続きです。
オカ資料①
オカ資料②
2011年2月16日
清水エスパルス、深夜に<岡崎慎司選手のシュツットガルト移籍に関する経緯について(補足説明)>公式サイトに掲載。
※同日朝のスポニチ報道の一方的な内容(以下に採録)を受けての動きと見られる。
<移籍トラブルに巻き込まれたFW岡崎が17日の欧州リーグ・ベンフィカ戦で晴れて欧州デビューすることが濃厚となった。複数の関係者によれば、FIFAは15日までに清水側の申し立てを全面的に却下する方針を固めたという。今回FIFAに提訴した清水側は(1)所属クラブの清水に対し事前に文書で交渉開始を通達していない(2)清水との契約期間内の1月31日を開始日とする契約を交わした、という2点においてシュツットガルトがFIFA規約に違反していると主張している。だが(1)については「選手の地位および移籍に関する規則」18条3項に、契約の切れる半年前から他クラブとの交渉は可能と定められており文書による通達は必要ない。(2)についてもシュツットガルトと岡崎の契約は2月5日から発効するもので、いずれも清水側の誤認識が判明した。国際移籍証明書の発行については(中略)岡崎の代理人がドイツ協会側に申請すれば日本協会から発行される見通し。12日のニュルンベルク戦は手続きが遅れて出場できなかったが、17日のベンフィカ戦までには選手登録も完了する見込みという。(中略)関係者によれば、契約開始日の2月5日から選手登録されるまでの年俸の日割り分の補償や、岡崎の受けた精神的ダメージ、シュツットガルトへの名誉毀損に対する損害賠償を求めて、清水をFIFAに逆提訴する方針を固めたという。>(スポニチ 2月16日付)
<①シュツットガルトからの事前通知(FIFA規則第18-3)について(中略)エスパルスは、各種報道等から、シュツットガルトが岡崎慎司選手に興味を持っていた可能性は認識している一方、シュツットガルトからは、岡崎慎司選手との契約交渉を開始する旨の通知を受けておりません。②国際移籍証明書(ITC)の発行について 岡崎慎司選手の国際移籍証明書(ITC)の発行は、(財)日本サッカー協会(JFA)が行う手続きとなります。(中略)エスパルスとしては、エスパルスと岡崎慎司選手との契約終了日について、事実と異なる報告をJFAにすることはできなかったことと、シュツットガルトのFIFA規則違反が明確であったため、これについてFIFAに提訴せざるを得なかったことをご理解ください。>(清水エスパルス公式 2月16日付)
※ちょっと意味不明な展開ですね…これも清水並、それ以上に一方的な言い分ですが。とにかくこれが特定のサイドからのリークによる誘導ではなく事実ならシュツットガルト及び佃氏は、そもそも最初から清水と「交渉」する意志はなかったということでオケ? それならこの件に関しては外道ということで納得できなくもないですが。それにしてもこの期に及んで「2月5日発効」を主張とは…。とにかく誤認であろうが、清水フロントの脇の甘さであろうが、岡崎の代理人である佃氏はまず清水サイドが納得いくような説明をするべきだろう。
てか、15日の採決先送りのFIFA“関係者”のコメント(対応)を見る限り、スポニチが煽り立てるほどの状況にまで至っているとは思えないのだが…。誰?関係者って?
