C 日本語って、しゃべっている分にはすぐれた言葉だと思うんですけれど、こと歌について考えた場合は、いろいろと不便なところがありますよね。たとえば、日本語は一音節だけで意味を持つ言葉が少ないから、ある限られた時間の中に込められる情報が少ないんです。それから、いわゆるストレス・アクセント(強弱)じゃなく、イントネーション・アクセント(高低)だから、メロディとの関係ですごく縛られるものがある。もうひとつは、耳で聴いていて、漢字で表すような言葉は何のことを歌っているのかわかりにくいというのがあります。だから、(中略)日本語でしゃべるようにいろんなことを歌の中に入れられないかなということで、16分の譜割りをずっと詰めたりしてみたんです。普段僕らがしゃべっているときには、かなり音節をはしょっているわけですよね。それをなんとか歌の中で実験したかった。たとえば、ちょっと前の歌謡曲の詞だと、「ない」といく言葉は「な」と「い」の2音節を使っていたけど、最近の歌謡曲は1音節でのっちゃってますよね。
(中略)
C 僕がひとつ思うのは、最終的に音楽はタダになるんじゃないかということ。音楽がそんなにイメージ先行の効果があるなら、どっかの企業が宣伝の材料に使うようになるよね。若者にいちばん人気のある作曲家と作詞家とシンガーで絶対支持される曲を作って、たとえば石油会社なら、ガソリンを入れるとそれがタダでもらえるようにする。一社が成功すれば、あっという間に広がって、CD買う人なんていなくなっちゃいますよ。作り手もその方がお金をいっぱいもらえるようになるだろうし。
--商品じゃなくてグリコのおまけみたいになると。でも、そうなると音楽は面白くなくなってしまいますよね?
C いや、そうなっても、それなりに面白さってあると思うんですよ。本当に好きな人たちが楽しんで作った音楽っていうものと、企業の販売ツールとしての音楽という二極化が進むと、それはそれで想像がつかない面白さがあると思うんだけど。
(WIRED 1998年10月号「阿久悠&近田春夫 世紀末歌謡ショー」司会:宮崎哲弥)
(中略)
C 僕がひとつ思うのは、最終的に音楽はタダになるんじゃないかということ。音楽がそんなにイメージ先行の効果があるなら、どっかの企業が宣伝の材料に使うようになるよね。若者にいちばん人気のある作曲家と作詞家とシンガーで絶対支持される曲を作って、たとえば石油会社なら、ガソリンを入れるとそれがタダでもらえるようにする。一社が成功すれば、あっという間に広がって、CD買う人なんていなくなっちゃいますよ。作り手もその方がお金をいっぱいもらえるようになるだろうし。
--商品じゃなくてグリコのおまけみたいになると。でも、そうなると音楽は面白くなくなってしまいますよね?
C いや、そうなっても、それなりに面白さってあると思うんですよ。本当に好きな人たちが楽しんで作った音楽っていうものと、企業の販売ツールとしての音楽という二極化が進むと、それはそれで想像がつかない面白さがあると思うんだけど。
(WIRED 1998年10月号「阿久悠&近田春夫 世紀末歌謡ショー」司会:宮崎哲弥)
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