福島第1原発の事故をもろにかぶった福島県双葉町は、昨夏、中心部の復興拠点が避難解除となるまで居住人口ゼロの状態が続いた。震災前、町人口は7000人余りだったが、今年3月現在でも町に暮らすのは約60人に過ぎない。現町長は街の復興を目指して努力しているがなかなか思い通りにならないそうだ。残留する放射能を心配して戻らないのではなく、少子高齢化の影響がそうさせていると思う。
双葉町に限らず、少子高齢化の波をまともに受け地方の転出超過、限界集落化、過疎化は全国に広がっており、既に全国1799自治体のうち約半数にあたる自治体が消滅可能性都市に該当するという調査結果を日本創成会議が発表している。
若い時に都会に働きに出た人が高齢になっても元の場所に戻らず住み続ける為、日本全国年齢層の不均一化が進み、都会は過密、地方は過疎となり土地は荒れる一方だ。地方に広がる所有者不明土地や空き家の増加対策、耕作放棄地の解消の為にも、地方の活性化は必須である。
地方活性化を進めるには、いかにして地域資源を有効活用できるかが成功のカギであり、自然、伝統、等のあらゆるモノを対象とする必要があるとの指摘もある。しかしこれらの資源を生かした地方独自のイベント開催等で一時期賑わうかも知れないが長続きさせることは難しい。永続させる為には若者が戻って来るあるいは移住し定住することが理想的である。
2014年に内閣府が「農山漁村に関する世論調査」を実施している。そこには、買い物・娯楽施設がない(44.3%)、地域内交通が貧弱(44.0%)、医療機関が少ない(37.0%)、子どもの教育施設が弱い(25.9%)など多くの課題が示されている。これらの課題はいずれも人口が少ないことが根本原因である。人口が多くなれば自然と解決される問題であり、卵が先か鶏が先かの問題となる。
新型コロナウイルスの蔓延で、在宅勤務が拡がり、それを機会に地方に移り住みオンラインで仕事をする人も増えたようだが、微々たるものであろう。仕事と休暇を同時にするワーケーションなる言葉でマスコミはもてはやしたが、最近も盛んであるとの話は聞こえてこない。一方、コロナ後都市部では人手不足が激しく、地方から都市部へ出てくる人の方が多いだろう。
地方でも生活の糧が得られれば移り住む人も出てくるだろう。テレビでも良く長年の夢としてパン屋さんやカフェーを開業等した人を華々しく取り上げているが、周辺にお客さんが居ての話であり、長続きするか疑問である。
自然を相手にする農業、林業はきつく、汚いのイメージであるが、機械化やインターネットを活用した販売も進んでおり、将来に夢を託する若者も出てくるだろう。政府も地方自治体も地方移住に様々な支援をしているが、岸田首相も異次元子育て支援の一環として、所有者不明土地を無償で貸与あるいは譲渡することくらいの思い切った政策を打たなければ地方の活性化は望めない。2023.05.31(犬賀 大好ー919)
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