※シュツットガルトとの契約が5日に発効し、今回のトラブルがルールの「解釈」ではなく「誤認」等というレベルの単純な問題ならば代理人である佃氏、田嶋副会長はなぜ、もっと「岡崎のために」早川会長をしっかり説得できなかったのだろう(これは早川会長のキャラクター云々の話ではない)。「音信不通」の佃氏は論外だとして、10日夜に行われたという電話会談で田嶋氏はどの程度問題を把握し、会談に臨んだのだろうか。「誤認」という「ケアレスミス」が契約の発効から10日も経ってから指摘されるのは実に不自然である。実際、今回のトラブル2月5日以前から発生していたし(言ってしまえば昨年末にはわかっていたことである)、その「怠慢」によって岡崎はニュルンベルク戦の不出場を余儀なくされているのだから。なぜシュツットガルト(及び佃氏)は「交渉」を避けた上で、この問題を「放置」したのか。少なくとも5日以降、シュツットガルト側が岡崎の出場に努力した形跡はほとんど見られない。
ただ、その5日に清水フロントに届いたという、シュツットガルトの顧問弁護士からの「回答」には、確かにこのこと(2月5日発効)が書かれていた可能性はある。「冷酷な」「強烈」と評したが、早川会長の言葉から、この時点でお互いの認識の違い=誤認が「共有」された可能性は伺える。しかしそれを調整するのが「代理」人ではないのか。横浜マリノスの通訳というキャリアを持ち、言葉とコミュニケーションのプロフェッショナルであるはずの代理人・ロベルト佃氏はなぜここまで両者のコミュニケーションを拗れさせたのか。事態を見守るしかない者にとって不可解で、清水サポにとって不快なのはその点だ。
しかし2月14日の報道には、
<ボビッチ・チームマネジャーも「明らかな約束があったのに(清水の)会長が突然何も知らないと言っている」と激怒。>(サンスポ 2月14日付)
とある。ボビッチ氏が言う<明らかな約束>とは一体何なのか? ここまでの経緯で両クラブが交渉らしい交渉を行った形跡はないのだから、以前も書いたがやはり代理人が両クラブに何を言ったのか、そして何を言わなかったのかという話に尽きるのではないのか。
こう書くと水掛け論の呼び水のように見られるかもしれないが、ボビッチ氏が<約束>とまで言うのだから、その痕跡はどこかに存在しているはずだ。ちなみに現時点で2回、両クラブが直接、正式に「接触」したと言えるやりとりがある。2月1日の<シュツットガルトによる岡崎のITC発行依頼の連絡>と2月5日の<シュツットガルトの顧問弁護士よる質問状の回答>。佃氏が一方的にシュツットガルトに<約束>したのでなければ、やりとりされた文書に何かが<約束>が書かれていた可能性は、ないことはない。文書に書かれている<約束>を見落とすとは…ちょっと思えないのだが。
<2月5日から岡崎はウチのプレーヤーですよOK?>とでも書かれていたのだろうか。
<岡崎はこの日、17日の欧州リーグ・ベンフィカ戦(ポルトガル・リスボン)に向けて遠征メンバーに帯同したが、クラブ広報は「登録についての進展はない」と話し、デビューできるかどうかは微妙な状況だ。>(報知・大阪 2月17日付)
2011年2月17日
国際サッカー連盟(FIFA)が岡崎の暫定的な選手登録を認める裁定。
清水エスパルス、<岡崎慎司選手のシュツットガルト移籍に関する経緯について(補足説明)Announcement of Transfer of Shinji Okazaki to VfB Stuttgart (supplemental explanation)(英訳)>公式サイトに掲載。
<サッカー日本代表FW岡崎慎司(24)がJ1清水からドイツ1部リーグのシュツットガルトへの移籍に際し、必要な国際移籍証明書が発行されていない問題で、国際サッカー連盟(FIFA)は岡崎の暫定的な選手登録を認める裁定を下した。17日、FIFAから日本協会に連絡が入った。(中略)クラブ広報によると、試合開始1時間半前までにFIFAからサイン付きのファクスが送られてきた場合、岡崎のベンチ入りは可能という。>(スポニチ・共同 2月17日付)
<今後は国際サッカー連盟(FIFA)を通じ、シュツットガルト側と移籍の経緯について争うことになる。清水の関係者は「決着には時間がかかると思う。プレーできるのはいいことかもしれないが、複雑」と話した。>(スポニチ 2月17日付)
