アメリカとドイツ両政府は1月25日、ウクライナに高性能戦車を供与すると発表した。アメリカは「M1エイブラムス」31台を、ドイツは「レオパルト2」14台をそれぞれ送るそうだ。ドイツ製の戦車はその高性能ゆえに近隣の国にも配備されているが、現在、ポーランドとフィンランドも供与を申請しているそうだ。最終的には他の国の分も合わせると、総計で約100両程度が供与される見込みのようだ。このように、英国の「チャレンジャー2」と合わせ“NATO現役3強” が揃ってウクライナへ供与されることになったわけで、ロシアに対するとウクライナの戦いに新たな進展があるのではないかと期待される。
しかし、主力戦車を支援すると発表した翌日の26日、ロシアがウクライナ全域にミサイル攻撃とドローン空襲をした。ロシアの総司令官はこの日、ロシア側が発射したミサイルの中には極超音速ミサイルのkh-47キンジャルも含まれていたと明らかにし、戦車の供与位で驚かないと虚勢を張った。
ウクライナとロシアの攻防は止まない。ロシアはウクライナがその内音を上げるだろうと攻撃を続けるだろうが、ウクライナは西側諸国の支援がある限り抵抗を続けるだろう。西側諸国はウクライナが屈服しない程度に軍需支援をしているが、ロシア本土を攻撃できるほどの支援は行っていない。ロシアのもし本土が攻撃されるような状況になれば、核攻撃を辞さないとの脅しが効いているからだ。
ロシアの核攻撃があるとすれば、どこをどのような形で攻撃するだろうか。比較的威力の小さな戦術核爆弾でウクライナのどこかを攻撃したとしても、NATO諸国は核兵器を使用したこと自体を問題視し黙っている訳はない。米国、NATO対ロシアの全面戦争に発展する恐れが充分ある。
プーチン大統領の核兵器使用は、ロシアがウクライナを屈服させる見込みが無くなり、自身のロシア国内での存続が危ぶまれた時の最後の手段であろう。後は野となれ山となれと自暴自棄にならないことを祈るばかりである。
ロシア社会のエリート層は安定を重視し、国内の混乱をすなわちプーチンが不在になることを極度に恐れているとのことだ。プーチンが独断で始めたウクライナ侵攻を決して快く思っていないが、彼らはプーチンに抵抗できない。プーチンが22年にわたって築いた体制は強固で、エリートの間ではプーチン氏以外の選択肢はないとの総意があるようで、政権内部からの崩壊は期待できそうにない。
しかし、ロシア国内事情は少しづつながら変化しているようだ。1月19日産経新聞によると、ロシア軍のミサイルがウクライナ東部ドニプロの高層住宅に着弾して多数の死傷者が出た問題で、ロシア国内で犠牲者を追悼する動きが広がっているそうで、国民の反戦機運の強まりを示している可能性があるようだ。しかし政府は参加者を拘束するなどして、ウクライナへの同情の高りを抑え込んでいる。現在一般市民の間での反戦気分の高まりがどの程度か分からないが、不満がある程度高まれば当局がいくら抑えこんだところで一気に爆発するだろう。2023.02.01(犬賀 大好ー885)
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