現在、世界の人口は79億人を超えるが、このまま増加を続けると2050年の世界人口は97億人を突破すると予想されており、食糧や資源の不足から人口抑制対策が叫ばれている。しかしその一方、経済が発展した先進国では少子化が問題となっており、特に日本では異次元の少子化対策が検討されている。現在の地球上は真反対の対策を必要とする国で二分されている。
世界人口の増加の過半は、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、等の発展途上国と言われており、経済的に貧しい家庭が多く、労働力の確保が子どもを産む理由の一つにもなっているそうだ。また、避妊や中絶などの知識不足や医療体制の不備から幼児の死亡率が高いことも発展途上国の出生率が高い原因ともなっているようだ。
昔から貧乏人の子沢山なる言葉がある。これは、子どもを育てるためには金がかかり、そのため子どもの多い家庭は貧乏となる、とも解釈できるが、マウスなどの動物を実験で食料不足の状態に置くと多産化する傾向が認められていることと同じ現象が人間界でも起こっているとの解釈も出来る。人間男子の精子の数が飽食の現代、減少しているとの記事を何かの本で呼んだ記憶がある。種の保存の原則を考えるとありそうな話だ。
人口の急増は、産業革命によって経済が発展したころから発生するようになったようだ。産業革命以前の飢えの時代は子どもがたくさん産まれても長生き出来ないため、人口が増えなかったのであろう。技術の革新によって作物の生産能力が上がったことや、医療の発達により、死亡率が低下したこと、が急増の原因に挙げられる。しかし、更に経済が発展し生活が豊かになると、飢えの心配がなくなり価値観が多様化し、出生率の低下となるのであろう。
地球全体で見た場合、現在の技術や環境で何人の人間を養なうことが出来るか。様々な仮定の下様々な説があるが、現在地球上に混在する飽食の人々や飢餓に苦しむ人々を平均化しても、97億人は既に定員を超えているのかも知れない。
この点、発展途上国の人口急増の対策は必須だが、先進国の少子化対策はそれほど必要ないのかも知れない。先進国の問題は人口構成にあり少数の若者が多くの老人を支えなくてはならないところにある。日本も団塊の世代がいなくなれば安泰だと主張する者もおり、高齢者にとって住みにくい社会となりそうである。
地球上を二分する問題の解決には、発展途上国と先進国の協力が必要だ。途上国では安定した生活の確保、先進国は資源や食糧の大量消費・大量廃棄をまず辞め、途上国を支援する必要がある。また、先進国の少子化を補うため移民の大量受け入れも必要かもしれない。2023.04.08(犬賀 大好ー904)
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