さて、毎年恒例の年間ベストアルバムですが、今年は年明けにベスト30を発表したいと思います。対象作品は基本的に今年発売されたCDで、リイシュー作品や発掘音源、映像物は除外しました。もちろん何かのデータを集計したり、客観的に分析し項目ごとに点数を付けたり、そんなことはいっさいしない、私の気分一つのベスト30です。お楽しみに!
で、そのベスト30から除外した作品の中で、あまりの素晴らしさ故にどうしても触れておきたい作品が2つあります。それはビヨークの「VOLTAIC」(写真左)とビヨンセの「I AM ... YOURS(写真右)」。どちらも映像ありきの作品ということで対象外とさせて頂きました。でも年間ベストな出来映えなのです。
ビヨークの「VOLTAIC」は、単なる付録つきのライヴ・ボックスではなく、「VOLTA」というアルバムがほんの序章に過ぎなかったような、あのアルバムの奥に横たわる広く深い世界をたっぷりと見せてくれる、しかもボックスとしての芸術性も高いという、ビヨークならではのアートを感じさせてくれる作品。やっぱりこの雑然としたボリュームに必然性と芸術性を持たせ、一つの作品として高い完成度で纏められるのは、世界広しと言えど、現在はビヨークぐらいしか居ないんじゃないですかね。デラックス・エディションが流行っているなか、こういう作品をドーンと出すビヨーク。あっぱれです!
そしてビヨンセの「I AM ... YOURS」 これはもう、いかに今年のビヨンセがシンガーとして最強かを世に知らしめるような作品。09年8月、ラスベガスのウィン・アンコール・シアターでのステージで、観客数はわずか1500人。サマソニや日本ツアーのショーとはまるで違いますが、それでもビヨンセはビヨンセ。何度も書きますけど最強です。やっぱ声が凄い!! まず尋常じゃない声量。そしてハリがあって勢いがある。もちろん多彩な声音の使い分け、驚異的なフェイク、震えるようなビブラード、どれをとっても最強としか言いようが無い! さらに百面相のようにコロコロと変わる大げさな表情や大仰な踊りには、演技力とか表現力を遥かに越えたブラック・ミュージックならではの“濃さ”がある。これがまた堪らないんです。序盤の「Halo」から鳥肌物のライヴ。
さて、今年も昨年に続き、異様なほどライヴに恵まれた年でした。ベストはやっぱりビヨンセですよね。あのライヴは凄かった。サマソニでのファーストインパクトも驚嘆でしたが、最前列で見れた埼玉スーパーアリーナはさらに圧巻でした。私の脳には「09年のビヨンセ」としてその凄まじさが永遠に刻まれた感じがします。
そのビヨンセを夏フェスに読んだサマソニこそ今年の夏のハイライトでしたが、もちろんフジロックもヤバかった。なにせファンキー・ミーターズとネヴィル・ブラザーズが揃って来てくれましたからね。彼らを野外フェスで観れた喜び。これも永遠に忘れられませんね。シリルが来なくても、雨が降っていても、彼らは最高でした! あとはプリシラ・アーン。徐々にフェスの記憶が薄れていく中、あのプリシラ・アーンの静謐な空気感だけは未だにふっと甦り、その都度甘味な気分にさせられます。
その他で印象に残っているライヴと言えば、まずは8月のマリーナ・ショウ。これは夏フェスに忙しくってレポートを書きそびれたライヴだったんですけど、素晴らしかったです。マリーナ・ショウが74年の大名盤「WHO IS THIS BITCH ANYWAY」そのままのバック・メンバーを引き連れて行ったスペシャル・ライヴ。特にギターのデヴィッド・T・ウォーカーに参りました。ソロではジャズ寄りの作品が多い彼ですが、この日はブルージー&ソウルフル。体をクネクネと揺らしながらスウィートなフレーズを連発。時に甘味なトーンでメロウに、時に強いアタックでブルージーに。ある時はマリーナに語りかけるように、またあるときは挑みかかるように。とにかくデヴィッドのギターは良く歌い、良く語る。ソウル系セッション・ギタリストとして間違いなく最高峰の匠を観た感じです。もちろん主役マリーナの歌声も素晴らしかったです。
ギタリストと言えば、大好きなシカゴ・ブルースのカルロス・ジョンソンも最高でしたし、ウッドストックのエイモス・ギャレットもありました。しかしライ・クーダーに行きそびれたのは痛恨の極みです。
メリッサ・ラヴォーとモリアーティを観た「LAFORET SOUND MUSEUM 2009」も忘れられません。特にモリアーティはライヴ以外にもランデブーというスペシャルなイベントにも参加させていただき、メンバー達と楽しいひと時を過ごせたのは一生物の思い出です。
あとはドニー・フリッツ&ザ・デコイズ、こちらも奇跡の来日でしたね。南部の香りをたっぷ堪能させていただきました。そして年末の上原ひろみ!!!
なんだかんだで今年も充実した1年でした。
来年はキャロル・キング&ジェイムス・テイラー、さらにボブ・ディラン!!! そしてフジロックはどんな面子を呼んでくれるのか?おそらく元旦にあるであろう開催発表を間近に控え、そわそわしています。早く来い来いフジロック!!
では皆様、良いお年を!!