Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

ときめき

2023年09月03日 06時00分00秒 | エッセイ


ヒゲは濃くない。2、3日剃らなくても口、顎回りがうっすらなる程度だ。
さすがにそれ以上は放っておく気にはなれず、
まあ3、4日ごとに剃刀を使っている。
もちろん在職中は毎朝剃っていた。
それが職を退いた途端、外出する機会もうんと減ったし、
髭はもちろん身だしなみにもさほど気を遣わなくなってしまった。
妻のお供でスーパーへ買い物に行く時なんか部屋着のままで平気な顔をしている。

どこにでも似たような話があるもので、新聞の読者投稿欄にニヤッとしてしまった。
投稿者は40代独身の会社員女性で、両親と同居中だ。
この女性が心配し気を揉んでいるのが70代後半の父親。

        

現役の時は生き生きとし、70歳で退職後もゴルフをしたり、
スポーツジムに通ったりと、人生を楽しんでいるように見えた。
それが年を重ねるごとに何を言っても、
「もうすぐお迎えがくるから」と後ろ向きの発言ばかり。
食事や旅行に誘っても家を出たがらず、
出かけるのは自分の趣味と買い物程度。
高齢者講座や料理教室などを提案してもまったく興味を示さない。
おまけに何かと嫌味を言うようになった。
父にはもう一度、生き生きと生活してほしいと思う。
どう接すればよいだろうか

──こういった相談である。
これに対する、女性作家のアドバイスにもう一度ニヤッとした。

「一番簡単な方法は異性との交流。
男女を問わず、心のときめきは若返りの秘薬です。
こういう環境、つまり〝異性から見られるときめきを感じられる場〟
にいるのが大切だと思う。
それで、女性が集まってくる各種サークル、
たとえば社交ダンス教室、ヨガ教室、俳句教室などに
お父様を行かせましょう」

        

思い出した。
84歳にもなる知人はいつも「ときめき、ときめき」と言い、
日本舞踊をやったりピアノを弾きながら歌ったり、
さらにはヨガ教室にも通っていた。
時々電話すると、相変わらず元気な声が返ってくる。

退職後、外出する機会がめっきり減ってしまった僕にしても
女性作家のアドバイスに思い当たるところがある。
妻の友人たちとパークゴルフやダーツ競技を楽しんでいるが、
その日はもちろんヒゲを剃り、身だしなみに気を遣う。
また女性の方が多いエッセイ同好会に出かける時もそうだし、
月一度かかりつけの女医さんを訪ねる時も
「今日はどのシャツにしようか」と少しは気を遣う。

なるほど、なるほど。女性作家の言う通りかもしれない。
ただ、そういう場をうまく見つけ出し、
自分の思いをうまく乗せていけるかどうか。これも案外と難しい。



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2 コメント

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Unknown (ブン子)
2023-09-03 15:31:58
然り!
うちの主人もギター教室(女性が多い)に通うようになってから、俄然身だしなみというか、見かけに気をつかうようになりました。自分専用のシャンプーや、洗顔フォームを買ってきたり。しかも値段がお高いのです。
うふふのふ〜(^^)です
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Unknown (Toshiが行く)
2023-09-03 16:00:48
ブン子さん こんにちは。誰も同じなんですね。本当に笑ってしまいます。でも、こんな話に笑えるうちはまだいいんですね。何の反応も示せなくなったら怖い。どんどんネガティブな老人になっていきそうです。切れる老人が多いのは、そうだからかもしれません。
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