■大飯原発の現地調査
(東京新聞11月2日付 大飯破砕帯 活断層なら停止、廃炉も/規制委きょう現地調査/断層上に建屋 作業困難)
<北側の海に近い試掘溝(トレンチ)では、関電がないとしていた断層を確認、原子炉に近い山頂の溝では、過去に断層が動いたことを示す粘土を確認した。関電は再調査の中間報告で活断層を否定したが、根拠が揺らいだ形だ。>
(東京新聞11月3日付 活断層「否定できず」/規制委調査 大飯、関電の主張揺らぐ)
■専門家はここに注目
<敷地内の「F-6断層(破砕帯)は動くのか――。関西電力大飯原発(福井県)で二日、原子力規制委員会による初めての現地調査が終わった。調査チームは、関電の再調査の中間報告とは食い違う断層を二ヶ所で確認した。規制委はどこまで科学的かつ明快に判断できるのか。大飯の調査は規制委の信頼性を占う試金石でもあるだけに注目される。>
(東京新聞11月3日付 関電との相違どう判断/大飯原発調査 断層年代焦点に 規制委「結論急がない」/見守る自治体、住民)
※大飯原発断層調査団
島崎邦彦(原子力規制委員長代理・東京大名誉教授)
岡田篤正(立命館大教授)
渡辺満久(東洋大教授)
重松紀生(産業技術総合研究所主任研究員)
広内大助(信州大准教授)
■原子力規制委員会の大飯原発再調査
<意見がまとまらないのは、データ不足が大きな原因。関電が新たな試掘溝(トレンチ)を掘る準備を進めており、その調査を経ての結論となる見込み。(中略)規制委はデータ不足を補うため、関電に新たな溝を掘るよう指示。関電は掘削の準備として原子炉南側でボーリング調査を進めており、二月中旬に終わる予定だ。規制委はボーリングで取り出した土の鉱物や地層の状況を専門業者に分析してもらい、そのデータを基に次回の評価会合を開く。ここで明確な証拠が出なければ、関電が溝を掘り終わるのを待つことになるが、工事完了は早くて四月。大規模になれば一年ほどかかる可能性がある。>
(東京新聞2003年1月17日付 大飯断層調査 長期化へ 結論持ち越し規制委)
■大飯原発周辺の活断層
<原子力規制委員会は10日、運転中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が新しい規制基準に適合するかを確認する評価会合を開き、耐震安全上、周辺にある3つの活断層が連動した場合を想定するようあらためて求めた。関電は、断層の長さがこれまでより短いことなどが判明したなどとして「連動を考慮する必要はない」と主張、平行線に終わった。(中略)規制委側は、関電の地下探査の不備を指摘。島崎邦彦委員長代理は、地形や地質の調査結果を踏まえて「構造的にみても三連動は非常にあり得る」と述べた。また、「万一ではなく、三連動ありきで想定してほしい」として、機器への影響を厳しく評価し直すように求めた。>
(東京新聞2003年4月11日付 規制委評価会合 大飯3断層連動 関電「考慮せず」)
<関電は3、4号機南隣に東西約70㍍の試掘溝を掘り、その東端で断層を見つけた。延びる方向や、ずれ方などから、F-6断層の一部と判断。「断層の上にある新しい地層にずれがなく、活断層ではない」と強調した。関電は報告書をまとめ、7月中旬までに規制委に報告する。その後、規制委の専門家チームが現地調査する。専門家チームは昨年11月、F-6断層が想定とは違う
場所を通っている可能性を考え、約300㍍の試掘溝を掘って詳しく断層を探すよう指示した。実際に関電が掘った試掘溝はその4分の1以下の長さ。調査不足を理由に、規制委側がさらに追加掘削を求める可能性がある。>
(東京新聞2013年7月2日付 大飯破砕帯試掘 関電「活断層ではない」/指示より狭い範囲調査)