<今回の騒動の背景には、選手の国外クラブ移籍を仲介する代理人の手法に対する日本のクラブ側の根強い不信感がある。(中略)清水のかたくなな対応には首をかしげるサッカー関係者も多い。ある代理人によると、通常は1月末で契約が切れる選手の移籍では国内外を問わず、交渉で契約を前倒しして打ち切るのが「サッカー界の慣習」。清水、シュツットガルト、その間に入った代理人が信頼関係を築けなかったことで、欧州デビューに水を差された岡崎が被害者となった格好だ。>(サンスポ 2月17日付)
※代理人は勿論、両クラブ、そして残念ながら岡崎本人の軽率な判断も批判されてしかるべきだと思うが…。しかしこれはまだあくまでも<当面の問題>の決着に過ぎない。
2011年2月18日
岡崎、直前に臨時の選手登録を済ませ、UEFAヨーロッパリーグ決勝トーナメント一回戦(1st)ベンフィカ戦にフル出場し、欧州デビューを果たす(1-2)。
清水エスパルスにFIFAから文書による公式見解が届く。
清水エスパルス、<岡崎慎司選手のドイツサッカー協会への暫定登録が認められた件について>公式サイトに掲載。
TBS系「スーパーサッカー」で密着企画を放送。岡崎移籍問題が取り上げられる。
<ずっと待っていた。やっと出られた。準備はしていたし、楽しめたらいいと思った。とりあえず第1段階を踏めた。>(報知 2月18日付)
※チームは負けてしまったとはいえ(GKが孤軍奮闘)、動き、気迫は清水時代を思い起こさせるまずまずの内容。オカが決めていれば契約問題も少しは前進したかもなァ…。
<今回の暫定登録は、FIFA規則に則って行われたものであり、エスパルスとしても、プレイヤー・ファーストの精神の下、異論を唱えるものではありません。エスパルスとしましても、岡崎慎司選手には是非ドイツのピッチで活躍してもらいたいと考えております。(中略)岡崎慎司選手の暫定登録は、エスパルスがFIFAの紛争解決評議会に対して行った、シュツットガルトのFIFA規則違反に対する申立とは別個の手続きとなります。エスパルスによる申立は、既に事件番号が付され、FIFAにより正式に受理されております。>(清水エスパルス公式 2月18日付)
<サッカー選手っていいっすね。人種を越えるっていう感じじゃないすか。国を越えて。いろんな所でやって刺激を求めるのが自分なのかなって感じ。>(TBS系「スーパーサッカー」2月18日放送 岡崎の番組内でのコメント)
※「突如襲った移籍騒動」というナレーションで始まる番組冒頭の簡単な特集コーナーで岡崎の移籍(契約)問題が取り上げられた。ドイツへ再渡航した2月4日から5日にかけて密着取材。チーム練習合流前日、スポーツバーでボルシアMG戦を観戦する姿、合流後チームメイト、サポーターと交流する様子が放送される。
番組の演出上仕方がないとはいえ、コーナー冒頭の煽りの部分で「何でこんなに苦しまなきゃいけないのかな」という岡崎のコメントがどう観ても移籍報道に絡んだ発言に観えてしまう。しかし、実際これは昨年のワールドカップ開幕前のトレーニングマッチ4連敗のときに感じたプレッシャーについての話。
移籍問題については「31日の問題」のみ指摘。小倉の簡単な説明のあとのやりとり。
加藤浩次「ということは日本のサッカーのルールをヨーロッパに合わせないと駄目じゃないすか」
小倉隆史「協会とかJリーグも考えていかないと、今後こういったことは出てきますから」
加藤「ここ修整してもらいたいなあ……でも頑張ってもらいましょう! 岡崎選手」
枡田アナ「今夜、海外サッカー、まだまだ続きます」
わずか数分のコーナーで今回の問題を解説しろというのが無理な話。しかもそれを地上波で求めるのは絶対無理。スパサカに求める方がおかしい。まあ「突如襲った」はないとは思うけれども…この状況は「突如」は「襲って」ないわけだからw しかしスポニチの報道と併せてTBS系メディアの露骨なスタンスはだいぶ見えてきましたが。
まあ臨時とはいえ実際ゲームには出られるようになったんだからテレビ的にはひとまずオッケーなのだろうが、加藤発言は今季アの移籍(契約)問題は勿論、秋春制問題への言及と受け取れないこともない(勿論本人にその意図はないと思うが)。この岡崎の問題も拡大していけば秋春制の布石ともなりかねない問題なのだから。しかも寒さに弱い静岡民の意思は別として静岡は日本で一番秋春制に耐えうる土地柄である。と怖い想像をしてみる。
