4月16日(土) のち
雨は上がっている。夜のうちだけの雨だが、少しは降ったようだ。水溜りも少しできている。一日、田んぼ作業。毎日の繰り返しである。そんな日常を、打ち破ってくれる、母の存在。
真っ暗になってから、家に入る。母の部屋から、灯りがもれていない。そういえば、夕方、ちょっと家に寄った時、のぞいたら、座椅子によりかかり、居眠りしていた、のを思い出す。まだそのままなのかと、襖を開ける。座椅子に座る薄ぼんやりとした影。電気をつけながら、声を掛けると、「こんなとこに閉じ込められて!」と、非難がましい声。「電気もつけないで、なにしてるんだ」「トイレに行くんですよ、こんな所に、、、」 居眠りをして、眼を覚ましたら、真っ暗。ここはどこだろうと、思ったのだろう。
生活の場所は、三か所。自分の部屋、ショートステイが二か所。その一つ一つの記憶はないだろうが、都度都度は、どこにいるのかぐらいは、現実認識はしている。そんな母が、真っ暗な中で、眼を覚ました不安感。被害者意識の強い母、閉じ込められたと感じたのだろう。ここまでは良い。93歳になろうとしているのだ、。早く、夕飯を作ってやらないと、とは思った。
便所に入ったのを確認し、布団も敷いてやらないとと思い、再び部屋へ。座椅子の座布団は、大きな滲みで、臭いもこもっている。こんな状態では、衣類はほとんど濡れているだろうと、便所の中で、脱ぐように言う。汚れていないとか、口答え。素直に、「はい」とは言わない母だ。歳や、認知症と分かっていても、声を荒げ、怒鳴ってしまうのは、私の未熟さゆえか。と思いつつも、ぐっと我慢して、ストレスを内に溜めていることができないのが、私の良い所、と開き直る。強引に、といっても、口でのことだが、着替えさせる、時間のかかること。
簡単に、夕食を作り、部屋に運ぶ。湯船につかって出てくると、ぐったり。ビールを流し込むと、何もする気もなくなってしまう。