<この日の実質的な議論は15分ほどだったが、話のほとんどが関電の姿勢に関するものだった。「技術的な面では、(運転継続の)結論を支持する。しかし、関電の安全への意識や行動を評価するというのであれば、合格点には達していない」中村佳代子委員は(中略)関電の姿勢を厳しく批判した。島崎邦彦委員は、原発の地盤を三次元で詳しく調べ、想定外の揺れに襲われないよう備えるよう新基準で定めたのに、関電が積極的に取り組もうとしないことを問題視。「ほかの場所の地盤構造と同じだろうという安易な把握の仕方に、びっくりしている」と苦言を呈した。>
(東京新聞2013年7月4日付 大飯原発の運転継続容認「安全意識は合格点ない」規制委員、関電を批判)
■大飯原発の断層調査の動き
<原子力規制委員会の専門家チームは27日、関西電力大飯原発(福井県おおい町)で、三回目となる現地断層調査の初日を終えた。>
(東京新聞2013年7月28日付 北側の試掘溝と比較へ/大飯断層 規制委、手応え触れず)
<原子力規制委員会の専門家チームは28日、2日間にわたる関西電力大飯原発(福井県おおい町)の三回目の現地断層調査を終えた。(中略)今回は日程の調整ができずに不参加だった2人の専門家の現地調査を待ち、来月中旬以降に議論を始める。関電は、9月に定期検査入りし運転を停止する大飯原発について、検査後の再稼動を申請しているが、規制委は断層調査の結論が出るまで審査に入らない。>
(東京新聞2013年7月29日付 大飯断層 延び見極めへ/規制委 来月中旬以降に議論)
<F-6断層は、機器を冷やす海水を取り込む重要な取水路の真下を横切っている。チームは、原子炉の南側に関電が新たに掘った試掘溝や、原子炉北側にある山頂の試掘溝を調査。地層のずれの状況や、岩盤同士がこすれてできた粘土の分析から、F-6断層が動いたのは12万~13万年前より古い時代だと判断。活断層ではないとの結論になった。>
<原子力規制委員会の専門家チームは、関西電力大飯原発の「F-6断層(破砕帯)」を活断層ではないと判断したが、調査を進めるうち、関電が当初主張していた場所とははずれていたことが判明。関電がきちんと調べていたのかどうか、信頼性に疑問符がついた。2日の会合でも、専門家からは疑問を指摘する声が消えなかった。「ほかの原発でも言えるが、建設前の電力会社の調査や国の審査のいいかげんさが、はっきりした」。チームの渡辺満久東洋大教授は評価会合後に語った。(中略)渡辺氏は会合後、議論に一定の理解を示したものの「F-6断層の姿がこれだけ大きく変わると、敷地内のほかの断層が大丈夫なのかという疑いを拭えない」と語った。>(東京新聞2013年9月3日付 大飯直下「活断層なし」/破砕帯 規制委チームが一致/「当初の関電調査ずさん」ほかの断層にも不安残す)
<経緯を簡単に説明すると―。まず関電は自ら想定した断層が「存在しない」と突然言い出した。その代わりに「別の場所に断層がある」と強弁。その場所を調査団が調べる都、たまたま活断層ではなかった。これか今回のあらましという。もう少し詳しくはこうだ。昨秋の調査団の現地調査では、原発北側の「海岸の試掘溝(図A、断層を調べるために掘った穴)」で地層のずれが見つかった。「単なる地滑り」という意見がある一方、渡辺教授は「活断層の可能性がある」とみた。もしこの断層が、設置申請時に想定した大きな断層(F-6断層)とつながっていれば、F-6断層が活断層である可能性が出てくる。F-6断層は原発の重要施設(今回は取水路)の直下を通っている。活断層なら安全審査を通らない。「すると突然、関電は『断層の位置は間違っていた』と言い出した。あまりのいいかげんさに、ぼうぜんとした」(渡辺教授)。関電は新たな断層の場所を特定した上で「活断層ではない」と主張。そこで調査団は関電が断層と主張する場所にある「山頂の試掘溝=同B」や「南側の試掘溝=同C」を調査。その結果、「この二ヵ所の断層に活断層はない」ということで合意した。渡辺教授は「重大な意味を持つ断層の位置が、こんなにコロコロ変わるとは…」と憤る。>
(東京新聞2013年9月7日付 活断層ではないと一致点でも 活断層がないわけじゃない/断層の位置関電が一転「徹底調査必要」/大飯原発調査団 渡辺教授が警告)