<シュツットガルトと岡崎慎司との契約が二重登録にあたるとの申し立てをした清水の竹内社長が、FIFAから文書による公式見解が届いたことを明らかにした。 竹内社長によると、FIFAの調査で清水との契約期間内だった1月31日が、シュツットガルトと岡崎の契約開始日だったことが判明したという。竹内社長は「ウチとしては再確認できたということ。暫定的に岡崎のITCが発行され、出場できたことはこちらもうれしいが、その件と契約問題は別との回答もあり、引き続き裁定を待っているが、補償について(シュツットガルトと)合意できれば」と話した。>(スポニチ 2月19日付)
2011年2月19日
日本サッカー協会・小倉純二会長、移籍問題に言及。
<だが、FIFAとUEFAはこの移籍に問題はないとして、選手登録を認めた。それはベンフィカ戦が行われる日の午後のことで、岡崎は試合に先発。フル出場を果たしている。(中略)今回の件について、シュトゥットガルトのシュナイダーSD(スポーツディレクター)が口を開いた。「FIFAとUEFAは速やかに対応し、私たちに権利を与えてくれた。このことは、いかに私たちが絶対的に正しく行動したかを示している。もちろん私たちは喜んでいるし、特にリスボンでの試合前に慎司への許可を得られたことをうれしく思っている」と、報道陣に話した。>(Goal.com 2月18日付)
※おいおい、暫定暫定…。
<都内で会議に出席した同会長は取材に応じ「チームもエージェントもちゃんと勉強した方がいい。ちゃんとやるように言う」と注意喚起を促す考えを明かした。(中略)「(二重契約が)1日じゃ、ヨーロッパ側は絶対に払わない」と切り捨てた。>(デイリー 2月19日付)
※「1日」とかの問題じゃないと思うんだが…。
岡崎移籍問題でFIFAが清水に厳罰か(東京スポーツ 2月20日付)
2011年2月20日
岡崎、リーグでのデビュー戦でスタメン出場。(シュツットガルト2―4レーバークーゼン)
<「岡崎は試合に出られて良かった。でもJのクラブもきちんと(移籍金の設定や違約金を得られる)複数年契約を結ばないといけない。このままでは日本は選手を獲得しやすい国になる。(Jリーグ、日本協会で)勉強会をやってもいい。ちゃんとやんなさいと言おうと思ってるんだ」(中略)小倉会長も「1日だけじゃ欧州のクラブは普通(違約金を)払わない」と言う。欧州では考えられないトラブルだった。>(スポニチ 2月20日付)
2011年2月21日
日本サッカー協会・小倉会長、Jリーグの空洞化防止に言及。
FC東京、長友のチェゼーナへの完全移籍正式合意を発表。
<1月の移籍市場では岡崎(シュツットガルト)細貝(アウクスブルク)槙野(ケルン)らが移籍金ゼロで欧州に移籍した。「Jは危機感を持つべき。日本が欧州の狩り場になってしまう。逆にインドネシアやタイからいい選手に来てもらうのも重要。Jの放映権を買ってもらえるかもしれないし、ACLの価値も上がるだろう」と熱く語っていた。>(スポニチ 2月22日付)
<J2東京は21日、DF長友佑都(24)のチェゼーナへの完全移籍が、事務手続きを含め正式にクラブ間合意したことを発表した。(中略)チェゼーナへ完全移籍後、欧州の冬季移籍期間最終日の1月31日、インテルミラノに電撃移籍した。長友は「現在インテルにいますが、これからも青赤の誇りを胸に戦っていきます」と東京の広報を通じてコメントした。>(ニッカン 2月22日付)
2011年2月22日
代表勝利給問題、協会側が勝利給や大会ボーナスなどの詳細公開。
<日本サッカー協会は22日、選手の勝利給や大会賞与の金額などを詳細に公開し、選手会の要求に応じられない立場を示した。公開した内容は日本協会の公式サイトでも公表するという。(中略)また選手会が公式ホームページで、代表の試合での選手の負傷について一切の補償がないと主張していることに対し、1日5万円の補償が支払われていると反論した。>(共同・ニッカン 2月22日付)
※仮にオカがアジアカップで負傷していた場合はどうなっていたんだろうか…。
2011年2月23日
日本サッカー協会・小倉会長、選手会の主張を改めて批判。
<日本サッカー協会の小倉純二会長(72)は23日、「選手会のやる仕事はそういうことではない」などと、代表選手に重点を置く姿勢を批判した。(中略)主張は代表選手の待遇に関するものが中心だ。こうした動きに小倉会長は、代表だけでなく日本選手全員にかかわる賃金保障の問題や、セカンドキャリア(引退後の進路)の問題などについて、先に取り組むことが選手会の本質と訴えた。さらに、「代表になればクラブに高給で迎えてもらえるし、外国からも声がかかる。代表の価値とはそういうもの」とバッサリ。>(サンスポ 2月24日付)
