Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

少々、厄介者

2022年03月02日 06時00分00秒 | エッセイ


妻から頼まれた郵便振り込みの手数料は268円だった。
ズボンのポケットには1円、5円、10円といった
小銭がザクっと入っている。
「手数料はこれで払ってきて」と持たされたものだった。
さすがに200円というのは100円玉2枚とし、
あとは持ってきた小銭の中から10円玉6枚、
1円玉8枚を選び出して支払った。


家には、小銭がまだたくさんある。
もっぱら、物を買うにも、食べるにも現金払いしかしなかった
僕が貯め込んだものだ。
お釣りとして手元にきた1円、5円、10円といった
小銭は格別の使い道もなく、その都度、箱の中に放り込まれた。
気付くと、それは結構な量になり、小遣い銭として孫たちを喜ばせた。
孫はそれを1円、5円、10円と仕分けし、計算すると
時にそれは1万円ほどにもなることがあった。
もちろん、孫たちは大喜びだった。



ところが、このところ孫たちは少々まごついている。
以前は銀行に小銭を持ち込めば無料で両替してもらえたものが、
最近は手数料がいるようになっているのである。
金融機関によって多少違いはあるが、
地元の福岡銀行の場合、例えば窓口での取り扱いだと、
1~50枚は無料、51~500枚だと330円、
501~1000枚で550円、1001以上は1100円となる。
両替機を使うと多少安くなるが、いずれにせよ手数料が必要だ。


極端な例で恐縮だが、1円玉70枚、5円玉20枚、10円玉10枚、
合わせて100枚270円を窓口に持ち込み、
100円玉2枚、50円玉1枚、10円玉2枚に
両替してもらおうとすると、手数料330円がいる。
手にするお金より支払うお金が高くなる。妙な話だ。
こうした例はほとんどないに違いないが、
手数料が必要だということに抵抗感が出てしまう。
孫たちも以前みたいには喜ばなくなった。
では手元に残った小銭はどうするか。
今度の郵便局での払い込み手数料みたいなもの、
あるいはスーパーでの買い物でたまに小銭を混ぜて支払う。
そういうふうにして、ボツボツと〝消化〟していっているのだ。


孫が喜んでくれると思い、せっせと貯め込んだ小銭、
それが今は少々、厄介者かな。申し訳ないことながら。


それで現金払いをできるだけ止めた。もっぱらカード払いだ。
だから、釣銭として小銭を手にすることはなく、増えることもない。
貯め込んでいたものをボツボツと減らしていくのみだ。
ふと思うのだが、カードでの支払いなど、
キャッシュレスの時代がさらに進むと
1円、5円、10円といった小銭の存在理由はなく
何のために発行するのかという疑問にぶつかる。
そう言えば、100円玉にしても、500円玉にしても、
1000円札、5000円札、1万円札だって不必要ではないか。
そんな話を真面目にすれば、間違いなく大笑いされるに違いない。



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