<ボクはいつだって「デカイ一発」を待っていた。20年前学生が暴れてた時「お、デカイやつがくるぞ!」と思った。アポロが月に行ったり、石油がなくなりそーだったり、ソ連がどっかに侵攻したり、昭和が終わりそーだったり、そのたびに「今度のはデカいぞ」と思った、だけどどれも震度3、ブロック塀が倒れるテード。顔を見あわせ、「すごかったね」で笑って終わりだ。>(しりあがり寿「夜明ケ」1990より)
<80年代が終わりそーなころ、“世界の終わりブーム”っていうのがあった。「危険な話」が広まって、いちばん人気のあったバンドがチェルノブイリの歌を歌って、子どものウワサはどれも死の匂いがして、前世少女たちがハルマゲドンにそなえて仲間を探しはじめた。僕たちは「デカイのがくるぞ!」「明日世界が終わるかもしれない!」ってワクワクした。
だけど世界は終わらなかった。原発はいつまでたっても爆発しないし、全面核戦争の夢もどこかへ行ってしまった。アンポトウソウで学生が味わったみたいに、傍観してるだけの80年代の革命家は勝手に挫折感を味わった。
これでやっとわかった。もう“デカイ一発”はこない。>(鶴見済「完全自殺マニュアル」1993より)
<80年代が終わりそーなころ、“世界の終わりブーム”っていうのがあった。「危険な話」が広まって、いちばん人気のあったバンドがチェルノブイリの歌を歌って、子どものウワサはどれも死の匂いがして、前世少女たちがハルマゲドンにそなえて仲間を探しはじめた。僕たちは「デカイのがくるぞ!」「明日世界が終わるかもしれない!」ってワクワクした。
だけど世界は終わらなかった。原発はいつまでたっても爆発しないし、全面核戦争の夢もどこかへ行ってしまった。アンポトウソウで学生が味わったみたいに、傍観してるだけの80年代の革命家は勝手に挫折感を味わった。
これでやっとわかった。もう“デカイ一発”はこない。>(鶴見済「完全自殺マニュアル」1993より)