THE NEVILLE BROTHERS / WALKIN' IN THE SHADOW OF LIFE
ネヴィル・ブラザーズの来日公演の興奮冷めやらぬ今日この頃です。ネヴィルズの話題でまだ引っ張るのか?って感じですけど…。いや~、東京公演2日目は良かった~。「Hey Pocky Way」に「Tipitina」、さらに「Big Chief」、最高に盛り上がりました。でも東京両日のセット・リストを見比べると、案外そうでもないかも、みたいな。くどいですが、2日間のセット・リストは以下の通り。
08年10月28日JCBホール
01. Fiyo On The Bayou
02. No Butts No Maybes~They All Asked For You
03. Africa
04. Brother Jake
05. Fever
06. Everybody Plays The Fool
07. Besame Mucho (Charles solo)
08. R&R Medley 1
Johnny B. Goode~Bony Moronie~Dizzy Miss Lizzy~
Slow Down~Oh Boy~Long Tall Sally
09. R&R Medley 2
Rockin' Pneumonia and the Boogie Woogie Flu~
Something You Got~I Know~Everybody Loves A Lover
10. Brother John~Iko Iko~Jambalaya
11. A Change Is Gonna Come
12. ? (Charles solo)
13. It Ain't No Use
14. Voo Doo
15. Tell It Like It Is
16. Yellow Moon
-encore-
17. Amazing Grace~One Love~People Get Ready
08年10月29日JCBホール
01. Fiyo On The Bayou
02. No Butts No Maybes~They All Asked For You
03. Africa
04. Brother Jake
05. Mojo Hannah
06. Voo Doo
07. Everybody Plays The Fool
08. Besame Mucho (Charles solo)
09. Hey Pocky Way
10. Tipitina
11. R&R Medley
Johnny B. Goode~Bony Moronie~Dizzy Miss Lizzy~
Slow Down~Oh Boy~Long Tall Sally
12. ? (Charles solo)
13. Big Chief
14. Tell It Like It Is
15. Yellow Moon
-encore-
16. Amazing Grace~One Love~People Get Ready
こうやって比較してみると、今回のネヴィル・ブラザーズのハイライトは、案外28日のメドレー3連発じゃないかと…? 特に後半2つのメドレー、09、10、はニューオーリンズ・クラシックな雰囲気が濃厚なもの。それにその前の08だって王道R&Rでありながら、そのとんがった魅力より、クラシックとしての愛らしさを前面に出した楽しいメドレーでした。ある意味ニューオーリンズ的とも言えるでしょう。なのでこの3連発はネヴィルス流の、愛すべき、古き良きニューオーリンズ・サウンドが存分に味わえるメドレーだったのです。さらに序盤にシリルが歌った02だってそうです。その魅力は“熱さ”よりも"暖かさ”。歌も含めたこれらメドレーでのネヴィルズの演奏は愛情たっぷりの素晴らしいものでした。人懐っこく、もっちゃりとしたオールド・タイムなニューオーリンズR&B。そんな息吹をたっぷりと味わえるライヴ。そんなの日本ではなかなか味わえませんよ。もちろん私もこのメドレーには興奮しました! ですが私の心はどうしてもシリルの熱さと、ファンキーなネヴィルズを期待していたのです。それがそもそも間違いだったということでなんですよね。出来ればニューオーリンズ・クラシックなモードでこの日のステージをもう一度見直したいな、なんて思ったりもする今日この頃です。
それにしてもネヴィル・ブラザーズって面白いバンドですね。だって確実に盛り上がりの沸点に到達する「Tipitina」と「Big Chief」、似たタイプのこの2曲を両日に散らさずに、敢えて29日に固めてきているんですから。例えばローリング・ストーンズだってコンサートごとに曲目が変わります。マニアにとってこの日はアレを演ったけど、あの日はあっちを演った、みたいな話題に事欠きません。ですがそのツアーの見せ場はカチッと決まっていて、選曲によって印象ががらりと変わるなんてことは無いと思います。ですが今回のネヴィル・ブラザーズは逆で、変動する曲目こそが胆だったのですから。
もちろん28日なら2種類のメドレー。29日なら「Tipitina」と「Big Chief」です。前者が愛すべきニューオーリンズ・クラシックなら後者はパーカッシヴで熱いカーニバル。と言っても日ごとにそれぞれで明確なテーマがある訳ではなく、あくまでもオリジナル曲を核とした、ネヴィル・ブラザーズとしての一貫したステージとして成り立ちながら、微妙に違った見せ方をする。2DAYSだからこそのセット・リストかもしれませんね。片方だけを観てもネヴィル・ブラザーズらしいステージを堪能出来、両日行ってもそれぞれで違った印象のステージを楽しめる。このあたりのさじ加減、流石は世界最高のライヴ・バンドと言われるだけのことはありますよね。
それに28日は後半にアーロン・ネヴィルがリード・ヴォーカルをとる曲が固まっていたため、アーロン色が濃かったようにも思います。ですが29日は「A Change Is Gonna Come」、もしくはそれに代わる曲を演らなかったこともあり、アーロン色は薄め、代わりにシリルが頑張った、という印象ですね。もちろんこの日は前半のアートの元気振りも特筆もの。そして両日ともチャールズは全開でした。
それと、これは今に始まったことではありませんが、バック・メンバーを微妙にマイナー・チェンジしながらも、根本的なネヴィル・サウンドは揺るぎないという事実。これは見事としか言いようがありません。あのグルーヴは唯一無比ですね。やはりウィリー・グリーンのドラムスとシリルのパーカッジョンの存在は絶大。それと今回特に感じたのはアートのオルガン。私個人の話ですが、2日間のうち、29日の方がアートのオルガンが良く聴こえたことと、その日の方が断然よくノレた事実は無関係ではないと思います。ネヴィルズ不変のグルーヴの胆は案外アートのオルガンなのかもしれません。長兄は偉大なり。
さて、ネヴィルズについてはまだまだ書き足りないぐらいですが、きりがないのでとりあえずはこの辺で。最後に、何はともあれ、よくぞ来日してくれました! 4兄弟皆様、それぞれ歳をとりましたよね。杖を付きながらのアートも心配ですし、アーロンも持病の喘息があると聞きます。そんななか、はるばる日本にまで来て素晴らしい音楽を届けてくれたことは、本当に嬉しいですし、感謝の気持ちで一杯です。願わくば、これからも体に気遣いながら、いつまでもいつまでも素晴らしい音楽を届け続けて欲しいです。そしてまた来日して欲しいです! なんていったら贅沢ですか? いやぜひに! 今度は息子達も連れて!
*写真はネヴィル・ブラザーズ現在の最新作となる、05年のアルバム「WALKIN' IN THE SHADOW OF LIFE」。
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
08.10.31 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 2
08.10.30 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 1
08.10.28 アート・ネヴィル
08.10.26 チャールズ・ネヴィル
08.10.25 シリル・ネヴィル
08.10.24 アーロン・ネヴィル