ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

永遠

2008-12-30 00:54:16 | 寓話集まで
一瞬よりはいくらか長く続く間
私はあなたに希う
永遠
と言って下さい
確かな瞳でこの耳もとで

流れる雲は移ろいゆく現在の色
それは何色?
瑠璃色?
紺碧色?
薄桃色?
薄鼠色?

一瞬よりはいくらか長く続く間
私はあなたに希う
刹那
と言って下さい
虚ろな瞳でこの足もとで

流れる風は転移する現在の形態
それは何の形?
裏がいつのまにか表に裏返る紙テープの輪
内側がいつのまにか外に引っ繰り返る不能の花瓶

   ※

流れる風は転移する現在の形態
それは何の形?
引き裂かれた薄い竹の枠と薄っぺらな紙の上に封じ込められた海上の日の出
鮮烈な赤
鮮烈な青
てんの高みのかけ橋のぼるピュアな夫子
はた…
そは誰そ?

一瞬よりはいくらか長く続く間
はたはかなたに風に踊る
永遠
と言って下さい
もしあなたが望むなら

   ※

流れる雲は移ろいゆく現在の色
流れる雲は形の定まらない現在の夢
見ない夢
解釈できない夢
まぼろしの夢
深夜の夢

あなた
確かな瞳で観察して下さい
確かな唇で報告して下さい
確かな瞳で求愛して下さい
確かな唇で接吻して下さい
確かな肉体で報いて下さい

一瞬よりはいくらか長く続く間
私はあなたに希う
永遠
と言って下さい
確かな瞳でこの耳もとで

一瞬よりはいくらか長く続く間
私はあなたに希う
刹那
と言って下さい
虚ろな瞳でこの足もとで

Je te veux “rejoice!”

※大江健三郎の「燃え上がる緑の木」の「一瞬よりはいくらか長く続く間」という言葉が気になって、EPOが「uva」というアルバムで歌っているサティの「ジュ・トゥ・ヴ」の詞をくっつけて細工しているうちに、流れる風…と書いたとたん、気仙沼の天ばた師・高橋純夫が、すいと風に乗って闖入した。リアス・アーク美術館の「風に愛された男、展」の宣伝を意図したものではない。ランボーの「永遠」は「太陽と一緒に行ってしまった海」であって、日の出凧にはつながらず、むしろ日没のイメージだろう。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
この詩のこと ()
2009-01-13 23:35:34
 ま、これは、末尾の補注に書いたとおり。
 EPOのお父さんは、今度気仙沼と合併する本吉町の出身らしい。私の母も本吉町生まれ。
 藤沢町のアーク牧場で、EPOのライブ、笹子重治(だったかな)さんというギタリストと二人の演奏、初めて聞いて、とても良かった。この人も本物だな。その後、結構CD買った。
 この笹子さんというギタリスト、わが気仙沼出身の稀代のボーカリスト畠山美由紀嬢とも共演しているらしい。
 故高橋純夫さんは、気仙沼の日曜朝市にてんばた屋として出店していた。奔放な市井の自由芸術家。亡くなって何年になるかな。
 
返信する

コメントを投稿