9月10日(土) ときどき
マークは今日だけ。そのうえ、明日からはマークが六つも続いている。
決めた。やってしまおう。今日が最後の稲刈りだ。稲が倒伏し、ぬかるむ田んぼは、今日できなければ、この先できる日が来るとは思えない。何十日も後に、田んぼが固くなり機械が走れるようになったとしても、倒れ水に濡れた稲は乾くことなく、穂発芽して質の悪くなるコメを収穫することになる。やれるところだけやって、あとは捨ててしまうしかないだろう。そう決めた。
乾燥機のもみを穀入れに移し、コンバインをトラックに積み込む。二か所ある圃場の一つ。堰のすぐ隣の3枚のところに運ぶ。タンクを積んだ軽トラに乗り換えていき、作業開始。畔のすぐわきは、比較的固くなっている。四隅を回りながらは、刈れそうもない。クローラーは直進には強いが、旋回時には、土を削る。何度も繰り返すとどんどん深くなる。前進バックで、一方向だけの刈り取りを選ぶ。このやり方でも、同じところを数回は知ることになるし、バックはより土を削る。田んぼの中ほどに行くにつれ、土は柔らかく、水が浮いたり、たまっているところもある。やっとのことで、満タンのタンクを開け、次にかかる。倒れた稲は、水を吸って重く、沈む機械とのバランスが悪く、根ごと引き抜くこともある。泥の塊を機械に食わせるようなものだ。刈り取り部に泥が詰まる。その都度泥を掃除。脱穀胴に泥が入り込む。人も機械も、収獲モミも泥だらけ。クローラーの後もだんだん深くなる。コンバインの腹がつくようになる。限界。
全体の二割ほどしか刈っていないが、この圃場はやめた。午後はもう一つに。
こちらも状態は同じだが、四角形の圃場で、若干倒伏の度合いが良い。が中を走ると同じようなもの、半分も刈らないうちに、深いところにはまってしまう。前にも後ろにも、どうにも上がれない。歩み板を突っ込んでやってみたが、やはりだめ。農機店に頼むことにして、電話する。こうしたときに、携帯のありがたさをしみじみ感じる。居ながらにして、依頼できる。しかし、到着するまでと、10分ほどの引き揚げ作業で、1時間ほどはつぶすことになる。その後、30分ほど作業はするが、新しいところでも、機械の腹をするほどになり、作業中止。機械を農道に挙げる。コンバインは、野宿だ。シートをかけ、やっとのことで収穫したわずかなモミを荷に、ライトをつけて家に帰る。
本年の最悪の収穫作業は、これで終わる。