ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

とりあえずの書き出し

2016-06-03 00:04:19 | 小説

 カフェ、だととりあえずは言っておこう。名前は何でもいい。ああ、そうだ、ヒルトップ・カフェ、丘の上の珈琲店、とでも名付けようか。

 小さな入り江を見下ろす小高い丘の上の小さな木造建築、というよりも、平屋の民家に少し手を加えて、方丈とか、庵とか、四阿とまで言っては言い過ぎとなるが、粗末な、しかし、どこか瀟洒な、こ洒落れたというには深く落ち着いた色合いともなる。

 港を眺めながら坂道をのぼって辿り着く先に、数台分の駐車スペースはなんとか確保してあるが、できれば、車は使わずに徒歩で、とは勧めている。

 ペーパードリップで淹れるコーヒーは、自家焙煎とはいかないが、自分で飲んで気に入った小さな焙煎店から取り寄せている。軽めと苦めの2種類のブレンド。香りとコクというふうに言い分けても構わない。

 カウンターが8席、4人掛けのテーブルが4つ、都合定員24人。しかし、お客は多くて10人がいいところで、満杯になることはない。

 店主は、本を読むか、パソコンに向かって何やら書いている。

 

 客が望めば、おしゃべりはしないでもない。


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