精神科看護分野の専門誌『精神看護』、5月号の特集は、「教えて先輩! 看護って何? 現場のどうしよう、困ったを解消する看護理論【退院に至る道】編」ということで、これはこれで大変興味深い内容であったし、他の連載等も読みごたえあるものであったが、今回、購入したのは、斎藤環氏によるオープンダイアローグについての読書会が紹介されているからである。取り上げているのは、ヤーコ・セイックラとトム・アーンキルによ . . . 本文を読む
副題は「自助グループ・当事者研究・オープンダイアローグ」。 野口氏は、1955年生まれ、東京学芸大学教授。専門は臨床社会学、医療社会学とのこと。ナラティブ・アプローチについて、研究を進められてきたようだ。 ナラティブ・アプローチは、社会構成主義に基づくらしい。社会構成主義とは、では、どういうものか、ということになるが、ウィトゲンシュタイン、カント、デカルト、と哲学史をさかのぼって、こういうものだ . . . 本文を読む
この本は、タイトルにオープンダイアローグという言葉を含んでいるが、オープンダイアローグという画期的な方法の紹介を主眼に置いた書物ではない、ように思える。精神医療における方法であるが、もっとひろく福祉、教育の分野で大きなパラダイム転換をもたらすきっかけともなりうる対話を中核に据えた方法の、シンプルな紹介のための本ではないように見える。 端的に「オープンダイアローグ」を学びたいという読者には、すでに . . . 本文を読む
副題は、「今この瞬間に他者を思いやる」。 オープン・ダイアローグ関係では、このブログで紹介するのは6冊目となる。雑誌の特集で抜けているものもあると思うが、国内で刊行された単行本はすべて読んでいることになるかもしれない。私も、ずいぶん入れ込んでいるものだ。 原題は、“Open Dialogues and Anticipations”であり、この邦題は直訳である。だが、この直 . . . 本文を読む
2013年に初版で、18年7月に3刷を数えている。最近、読んでいる本で医学書院率が高い。当事者研究関連、オープンダイアローグ関連と、そうか、國分功一郎氏の「中動態の世界」もそうか。 石原孝二氏は、東京大学の哲学の準教授、最近では、オープンダイローグ・ネットワーク・ジャパンの共同代表。つい先日、「精神障害を哲学する 分類から対話へ」(東京大学出版会)を読んだばかり。このブログでも紹介しているが、9 . . . 本文を読む
石原氏は、東京大学大学院総合文化研究科准教授で、哲学者である。科学哲学、現象学から、最近では、精神医学を哲学的に探究する方向で、2016年からはオープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)共同代表を務めている。 先日参加してきた、9月23日(日)東大駒場キャンパスで開催の、ODNJPシンポジウム「オープンダイアローグと中動態の世界」に主催者、パネラーとして登壇されていた。 パネラー . . . 本文を読む
ODNJP(オープンダイアローグネットワークジャパン)シンポジウム:オープンダイアローグと中動態の世界 【日時】2018年9月23日(日)13時~16時40分(受付12:30~) 【会場】東京大学駒場Iキャンパス 13号館 1323号室 オープンダイアローグネットワークジャパンによる「オープンダイアローグと中動態の世界」というシンポジウムで、國分功一郎氏の講演、斎藤 . . . 本文を読む
オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)」が、2108年3月に公表したガイドラインの第一版とのこと。 ODNJPは、ホームページによれば、「フィンランド西ラップランド地方で開発されてきた精神科医療のアプローチ」ということで、2015年に齊藤環氏を暫定代表として発足したようである。 現在、共同代表は、石原孝二、片岡豊、斎藤環、高木俊介の4名とのこと。 齊藤環氏は、精神科医、ラカン . . . 本文を読む
雑誌「現代思想」は、まさしく現代のアクチュアルな思想について、毎号特集を組み紹介している。その内容によって、ときどき買って読むことがある。今回は國分功一郎+千葉雅也の対談について、両氏のうちどちらかのツイッターで目にして目を惹かれた。 読みはじめて、実は、最近の私のアクチュアルな関心に沿うような内容であったことが判明した。 特集の冒頭は、平田オリザ「演劇を教える/学ぶ社会」。 「そもそ . . . 本文を読む
著者は、ヤーコ・セイックラ、トム・エーリク・アーンキル、高橋睦子、竹端寛、高木俊介ということになるようだが、2016年5月に京都で行われた「「日本におけるオープンダイアローグの実践とその課題」と題されたシンポジウムの記録と、その後の、日本側シンポジスト3名による補足の論考からなる。 ヤーコとトムは、フィンランドで、オープンダイアローグとか「未来語りのダイアローグ」とか呼ばれる技法の創始者と言って . . . 本文を読む
飢餓陣営というのは、1953年秋田県生まれのフリージャーナリストでフリーの編集者である佐藤幹夫の編集工房ということのようだ。 精神医学とか、障害者関係、また、吉本隆明関係とかの本を編集出版しているようだ。 冒頭「オープンダイアローグ」についての問題提起ということで、編集人の佐藤幹夫が概略を紹介している。 「斎藤環さんが解説と、原著者の翻訳論文を掲載した「オープンダイアローグとは何か」 . . . 本文を読む
日本評論社刊 斎藤環の「オープンダイアローグとは何か」(医学書院)を読んで、もはや一年を経過している。興奮さめやらぬ思いで読み終えた本である。日本において、「オープンダイアローグ」が、一個のムーブメントたりうるのであれば、どうにかその一翼に加担したい思いはある。しかし、私は在野の市民に過ぎない。医師でも臨床心理士でもない。精神保健福祉士でもない。産業カウンセラーなどという一応の資格は持っ . . . 本文を読む
斎藤環は精神科医であり、ラカン派の精神分析理論を学んで多くの著作をあらわす著述家でもある。しかし、精神分析家ではない。精神分析の手法を用いて治療を行おうとするということではない。精神科医であることと著述家であることの間には、断層がある。そういうことを本人がどこかで書いている。 オープンダイアローグという言葉は、現代思想2014年5月号「特集精神医療のリアル」で、斎藤自身が書いた文章で知った。その . . . 本文を読む
久しぶりの雑誌「現代思想」。副題は、DSM-5時代の精神の〈病〉。 掲載のどの論考も読みごたえがあった。読むべきものだった。発見があった。 論者のうち、齋藤環は、精神科医にしてラカン派の評論家、想田和弘は、映画監督、小泉義之は、本を読んだばかりの哲学者。あとは、知らないひとだった。 齋藤環は、震災の前から、かなり読んでいる。ひきこもり関係、文芸評論関係、いちばん新しいのはヤンキー論か。精神科の医 . . . 本文を読む