<欧州連盟(UEFA)は1100億円、国際連盟(FIFA)は1000億円の年間予算があるのに対して、アジアサッカー連盟(AFC)はわずか50億円であることを明かし「アジア杯で優勝しても賞金は出ないのに、我々は選手に優勝ボーナスを出している」と話した。22日には日本協会が代表選手の勝利給や大会ボーナスなどの詳細を初めて公表。両者の言い分は平行線をたどっているが、小倉会長は「協会の実態を理解してもらいたい。代表選手は高い報酬をもらっているし、選手会がやるのはこういうことじゃない」と訴えた。>(報知 2月24日付)
<日本プロサッカー選手会の藤田俊哉会長(39=J2千葉)は23日、日本協会に対し、(中略)「昨年から両会長での直接会談を要望してきましたが、断られ続けてきました。にもかかわらず、前日の日本協会側の一方的な会見には驚いてます」とコメントした。 >(スポニチ 2月24日付)
(随時追記・加筆。2月24日以降は別エントリで継続)
オカ資料①
オカ資料②
2011年2月16日
清水エスパルス、深夜に<岡崎慎司選手のシュツットガルト移籍に関する経緯について(補足説明)>公式サイトに掲載。
※同日朝のスポニチ報道の一方的な内容(以下に採録)を受けての動きと見られる。
<移籍トラブルに巻き込まれたFW岡崎が17日の欧州リーグ・ベンフィカ戦で晴れて欧州デビューすることが濃厚となった。複数の関係者によれば、FIFAは15日までに清水側の申し立てを全面的に却下する方針を固めたという。今回FIFAに提訴した清水側は(1)所属クラブの清水に対し事前に文書で交渉開始を通達していない(2)清水との契約期間内の1月31日を開始日とする契約を交わした、という2点においてシュツットガルトがFIFA規約に違反していると主張している。だが(1)については「選手の地位および移籍に関する規則」18条3項に、契約の切れる半年前から他クラブとの交渉は可能と定められており文書による通達は必要ない。(2)についてもシュツットガルトと岡崎の契約は2月5日から発効するもので、いずれも清水側の誤認識が判明した。国際移籍証明書の発行については(中略)岡崎の代理人がドイツ協会側に申請すれば日本協会から発行される見通し。12日のニュルンベルク戦は手続きが遅れて出場できなかったが、17日のベンフィカ戦までには選手登録も完了する見込みという。(中略)関係者によれば、契約開始日の2月5日から選手登録されるまでの年俸の日割り分の補償や、岡崎の受けた精神的ダメージ、シュツットガルトへの名誉毀損に対する損害賠償を求めて、清水をFIFAに逆提訴する方針を固めたという。>(スポニチ 2月16日付)
<①シュツットガルトからの事前通知(FIFA規則第18-3)について(中略)エスパルスは、各種報道等から、シュツットガルトが岡崎慎司選手に興味を持っていた可能性は認識している一方、シュツットガルトからは、岡崎慎司選手との契約交渉を開始する旨の通知を受けておりません。②国際移籍証明書(ITC)の発行について 岡崎慎司選手の国際移籍証明書(ITC)の発行は、(財)日本サッカー協会(JFA)が行う手続きとなります。(中略)エスパルスとしては、エスパルスと岡崎慎司選手との契約終了日について、事実と異なる報告をJFAにすることはできなかったことと、シュツットガルトのFIFA規則違反が明確であったため、これについてFIFAに提訴せざるを得なかったことをご理解ください。>(清水エスパルス公式 2月16日付)
※ちょっと意味不明な展開ですね…これも清水並、それ以上に一方的な言い分ですが。とにかくこれが特定のサイドからのリークによる誘導ではなく事実ならシュツットガルト及び佃氏は、そもそも最初から清水と「交渉」する意志はなかったということでオケ? それならこの件に関しては外道ということで納得できなくもないですが。それにしてもこの期に及んで「2月5日発効」を主張とは…。とにかく誤認であろうが、清水フロントの脇の甘さであろうが、岡崎の代理人である佃氏はまず清水サイドが納得いくような説明をするべきだろう。
てか、15日の採決先送りのFIFA“関係者”のコメント(対応)を見る限り、スポニチが煽り立てるほどの状況にまで至っているとは思えないのだが…。誰?関係者って?
