ぬばたまの やみよのかはを わたりゆく すべなきこひの くるしかりけれ
*ひらがなばかりで詠むことにあまり意味はなく、変換のキーをたたくのがただ面倒だったというだけなのですが、それもたまにはいい効果を生むようだ。こんな簡単なことすらできないのかという空気が漂います。
闇夜の川を渡っていく、そんなことばかりしている、かなうすべのない恋の、なんとくるしいことだ。
闇夜に川を渡るというのは、あまりいいことをする人がやることではありませんね。日や月が明るいときでないと危ないものだ。それを闇夜を、火も焚かずにわたろうとしている者がいる。何をたよりとして渡るものか。向こう岸がどれだけ遠いかも見えないのに。途中にどんな浅瀬にぶつかるかもしれないのに。
ずるいことでもなんでもして、自分の恋をかなえたいのだ。そのためには、相手の気持ちはどうでもいい。相手の幸福など考えはしない。そんな恋がかなうはずはない。それは相手を殺すことだからです。決して愛してはもらえない。たとえずるが成功してうまく手に入れられたとしても、すぐに死んでしまう。
すべてのことは何のためにやったのかというむなしさだけが後に漂う。人間は自分の愚かさから逃げるために、無理に好きだった人のことを忘れようとするものだが。
それは返って永遠に自分の記憶に彫られるのだ。
だれも知らないはずの自分の思いも、もうみなに知られている。逃げることのできない反動が自分に返ってくる。それでも馬鹿はまだ何もしない。いやなのだ。ただただ、何もかもに、負けるのが嫌なのだ。
永遠に勝者でいたい。だれもかれもだまらせて、俺の支配下におきたい。そうすれば、もう何も苦しむ必要はない。
馬鹿者は、男も女もそういうことばかり考えている。だれよりも自分が偉くなれば、自分の愚かさもごまかせると思っているのです。それほどに、あまりにもたくさんの愚かさを積み重ねてきたのだ。
それらをすべてないことにしたいのだ。
永遠にそんなことばかり繰り返すのかという神のささやきをどこかで聞きながら、馬鹿者はえんえんと同じことを繰り返す。そしてとうとう、終わりの日がやってくる。
自分の思い通りにならないことがいやだからと、決して消してはならない愛を消して、神に拒まれるのです。