隠された記憶
Cache/Hidden 2005/フランス=オーストリア=ドイツ=イタリア
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、モーリス・ベニシュー、アニー・ジラルド
<ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)は妻アン(ジュリエット・ビノシュ)、息子ピエロとともに幸せに暮らしていた。そんなある日、送り主不明のビデオテープと不気味な絵が何度も届くようになる。テープにはジョルジュの家族の生活が記録されていたが、次第にプライベートな領域へと踏み、不安と恐怖を掻き立てた。ジョルジュは遠い日の記憶をたぐり寄せる。>(
シネフィル・イマジカ 2008年1月放送中)
『隠された記憶』
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サスペンスでもスリラーでもない。ということでキャッチコピーにはとっても偽りがある。でもそうでもしなきゃ(少なくとも日本では)プロモーションできないというのもよーく判る。しかし、やはり、これは監督も言っているそうだけれども、間違いなく犯人捜しが目的のサスペンスでも、殺人事件が起こるようなスリラーでもない。それでも冒頭から不可思議なラストシーンまで、誰一人として感情移入できるようなキャラクターがいないにも関わらず(むしろ逆)、弛むことなく2時間きっちり飽きさせずに観せる。あー癖になるわ、この監督。
映画が始まってしばらくすると<疚しさ>がキーワードであることがわかる(実際に映画の終盤にやっと主人公はこの言葉を突きつけられる)。そして<疚しさ>のあまり主人公たちは、その場しのぎの下らない小さい嘘をつき続ける。子どものように。それぞれの<疚しさ>はますます増大し、最後には主人公は疲れ切って寝るしかなくなってしまう。まるで子どものように。
欧州の移民(排斥)問題は今始まったことではないし、フランスのアルジェリア人がどんな立場に置かれていたのかは、ジダンのストーリーを読めばわかることだ。そして日本を含む、世界の至るところで同じような<疚しさ>の物語が再生産され続けている。いや、そんなに大上段に構えなくても、誰でも多かれ少なかれそんな<疚しさ>を抱えていると思うが…例えば「酒と涙と男と女」みたいな。
ラストの回想シーンや下校シーンはエンタテインメント的なサービスカットと観た。
ジュリエット・ビノシュが妙に豊満で魅力的です。さすがに味がある。