※シュツットガルトとの契約が5日に発効し、今回のトラブルがルールの「解釈」ではなく「誤認」等というレベルの単純な問題ならば代理人である佃氏、田嶋副会長はなぜ、もっと「岡崎のために」早川会長をしっかり説得できなかったのだろう(これは早川会長のキャラクター云々の話ではない)。「音信不通」の佃氏は論外だとして、10日夜に行われたという電話会談で田嶋氏はどの程度問題を把握し、会談に臨んだのだろうか。「誤認」という「ケアレスミス」が契約の発効から10日も経ってから指摘されるのは実に不自然である。実際、今回のトラブル2月5日以前から発生していたし(言ってしまえば昨年末にはわかっていたことである)、その「怠慢」によって岡崎はニュルンベルク戦の不出場を余儀なくされているのだから。なぜシュツットガルト(及び佃氏)は「交渉」を避けた上で、この問題を「放置」したのか。少なくとも5日以降、シュツットガルト側が岡崎の出場に努力した形跡はほとんど見られない。
ただ、その5日に清水フロントに届いたという、シュツットガルトの顧問弁護士からの「回答」には、確かにこのこと(2月5日発効)が書かれていた可能性はある。「冷酷な」「強烈」と評したが、早川会長の言葉から、この時点でお互いの認識の違い=誤認が「共有」された可能性は伺える。しかしそれを調整するのが「代理」人ではないのか。横浜マリノスの通訳というキャリアを持ち、言葉とコミュニケーションのプロフェッショナルであるはずの代理人・ロベルト佃氏はなぜここまで両者のコミュニケーションを拗れさせたのか。事態を見守るしかない者にとって不可解で、清水サポにとって不快なのはその点だ。
しかし2月14日の報道には、
<ボビッチ・チームマネジャーも「明らかな約束があったのに(清水の)会長が突然何も知らないと言っている」と激怒。>(サンスポ 2月14日付)
とある。ボビッチ氏が言う<明らかな約束>とは一体何なのか? ここまでの経緯で両クラブが交渉らしい交渉を行った形跡はないのだから、以前も書いたがやはり代理人が両クラブに何を言ったのか、そして何を言わなかったのかという話に尽きるのではないのか。
こう書くと水掛け論の呼び水のように見られるかもしれないが、ボビッチ氏が<約束>とまで言うのだから、その痕跡はどこかに存在しているはずだ。ちなみに現時点で2回、両クラブが直接、正式に「接触」したと言えるやりとりがある。2月1日の<シュツットガルトによる岡崎のITC発行依頼の連絡>と2月5日の<シュツットガルトの顧問弁護士よる質問状の回答>。佃氏が一方的にシュツットガルトに<約束>したのでなければ、やりとりされた文書に何かが<約束>が書かれていた可能性は、ないことはない。文書に書かれている<約束>を見落とすとは…ちょっと思えないのだが。
<2月5日から岡崎はウチのプレーヤーですよOK?>とでも書かれていたのだろうか。
<岡崎はこの日、17日の欧州リーグ・ベンフィカ戦(ポルトガル・リスボン)に向けて遠征メンバーに帯同したが、クラブ広報は「登録についての進展はない」と話し、デビューできるかどうかは微妙な状況だ。>(報知・大阪 2月17日付)
2011年2月17日
国際サッカー連盟(FIFA)が岡崎の暫定的な選手登録を認める裁定。
清水エスパルス、<岡崎慎司選手のシュツットガルト移籍に関する経緯について(補足説明)Announcement of Transfer of Shinji Okazaki to VfB Stuttgart (supplemental explanation)(英訳)>公式サイトに掲載。
<サッカー日本代表FW岡崎慎司(24)がJ1清水からドイツ1部リーグのシュツットガルトへの移籍に際し、必要な国際移籍証明書が発行されていない問題で、国際サッカー連盟(FIFA)は岡崎の暫定的な選手登録を認める裁定を下した。17日、FIFAから日本協会に連絡が入った。(中略)クラブ広報によると、試合開始1時間半前までにFIFAからサイン付きのファクスが送られてきた場合、岡崎のベンチ入りは可能という。>(スポニチ・共同 2月17日付)
<今後は国際サッカー連盟(FIFA)を通じ、シュツットガルト側と移籍の経緯について争うことになる。清水の関係者は「決着には時間がかかると思う。プレーできるのはいいことかもしれないが、複雑」と話した。>(スポニチ 2月17日付)
<今回の騒動の背景には、選手の国外クラブ移籍を仲介する代理人の手法に対する日本のクラブ側の根強い不信感がある。(中略)清水のかたくなな対応には首をかしげるサッカー関係者も多い。ある代理人によると、通常は1月末で契約が切れる選手の移籍では国内外を問わず、交渉で契約を前倒しして打ち切るのが「サッカー界の慣習」。清水、シュツットガルト、その間に入った代理人が信頼関係を築けなかったことで、欧州デビューに水を差された岡崎が被害者となった格好だ。>(サンスポ 2月17日付)
