焦げパン一丁できあがり

昨日の朝のことである。
朝食用にと、パンをオーブンレンジにセットし、スイッチを押した後、顔など洗おうと洗面所に引っ込んだ直後、なにやら、こげくさ～い匂いが漂ってくる。
嫌な予感がして部屋にもどってみると、さっきいれたばかりのクルミパンからもうもうと白煙が立ち上り、それがレンジの外にまで噴き出して、狭い部屋が煙で充満している。
それからのことはあまり覚えていない。
とりあえず、取り消しボタンを押して、扉を開き、もう芯の芯まで炭化して真っ黒になったパンを取り出した。
手が震えていたかどうかはわからないが、おそらく動転はしていた。
発火はしていないことに安堵し、念のため、”元パン”を水に浸して、ゴミ袋に捨てた。
そういえば、以前にも、レンジ機能を使ったあと、扉をしめても異音が止まらず、それでもいちおう問題なく温まるので、一時的な不具合なのだと思って見過ごしてきた。
しかし、今回ばかりはそうはいかない。あのままだったら、間違いなくパンは火を噴いていた……。
出勤時間はせまっている。窓を開け、換気扇をまわし、玄関のドアを開け、空気の入れ替えを試みたが、なにぶん、一方向にしか窓がついていないので、換気の効率がすこぶる悪い。
窓が少ないと、窓ふきが楽だわ💛などと思っていたが、こんなときは、大変もどかしい。
換気しながら、取扱い説明書にあったお客様相談窓口にメールを打つ。
早くしなくてはと気持ちがあせり、誤字脱字の連発。
ようやく打ち終わったところで、時間切れ。
あとは相談窓口からの回答待ちということにして、換気も不十分のまま、とりあえずレンジのプラグを引っこ抜いて、心を大いに残しながら家を出た。

相談窓口からの回答は早かった。
こんなとき、メールは便利である。仕事中に私用電話はいちいち席を立たねばならず、はばかられるが、メールだと、合間にこそっとやりとりができる。
要するに、加熱装置の故障だそうだ。
パンを焼く時に、オーブンレンジと電子レンジ機能の両方がいっぺんに作動したのではないかということだ。（そりゃ、熱くもなるよね。サウナに入りながら、同時に５０度の温泉に浸かっているようなものかしら？）
修理するよりも、買ったほうが、お安くつくという結論になり、買い替えることに決着した。

思えば、ひとり暮らしを始めた９年ほど前に購入したレンジである。
電化製品の寿命は１０年。もう十分働いてくれたのだから、と思うものの、なんとなく思い入れがあるようで、感傷的な気分にもなる。‥
そういえば、同時期に買った洗濯機も以前、不具合を起こした。
同じ頃に買ったあれやこれやの電化製品が、今後、一斉に壊れていくのかと思うと、暗澹とする思いだ。
しかも、それはある日突然やってくるのだ。
早速明日にでも買いに行くつもりではあるが、配送はいつぐらいになるかしら？
ご飯一杯の温めから、レンジにどっぷり依存する生活をしていたものだから、短い期間でも、これがないと実に不便である。

　そしてもうひとつ、毎年２回、消防点検として天井の煙感知器を検査しているのだが、今回あれほどの煙が充満したのにかかわらず、ウンともスンとも反応しなかった。
これは、だいじょうぶなのかしら。