TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

コーヒーな日々

2011年01月03日 | インポート
 出勤途中に、コーヒーのチェーン店がある。

 朝、その前を通るたびに、
「ああ、ここで一時間ばかり、寄り道したい、サボりたい」
「サンドイッチを食べながら、まったりしたい」
 という誘惑にかられる。

 そんなに行きたいのならと、、この年末年始の休暇中、
普段から食べたいと思っていたものを食べ、過ごしてみたいと思っていた過ごし方を
してみようと思い立った。

 「有給休暇は、20日までしか繰り越せない、それなれば、消化しないと、損、損」
といった、小役人の見本のような考えもあり、ため込んだ休暇を一気に使い果たさん
と、なんと、年末年始は、12連休。
 いい機会である。

 何も、コーヒーのチェーン店に限らなくてもいいのだ。
丼物の店、パスタの店、おいしそうない店はたくさんある。
 平日の昼間っから、今まで食べたことがないものを、食べに行ったっていいのだ。

 しかし、一旦店にはいると、少なくとも、2時間は長居したいたちである。
そうなってくると、店の雰囲気が知れていて、
行き慣れた、コーヒーのチェン店に、どうしたって、落ち着くことになる。

 果たして、この休みの間、店の丸いテーブルを占拠して、
読みたい本を、読むことができ、妄想に浸ることもできた。
 しかし年が明ける頃になると、さすがに、飽きてきた。
 インスタントラーメンや、家でかきこむカレーライス、
職場の事務机で食べる冷凍食品ばかりの手作り弁当でさえ、なつかしく思えてくるではないか。

 自由と言えば自由。
凧糸の切れた凧のような、心もとなさ。
 そうかといって、遠くに飛んで行くには、冒険心も、体力も、もはやない。
 この定年後を予測させるような過ごし方。

 ヒトはある程度、「拘束」が必要なのではないか。
行く場所があり、こなすべき仕事があり、座る席があり、
待っている同僚がいる。
(まあ、待たれているのは、わたしではなくても、電卓叩く、ロボットでもいいのだけど)

 この、普段は、わずらわしいとしか思えないような状況の有り難さがわかるための、
休暇だったとも言えなくもない。
 制約あって初めてわかる自由のありがたみ…とは、今更言うまでもない。

 明日4日は、初出勤。
明けましておめでとうございます、の挨拶のたびに、席を立ったり座ったりして、
出勤後1時間ぐらいで、早くも事務所を抜け出したくなるのだろう。
 
 スーパーに寄れば、あれほど山のようにあった、かまぼこや黒豆の類が
綺麗に片づけられ、その賑わいに乗り切れなかったことに一抹の寂しさを感じながらも、
なんとなくホッとするのだ。

 そして、コーヒーショップの前を通るたびに、
「寄り道して行きたい」
「コーヒーの一杯でも飲んでいきたい」
「新しいサンドイッチが発売された~」などと、
相変わらず、横目で睨みながら、駅に向かう日々が続いていくのだと思う。

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