※代理人は勿論、両クラブ、そして残念ながら岡崎本人の軽率な判断も批判されてしかるべきだと思うが…。しかしこれはまだあくまでも<当面の問題>の決着に過ぎない。
2011年2月18日
岡崎、直前に臨時の選手登録を済ませ、UEFAヨーロッパリーグ決勝トーナメント一回戦(1st)ベンフィカ戦にフル出場し、欧州デビューを果たす(1-2)。
清水エスパルスにFIFAから文書による公式見解が届く。
清水エスパルス、<岡崎慎司選手のドイツサッカー協会への暫定登録が認められた件について>公式サイトに掲載。
TBS系「スーパーサッカー」で密着企画を放送。岡崎移籍問題が取り上げられる。
<ずっと待っていた。やっと出られた。準備はしていたし、楽しめたらいいと思った。とりあえず第1段階を踏めた。>(報知 2月18日付)
※チームは負けてしまったとはいえ(GKが孤軍奮闘)、動き、気迫は清水時代を思い起こさせるまずまずの内容。オカが決めていれば契約問題も少しは前進したかもなァ…。
<今回の暫定登録は、FIFA規則に則って行われたものであり、エスパルスとしても、プレイヤー・ファーストの精神の下、異論を唱えるものではありません。エスパルスとしましても、岡崎慎司選手には是非ドイツのピッチで活躍してもらいたいと考えております。(中略)岡崎慎司選手の暫定登録は、エスパルスがFIFAの紛争解決評議会に対して行った、シュツットガルトのFIFA規則違反に対する申立とは別個の手続きとなります。エスパルスによる申立は、既に事件番号が付され、FIFAにより正式に受理されております。>(清水エスパルス公式 2月18日付)
<サッカー選手っていいっすね。人種を越えるっていう感じじゃないすか。国を越えて。いろんな所でやって刺激を求めるのが自分なのかなって感じ。>(TBS系「スーパーサッカー」2月18日放送 岡崎の番組内でのコメント)
※「突如襲った移籍騒動」というナレーションで始まる番組冒頭の簡単な特集コーナーで岡崎の移籍(契約)問題が取り上げられた。ドイツへ再渡航した2月4日から5日にかけて密着取材。チーム練習合流前日、スポーツバーでボルシアMG戦を観戦する姿、合流後チームメイト、サポーターと交流する様子が放送される。
番組の演出上仕方がないとはいえ、コーナー冒頭の煽りの部分で「何でこんなに苦しまなきゃいけないのかな」という岡崎のコメントがどう観ても移籍報道に絡んだ発言に観えてしまう。しかし、実際これは昨年のワールドカップ開幕前のトレーニングマッチ4連敗のときに感じたプレッシャーについての話。
移籍問題については「31日の問題」のみ指摘。小倉の簡単な説明のあとのやりとり。
加藤浩次「ということは日本のサッカーのルールをヨーロッパに合わせないと駄目じゃないすか」
小倉隆史「協会とかJリーグも考えていかないと、今後こういったことは出てきますから」
加藤「ここ修整してもらいたいなあ……でも頑張ってもらいましょう! 岡崎選手」
枡田アナ「今夜、海外サッカー、まだまだ続きます」
わずか数分のコーナーで今回の問題を解説しろというのが無理な話。しかもそれを地上波で求めるのは絶対無理。スパサカに求める方がおかしい。まあ「突如襲った」はないとは思うけれども…この状況は「突如」は「襲って」ないわけだからw しかしスポニチの報道と併せてTBS系メディアの露骨なスタンスはだいぶ見えてきましたが。
まあ臨時とはいえ実際ゲームには出られるようになったんだからテレビ的にはひとまずオッケーなのだろうが、加藤発言は今季アの移籍(契約)問題は勿論、秋春制問題への言及と受け取れないこともない(勿論本人にその意図はないと思うが)。この岡崎の問題も拡大していけば秋春制の布石ともなりかねない問題なのだから。しかも寒さに弱い静岡民の意思は別として静岡は日本で一番秋春制に耐えうる土地柄である。と怖い想像をしてみる。
<シュツットガルトと岡崎慎司との契約が二重登録にあたるとの申し立てをした清水の竹内社長が、FIFAから文書による公式見解が届いたことを明らかにした。 竹内社長によると、FIFAの調査で清水との契約期間内だった1月31日が、シュツットガルトと岡崎の契約開始日だったことが判明したという。竹内社長は「ウチとしては再確認できたということ。暫定的に岡崎のITCが発行され、出場できたことはこちらもうれしいが、その件と契約問題は別との回答もあり、引き続き裁定を待っているが、補償について(シュツットガルトと)合意できれば」と話した。>(スポニチ 2月19日付)
2011年2月19日
日本サッカー協会・小倉純二会長、移籍問題に言及。
