ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

波止場のエディ 気仙沼2005 Ⅱ 浮見堂の夜

2021-02-28 22:45:47 | 波止場のエディ
 気仙沼の内湾、神明崎の先に浮かぶ朱塗りの浮見堂は、十数基の明るい灯具に照らし出され、さまざまな広葉樹や石灰岩の岩肌の暗い背景の上に浮かび上がる。
「神明崎は、全体が石灰岩の岩礁で、中には、深い鍾乳洞が走っている。今は、コンクリートの岸壁と道路に塞がれて水たまりのような管弦窟も、実は鍾乳洞で、もとは、波の音が反響し、妙なる調べを奏でていた。奥には、弁天様と地蔵像が安置されている。」
「エディ、弁天様とお地蔵様は、結ばれなかった悲しい恋人たちの化身かしら?」
「遠く西国の廻船に乗った船乗りと、港町の船問屋の箱入り娘の悲恋の物語。やがて、天で結ばれた二人に祈りを捧げれば、現世の恋人たちは、必ずその恋を成就することができるとか。」
 大島行きの夜間連絡船が立てる波の音が、静かにあたりに響いて過ぎる。

注)震災後、ライトアップされる浮見堂と、立ち姿の恵比寿像も新しく再建された。すると海の中から、先代の恵比寿像が見つかるという慶事があった。神明崎五十鈴神社の境内に安置されたという。管弦窟のあたりはまだ岸壁の復旧工事中で立ち入ることができない。復元となるのかだろうか?


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