世界の大手の自動車メーカは競って電気自動車(EV)を開発しているが、マスコミに登場するのは概して高級車だ。日産を代表するEVであるリーフも最低価格でも300万円程度だ。EVはガソリン車に比べて構造が極めて簡単なため、低価格が特徴となる期待があった。
走行距離より充電のし易い、無人運転出来なくても操作が簡単な小型車の方が、島国日本に相応しいと思うが、自動車メーカは世界の市場を目指しているのか低価格自動車の開発に力を注いでいないようだ。現在の日本の貿易の稼ぎ頭は自動車だ。日本の市場だけでは狭すぎる。世界を相手にしなくてはならない事情は理解できる。
しかし、ネットで検索すると安価なEV車は結構ある。例えば、中国産のKiWiは12万円から16万円、インド製のEaS-Eは82万円程度、日本製のC+Pod は165万円~171万円である。しかし、航続距離の違い、何人乗りかの違い等、幅広い車種があり、急速充電対応・電費等も様々で価格だけで公平に比較するのは無理だ。更にここに政府の補助金も加味すると何が何だか分からなくなる。
昨年2022年の地域別のEVの販売台数は、中国が2021年比約8割増の約453万台と最も多く、ドイツや英国を含む西欧も約3割増の約153万台で、米国は約80万台であり、日本は約5万台に留まり低調だ。日本では世界に比べEVの普及は低調であるが、EVの中でも軽自動車のEVが好調だったようだ。
今年4月の販売台数トップは日産の4,323台で、軽自動車サクラがこの数カ月の間4,000台前後を維持していたそうだ。サクラの価格は233万円以上だが、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金を活用した場合の実質購入価格は約178万円からとなるそうだ。それでも決して安くはないが、価格300万円以上の日産リーフの851台と比べ遥かに多く売れている。
日本でEVが普及しない原因のひとつに充電設備の不足が挙げられているが、軽自動車EVは自宅で充電することが原則とのことで、普及の可能性は大きい。この点価格の低い外国車は有利と思われるが、最大の不利な点はアフターサービス等の点で不安があることであろう。日本では車の営業店が無数と言えるほどあり、維持・整備の点では完備している。この点、日本での販売は不利であろうが、構造が簡単である故、現在とは違った整備システムが出来るかも知れない。
現日本ではEVよりハイブリッド(HV)が圧倒的に多い。欧州委は2021年7月、乗用車や小型商用車の新車によるCo2排出量を2035年までにゼロにする規制案を発表した。HVを含むガソリン車の販売を事実上禁止し、電気自動車(EV)や燃料電池車への移行を促す内容で、欧州議会も2022年10月にEU加盟国と合意した。日本もこの方針に従わざる得ないだろうが、まず日本の国内での普及が先決であろう。
今後電気自動車の開発方向は二分化すると思われる。無人運転等を含む高級化と近距離移動を主とする低価格化である。2023.06.07(犬賀 大好ー921)
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