4月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食料を除くと前年比で実質横ばいとのことである。しかし、スーパーマーケットでの油や乳製品等の値上がりを見ると、CPIと生活実感のずれが気になる。
総務省が発表するCPIは、食料品、日用品、家賃、電気、電話料金等、588品目の総計であるとのことで、この定義からは限られた乳製品等の値上がりは全体からすれば微々たることのようでる。
アベノミクスでは、デフレ脱却を目指し、CPI の目標値を2%としている。インフレ傾向となれば、庶民は買い急ぎをするため、物が良く売れるようになり、企業が儲かり、給料が上がり、更に物が売れるようになるとの好循環を想定している。
ところで、実質賃金指数(賃金上昇が物価の伸びをどの程度上回るかの指数)は、4月の勤労統計(厚生労働省)によれば前年より0.1%増えて2年ぶりにプラスに転じたそうだ。この値を信ずれば、アベノミックスが好循環を始めたこととなり、喜ばしいことだ。また、2014年度の国の一般会計の税収は51.7兆円を越す見込みで、リーマンショック以前の額を上回る勢いらしい。株価も日経平均2万円を越し、目下、日本の景気は絶好調と言ったところである。
しかし、実質賃金指数も来年度は「原油高や円安による物価上昇」で再びマイナスになる恐れがあるそうだ。原油高や円安は外国との関係で決まる現象であり、また株価も外人投資家が6割以上だそうで、日本の景気は国内の事情だけでは決まらない危うさがある。
更に、日銀主催の国際会議で、黒田総裁が「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」と発言したとのことである。これは“景気は気持ち次第”との意味であろう。かってのバブル全盛期の頃、日本(の全土地)を売れば米国全土が買えると浮かれバブルを一層膨らませた。今回の一見好景気も全員がそれを信じてお金を使うようになれば、好景気が持続されるが、信じなければ尻つぼみに終わってしまうと言いたいのであろう。黒田総裁もついに、万全の策はつき、神頼みになったのではないかと、日本の将来が心配になる。
バブルが弾けて20年余り、高齢者にはバブルの後遺症が今だに残っており、特に肝心の銀行筋では拓銀や日興証券の破綻の記憶が生々しいのではなかろうか。国民全体、“笛吹けど踊らず“ 状態が依然として続いていると思われる。実質経済に裏打ちされない好景気を国民は冷静に見ているのだ。
黒田総裁は莫大な金融緩和をしながら、インフレ基調にならないのを内心不思議に思っているに違いないが、このバブルの後遺症を認識しているのだろうか。いや、認識したからこそ、前記の発言となっているに違いない。(犬賀 大好-140)
総務省が発表するCPIは、食料品、日用品、家賃、電気、電話料金等、588品目の総計であるとのことで、この定義からは限られた乳製品等の値上がりは全体からすれば微々たることのようでる。
アベノミクスでは、デフレ脱却を目指し、CPI の目標値を2%としている。インフレ傾向となれば、庶民は買い急ぎをするため、物が良く売れるようになり、企業が儲かり、給料が上がり、更に物が売れるようになるとの好循環を想定している。
ところで、実質賃金指数(賃金上昇が物価の伸びをどの程度上回るかの指数)は、4月の勤労統計(厚生労働省)によれば前年より0.1%増えて2年ぶりにプラスに転じたそうだ。この値を信ずれば、アベノミックスが好循環を始めたこととなり、喜ばしいことだ。また、2014年度の国の一般会計の税収は51.7兆円を越す見込みで、リーマンショック以前の額を上回る勢いらしい。株価も日経平均2万円を越し、目下、日本の景気は絶好調と言ったところである。
しかし、実質賃金指数も来年度は「原油高や円安による物価上昇」で再びマイナスになる恐れがあるそうだ。原油高や円安は外国との関係で決まる現象であり、また株価も外人投資家が6割以上だそうで、日本の景気は国内の事情だけでは決まらない危うさがある。
更に、日銀主催の国際会議で、黒田総裁が「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」と発言したとのことである。これは“景気は気持ち次第”との意味であろう。かってのバブル全盛期の頃、日本(の全土地)を売れば米国全土が買えると浮かれバブルを一層膨らませた。今回の一見好景気も全員がそれを信じてお金を使うようになれば、好景気が持続されるが、信じなければ尻つぼみに終わってしまうと言いたいのであろう。黒田総裁もついに、万全の策はつき、神頼みになったのではないかと、日本の将来が心配になる。
バブルが弾けて20年余り、高齢者にはバブルの後遺症が今だに残っており、特に肝心の銀行筋では拓銀や日興証券の破綻の記憶が生々しいのではなかろうか。国民全体、“笛吹けど踊らず“ 状態が依然として続いていると思われる。実質経済に裏打ちされない好景気を国民は冷静に見ているのだ。
黒田総裁は莫大な金融緩和をしながら、インフレ基調にならないのを内心不思議に思っているに違いないが、このバブルの後遺症を認識しているのだろうか。いや、認識したからこそ、前記の発言となっているに違いない。(犬賀 大好-140)