米カリフォルニアで開かれていた米国防総省主催の災害対応ロボットコンテストの決勝戦は6月6日、韓国のチームが優勝し、約2億5000万円を獲得した。2位、3位は米国のチームであり、日本からは、5チームが参加し、最高は23チーム中10位であった。韓国が3チーム、中国からは香港チームのみが参加したようである。
コンテストは2011年の東日本大震災で発生した福島原発事故を踏まえ、3年前から開催されていた。決勝戦は各チームの人型ロボットが運転やドア通過、バルブ回栓、壁の穴開け、階段上りなど8つの課題が設けられた障害物コースで競った。
日本はロボット技術では世界最高のはずである。しかも、課題は福島第1原発事故を想定していたとなると、当然優勝は日本チームだと思っていた。しかし、最高10位とは情けないと感じたが、背景には諸事情があり、そう悲観することではなさそうだ。
恐らく、主催が米国防総省であることが一番の原因であろう。国防省が主催となると、災害対応ロボットであっても、兵器への転用を想像する。日本は平和国家であり、兵器の開発には二の足を踏む。最近無人飛行機による爆撃等が実戦でなされ、また、ロボット兵士の登場も現実味を帯びてきた。ロボットによる戦争は、情報におけるサイバー戦争とともに、21世紀を特徴づけるものとなろう。各国の軍事部門は多くの予算をロボットの開発に注いでいることだろう。今回中国は本土からの参加は無かったが、手をこまねいているはずは無い。
日本では原発事故の後始末が大問題であり、これにはロボット技術が欠かせない。溶け出た核燃料には人間が近づけない。有線ないしは無線操縦型のロボット、あるいは自立型のロボットが必須になろう。その開発費は膨大なものとなろうが、ここで金を惜しんでいたら、いつまでたっても廃炉問題は解決しない。日本のロボット技術の底力をここで見せつけてもらえるものと期待する。
しかし、無事ロボット技術により廃炉が完了した暁にも心配の種は残る。すなわち、開発費の回収である。資本主義の原則は投資に見合った収益である。地球温暖化のためか、自然災害は大規模化し、ここに災害対応ロボットの活躍の場がありそうだが、それより、兵器への転用が手っ取り早く、ロボット戦争がより現実化する恐れが高まる。
災害対応の人型ロボットは、屋内の偵察や爆弾処理に即転用可能であろう。核燃料の処理よりはるかに簡単と思われる。これと最近話題のドローンを組み合わせると、映画 “ターミネータ“ の世界が現実味を増す。
ロボット技術は汎用技術である。兵器への転用を恐れ、災害対応ロボットの開発をしないわけにはいかない。科学技術のジレンマである。(犬賀 大好-138)
コンテストは2011年の東日本大震災で発生した福島原発事故を踏まえ、3年前から開催されていた。決勝戦は各チームの人型ロボットが運転やドア通過、バルブ回栓、壁の穴開け、階段上りなど8つの課題が設けられた障害物コースで競った。
日本はロボット技術では世界最高のはずである。しかも、課題は福島第1原発事故を想定していたとなると、当然優勝は日本チームだと思っていた。しかし、最高10位とは情けないと感じたが、背景には諸事情があり、そう悲観することではなさそうだ。
恐らく、主催が米国防総省であることが一番の原因であろう。国防省が主催となると、災害対応ロボットであっても、兵器への転用を想像する。日本は平和国家であり、兵器の開発には二の足を踏む。最近無人飛行機による爆撃等が実戦でなされ、また、ロボット兵士の登場も現実味を帯びてきた。ロボットによる戦争は、情報におけるサイバー戦争とともに、21世紀を特徴づけるものとなろう。各国の軍事部門は多くの予算をロボットの開発に注いでいることだろう。今回中国は本土からの参加は無かったが、手をこまねいているはずは無い。
日本では原発事故の後始末が大問題であり、これにはロボット技術が欠かせない。溶け出た核燃料には人間が近づけない。有線ないしは無線操縦型のロボット、あるいは自立型のロボットが必須になろう。その開発費は膨大なものとなろうが、ここで金を惜しんでいたら、いつまでたっても廃炉問題は解決しない。日本のロボット技術の底力をここで見せつけてもらえるものと期待する。
しかし、無事ロボット技術により廃炉が完了した暁にも心配の種は残る。すなわち、開発費の回収である。資本主義の原則は投資に見合った収益である。地球温暖化のためか、自然災害は大規模化し、ここに災害対応ロボットの活躍の場がありそうだが、それより、兵器への転用が手っ取り早く、ロボット戦争がより現実化する恐れが高まる。
災害対応の人型ロボットは、屋内の偵察や爆弾処理に即転用可能であろう。核燃料の処理よりはるかに簡単と思われる。これと最近話題のドローンを組み合わせると、映画 “ターミネータ“ の世界が現実味を増す。
ロボット技術は汎用技術である。兵器への転用を恐れ、災害対応ロボットの開発をしないわけにはいかない。科学技術のジレンマである。(犬賀 大好-138)