政治家の派閥と言えば政策や主義・主張に共通点のある者同士が集まる集団であり、この意味からは自民党ばかりでなく他の政党にも研究会やグループと称する派閥がある。この派閥は総裁や首相を選ぶときに特に力を発揮するため自民党の派閥が有名になるのだ。
自民党の総裁選挙には派閥が一丸となって選挙に臨むため、派閥に属する人数がものを言う。現在自民党には主な派閥が5つありそれぞれ、安倍派99名、麻生派55名、茂木派54名、岸田派46名、二階派(44名)だ。岸田現首相の派閥は最大派閥ではないが、前首相の菅氏の前の安倍氏が最大派閥を率い10年程度の長きに亘って君臨したため弊害が大きくなり、岸田氏が首相となる特殊事情による結果だ。
一昔前は派閥の力は絶大であった。この元となる力は金であり、各派閥は1994年の政治改革で企業・団体献金を受け取ることができなくなり、派閥の構成員への分配金も無くなってしまった。この為派閥の求心力は激減したと思われたが、派閥が無くなることは無かった。現在派閥の力は数と言われ総裁選では力を発揮するため各派閥は勢力拡大に余念がない。属する派閥の長が首相にでもなれば大臣や各種委員会の長の役目も可能性が高くなるメリットがあるのだ。
少数派閥の長が首相になっても大派閥の影響力は大きく、大臣への登用にも気を使わなくてはならない。現在の岸田内閣では、最大派閥の安倍派から4人、岸田派・茂木派・麻生派から3人、二階派から2人、森山派から1人という派閥の均衡を取った人数構成となっており、独自の政策実行にも気を使わなくてはならないようだ。
さて、毎日新聞は5月20、21の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は45%で、4月15、16日実施の前回調査の36%から9ポイント上昇した。支持率は昨年12月には25%に落ち込んでいたが、今年5月19~21日開催のG7広島サミットを成功裏におさめたとされる影響か急激に上昇したようだ。
これを受けて、自民党内で早めの解散総選挙が望ましいとの声も出始めたようだ。総選挙が行われても各政党の当選人数は大して変わらず、相変わらず自民党が大勢を占めるであろう。興味あるのは自民党の派閥の行方、特に安倍派の行方だ。現在安倍派は今もって後継者が決まらず各候補者が牽制しあっているようで会長が決まる気配が無い。また山口3区の選挙区では岸田派と安倍派の争いがあるとのことで、安倍派は明恵夫人まで動員して安倍派の底入れを図っているとのことだ。更に、安倍氏と仲の良かった公明党との選挙協力がほころび始め行方がどうなるかが関心の的だ。
兎も角、安倍元首相の影響力が低下していることは確かであろうが、安倍派の人数は大きい。岸田首相はこの点にも気を配りながら解散時期を練っていることだろう。2023.06.10(犬賀 大好ー922)
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