小生の「中欧ロマン紀行」(http://www.geocities.jp/sinainaruike/sub14.html)を読み直すことがありますが、その時にチェコのプラハで見た青い家が思い出されます。
その家は、フランツ・カフカの家だったのですが、彼がどのような人物なのか小生は知りませんでした。
お恥ずかしい話なのですが、現地で説明があったときには、「そんな有名な人なんだ!」と思ったくらいで、でも「知らないな!」という印象でした。
ところが、家に帰って調べてみますと、あの青い壁が印象的な家の主は、世界的に有名な作家だったのです。
彼は、1883年といいますから130年前ぐらい前に生まれ、結核のため41才(1924年)という若さで亡くなっています。
「判決」「火夫」「変身」などの作品がありますが、中でもドイツ文学として紹介されている「変身」が有名です。
などと知ったかぶりしていますが、小生に頭の中にこのへんてこりんな小説が「ほのかに」そして「どこかで聞いたような話」として残っているのです。
「5分でわかる世界の名作(青春出版)」によれば、「1匹の虫に変身した青年の短い一生」と題して3つの段落で次のように紹介しています。
『1匹の巨大な虫に変身していたグレーゴル』
『父親の投げたりんごが肉にめり込む』
『疎まれひとり静かに死んでいく』
というものですが、本当に刺激的な内容ですね!
今日は、最初の出だしを少々紹介したいと思います。
『ある朝、夢から目を覚ましたグレーゴル・ザムザは、自分が1匹の巨大な虫に変わっているのを発見する。鎧のように固い背、アーチのようにふくらんだ褐色の腹。その腹の上には横に幾本かの筋がついていて、たくさんの細い足がぴくぴくと動いていた。
夢ではない。見回すといつもの自分の部屋である。外交販売員の彼は5時の汽車に乗らねばならなかったが、時計はすでに6時半を指していた。しかし、体の幅がひどく広くて起きあがろうにも起きあがれないのだった。
しばらくすると、遅刻したことに腹をたてた店の支配人が家にやってきて、支配人と父親、母親の3人はグレーゴルの部屋の前で扉を開けるよう説得を始める。
ようやく寝床から出たグレーゴルは、鍵穴にささっていたカギを口で回して鍵を開け、そして取っての上に頭を置いてドアを開いた。
すると支配人はぽかんと開けた口に手を当ててあとずさりし、母親はへたへたと床に座り込み、父親は胸が波打つほどに泣き始めてしまったのである。』
いかがですか?皆さんは、この要約を何処かで聞いたことはありませんか?
なお、ここで「虫」と訳されているドイツ語の単語は「寄生虫、害虫」という意味で、父親がカフカの友人を酷評したときに使った、とされています。
自分が巨大な虫に偏していたなんて、考えただけでも「むずむず」して気持ちが悪いのですが、両親や妹、友人が変身した自分をどう思うか想像して「ひどい仕打ちに」愕然としたのでしょうか?
人間は、相手の肌の色や形で善し悪しを判断するということを言いたかったのでしょうか?
巻頭写真は、チェコのカフカの家が相応しいのですが、OCNさんがビットマップを受け付けてくれません。やむなくクロアチア・ザグレブの共和国広場での子どもたちを掲載しました。
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