TOMATOの手帖

日々の生活の中で出会う滑稽なこと、葛藤、違和感、喪失感……などをとりとめもなく綴っていけたらと思っています。

せっかくだから…

2012年05月16日 | インポート
 5年ぶりに、ホルター心電図を装着する。

 どうした加減か、鼓動がスキップしたり、つまずいたり、妙なリズムを刻み始めるのである。
 これを一般に、動悸、とか脈が飛ぶ、とか言うようだが、
実感としては、いまひとつしっくりとこない。
 動悸は、ドックンドックンと、(規則正しく)強く打つ感じだし、脈というのは、あくまでも
手首で測ったもの。
 わたしにとっては、やはり、胸の中で、鼓動がスキップする、またはつまずく、…そんな感じだ。

 心身の症状を他人に、説明するのは難しい。
痛い、痒い、苦しい…という共通語は、あるものの、
その感覚は、個人的である。
 聞いた方も、自分の経験あるいは見聞から、想像するしかない。
相手の訴えが、果たして自分の想像するものと同じなものか、
保証の限りではない。
 まあ、お腹が痛い、頭が痛い、足が痒いの類は、それほど個人差もないだろうが、
痛くも痒くもない、なんだか気になる不快感のような微妙な症状については、
言葉での説明に限界を感じることが多い。

 心電図装着中は、行動と症状の記録を記入するのだが、症状の項目を見ても
ぴったりとくるものがない。
 とりあえず、痛い、めまい、倦怠感など、そのほかの症状にはあてはまらないので、
より近いと思われる「動悸」を選ぶ。
 消去法である。

 さて、この動悸というもの、精神的なものが本当に大きいと思う。
 以前もやはり、、5分おきぐらいに「スキップ」するので、これは絶対異常だ!と確信して、
病院へ直行した。
 しかし、ホルター心電図の予約をとった翌日から、症状が徐々に消失し始め、
いざ、装着してみると、あれほど頻繁に起こっていたのに、
とうとう、一度もおいでにならなかったのだ。

 今回もきっとそうなるであろうと、「期待」していたのだが、さにあらず。
「付けた」ということに対して、なぜか緊張してしまい、夜はほとんど眠れず、
その上、あれやこれやの体調の具合も重なり、スキップするわ、するわ、
回数など、いちいち数えていられないほど。
 そうなってくると、余計に、気持ちが胸のあたりに、集中するものだから、さらにスキップ。
記録を付けるために、生活しているような気にさえなってくる。
 挙句、行動と症状を記録する欄が足りなくなり、自前のメモ用紙を追加する羽目になった。

 
 長い一日が終わり、夜、「お疲れ様でした」の看護師さんの言葉とともに、
しっかりと固定されたテープがベりべりとはがされた時の、何ともすがすがしい気持ちと言ったら!
検査自体、何の苦痛もないのだが、こうした装置を付けていたこと自体が、ストレスとなって
いたことは確かだ。
 皮肉なことに、これが症状をより誘発させていたとさえ思える。

 話しを聞いた先生曰く、
「なるほど! (症状が)いろいろ出てよかったですよ。」
何も出ないと、せっかく検査した意味がないということだ。
 まあ、そう言われれば、確かにおっしゃるとおりなんですけどね。

 あとは、解析結果が良性であることを祈るのみ。(←あれほど症状が出ても、やはり心の中では、
”気のせい”にしたがっている。)

 最近、治療よりも、検査にかける時間やエネルギーのほうが多いような気がするのだが、
これも、考えようによっては、健康の証と言えなくもない。

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