<だが、FIFAとUEFAはこの移籍に問題はないとして、選手登録を認めた。それはベンフィカ戦が行われる日の午後のことで、岡崎は試合に先発。フル出場を果たしている。(中略)今回の件について、シュトゥットガルトのシュナイダーSD(スポーツディレクター)が口を開いた。「FIFAとUEFAは速やかに対応し、私たちに権利を与えてくれた。このことは、いかに私たちが絶対的に正しく行動したかを示している。もちろん私たちは喜んでいるし、特にリスボンでの試合前に慎司への許可を得られたことをうれしく思っている」と、報道陣に話した。>(Goal.com 2月18日付)
※おいおい、暫定暫定…。
<都内で会議に出席した同会長は取材に応じ「チームもエージェントもちゃんと勉強した方がいい。ちゃんとやるように言う」と注意喚起を促す考えを明かした。(中略)「(二重契約が)1日じゃ、ヨーロッパ側は絶対に払わない」と切り捨てた。>(デイリー 2月19日付)
※「1日」とかの問題じゃないと思うんだが…。
岡崎移籍問題でFIFAが清水に厳罰か(東京スポーツ 2月20日付)
2011年2月20日
岡崎、リーグでのデビュー戦でスタメン出場。(シュツットガルト2―4レーバークーゼン)
<「岡崎は試合に出られて良かった。でもJのクラブもきちんと(移籍金の設定や違約金を得られる)複数年契約を結ばないといけない。このままでは日本は選手を獲得しやすい国になる。(Jリーグ、日本協会で)勉強会をやってもいい。ちゃんとやんなさいと言おうと思ってるんだ」(中略)小倉会長も「1日だけじゃ欧州のクラブは普通(違約金を)払わない」と言う。欧州では考えられないトラブルだった。>(スポニチ 2月20日付)
2011年2月21日
日本サッカー協会・小倉会長、Jリーグの空洞化防止に言及。
FC東京、長友のチェゼーナへの完全移籍正式合意を発表。
<1月の移籍市場では岡崎(シュツットガルト)細貝(アウクスブルク)槙野(ケルン)らが移籍金ゼロで欧州に移籍した。「Jは危機感を持つべき。日本が欧州の狩り場になってしまう。逆にインドネシアやタイからいい選手に来てもらうのも重要。Jの放映権を買ってもらえるかもしれないし、ACLの価値も上がるだろう」と熱く語っていた。>(スポニチ 2月22日付)
<J2東京は21日、DF長友佑都(24)のチェゼーナへの完全移籍が、事務手続きを含め正式にクラブ間合意したことを発表した。(中略)チェゼーナへ完全移籍後、欧州の冬季移籍期間最終日の1月31日、インテルミラノに電撃移籍した。長友は「現在インテルにいますが、これからも青赤の誇りを胸に戦っていきます」と東京の広報を通じてコメントした。>(ニッカン 2月22日付)
2011年2月22日
代表勝利給問題、協会側が勝利給や大会ボーナスなどの詳細公開。
<日本サッカー協会は22日、選手の勝利給や大会賞与の金額などを詳細に公開し、選手会の要求に応じられない立場を示した。公開した内容は日本協会の公式サイトでも公表するという。(中略)また選手会が公式ホームページで、代表の試合での選手の負傷について一切の補償がないと主張していることに対し、1日5万円の補償が支払われていると反論した。>(共同・ニッカン 2月22日付)
※仮にオカがアジアカップで負傷していた場合はどうなっていたんだろうか…。
2011年2月23日
日本サッカー協会・小倉会長、選手会の主張を改めて批判。
<日本サッカー協会の小倉純二会長(72)は23日、「選手会のやる仕事はそういうことではない」などと、代表選手に重点を置く姿勢を批判した。(中略)主張は代表選手の待遇に関するものが中心だ。こうした動きに小倉会長は、代表だけでなく日本選手全員にかかわる賃金保障の問題や、セカンドキャリア(引退後の進路)の問題などについて、先に取り組むことが選手会の本質と訴えた。さらに、「代表になればクラブに高給で迎えてもらえるし、外国からも声がかかる。代表の価値とはそういうもの」とバッサリ。>(サンスポ 2月24日付)
<欧州連盟(UEFA)は1100億円、国際連盟(FIFA)は1000億円の年間予算があるのに対して、アジアサッカー連盟(AFC)はわずか50億円であることを明かし「アジア杯で優勝しても賞金は出ないのに、我々は選手に優勝ボーナスを出している」と話した。22日には日本協会が代表選手の勝利給や大会ボーナスなどの詳細を初めて公表。両者の言い分は平行線をたどっているが、小倉会長は「協会の実態を理解してもらいたい。代表選手は高い報酬をもらっているし、選手会がやるのはこういうことじゃない」と訴えた。>(報知 2月24日付)
<日本プロサッカー選手会の藤田俊哉会長(39=J2千葉)は23日、日本協会に対し、(中略)「昨年から両会長での直接会談を要望してきましたが、断られ続けてきました。にもかかわらず、前日の日本協会側の一方的な会見には驚いてます」とコメントした。 >(スポニチ 2月24日付)
(随時追記・加筆。2月24日以降は別エントリで継続)