Gemini」、新時代のブラックミュージックともリンクしそうな耽美な揺れを伴う「Over My Head」、これら異様にどっぷりとした世界が広がるスロー・ナンバー3連チャン。今の時代、オルタナ・ロックの範疇でこのディープな世界は凄まじすぎる。まさにジャンル不問、破格の2ndアルバム。


対抗は、ウィルコの「Star Wars」でしょうか。これも歴史に残る名盤ですよね。テーム・インパラの「Currents」も昨年を代表するアルバムですし、マイ・モーニング・ジャケットも捨てがたい。ですが個人的にはビョークを推したいんですけど…、ってくどいですね。



ちなみにアラバマ・シェイクスは、この『BEST ALTERNATIVE MUSIC ALBUM』の他、「Don't Wanna Fight」が『BEST ROCK PERFORMANCE』と『BEST ROCK SONG』、そしてアルバム「Sound & Color」が『BEST ENGINEERED ALBUM』と、なんと『ALBUM OF THE YEAR』にもノミネートされているんです。いやはや、強豪ぞろいの『ALBUM OF THE YEAR』、もしアラバマ・シェイクスが受賞したら、とんでもないことですよ!! もちろん、ノミネートされるだけでも凄いことですけど。授賞式が楽しみです!!




よろしければ、こちらもどうぞ。

グラミー賞 ノミネート『BEST R&B ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST CONTEMPORARY INSTRUMENTAL ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST ROOTS GOSPEL ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST BLUEGRASS ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST COUNTRY ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST FOLK ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST AMERICANA ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST BLUES ALBUM』


1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
8年後の今 (onsreen)
2024-11-06 07:48:48
ブリタニー、翔んでます!(リンク)
返信する

コメントを投稿