蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

人間は誰でも猛獣使い #山月記 #TORA #演劇 #コロス #猛獣

2018年12月18日 11時14分06秒 | 日記

人間は誰でも猛獣使い・・・

 人間は誰でも猛獣使いであり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。
 己(おれ)の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。

これは中島敦著「山月記」からの抜粋。

この文章の中で、普段あまり使われない言葉がある。

それは「性情」

意味は・・・

1 人間の性質と心情。こころ。
2 生まれつきの性質。

自分がわかりやすい言葉に置き換えると
生まれつきの性質(性格)かな。

「生まれつき」というところが気になる。

私は、人の価値観や考え方は環境によって作られると考えるが
生まれついての性質というのは変えようがないのだとすれば
まずは自分自身が認め受容することが大切なのかもね。

人間の性格はDNAによって決められているとも言う。

これに対しても反論も見つけたので
興味ある方は合わせてジャンプしてみてください。

血液型より正確 あなたの性格はDNAで決まっていた――似非科学記事です

日本人は血液型で傾向性を見る人が多いが
血液型はABOだけではなく、240種類もあるため
判断基準にはなり得ないという。

確かに生まれつき持って生まれた性質はある、と思う。

が、あくまでも傾向性であり、同じ傾向を持つ人でも
環境や価値観、考え方によって異なる人物になる。

私たちは幼い頃から様々な記憶をインプットしながら成長する。

大抵問題になるのは怒りの起爆スィッチ。

人によってこの起爆スイッチの発動要因が異なる。

自分自身のスイッチを知ることが出来れば
ある程度コントロールできるようになり
人とのコミュニケーションも取りやすくなる。

山月記に出て来る「尊大な羞恥心」は
猛獣が暴れ出す起爆スイッチということか。

誰だって恥ずかしい目に遭いたくない。
恥ずかしい目に遭いたくないから
そういう状況を回避しようとする。

恥ずかしい目に遭いたくないのは
自尊心を傷つけられたくないから。

「自尊心」を守る
「自尊心」を守りたい
「自尊心」を守らなければ

私は自分の怒りが発動したとき、自分と対話する。

この怒りの出どころはどこなのか?

自分の自尊心を守るための怒りなのか
はたまた誰かを守りたいがための怒りなのか
あるいは理不尽に対する怒りなのか

回り回って、理不尽と感じるのも
自分を守りたいから感じるものなのだという結論に達する。

けど、自分は自分が守るしかないもんね。

当然のことだとも思ったりするが
摩擦が起きた時に考えるのは

 自分が大切に思っている基準

そして

 相手が大切に思っている基準

このすれ違いをすり合わせることができるといいんだよねー

言葉で言うのは簡単だし、頭で分析は出来ても
人間には感情があるので、ここが厄介だと感じている。

山月記は、私が日ごろ感じていた「厄介な感情」を
端的な言葉で表現している。

それが凄いと思ったし、なぜ中島敦さんが
この小説を執筆したいと思ったのか
その理由も知りたくなった。

だってねぇ・・・

欲求がなければ、書きたいと思わないだろうから。

あ、人から依頼されたなら別だけど
この山月記は依頼されて執筆した小説でないことだけは確か。

そんな諸々の興味に惹かれ、奇想山月記が生まれた。

山月記をもう少しだけ紹介しておこう。

 人生は何事をも為さぬには余りに長いが
 何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を発しながら
 事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と
 刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。
 己よりも遥かに乏しい才能でありながら
 それを専一に磨いたがために
 堂々たる詩家となった者が幾らでもあるのだ。
 虎と成り果てた今、己は漸く(ようやく)それに気が付いた。

やらないための「言い訳」
怠けたいための「言い訳」

やりたいなら、才能のせいになどせず、学べばいい。
やりたいなら、苦しくても怠けずに、才能を磨けばいい。

口で言うのは簡単だけど、これがなかなか難しい。

何かを成す人は、これが出来る人なんだよね、きっと。

33歳という若さで亡くなられた中島敦さん・・・

長生きされていたなら、どんな作品を書かれたのだろうか・・・

 

因みに私は「弟子」という作品も好きです♡