昭和半ばの乗用車には、たいてい三角窓がついていました。デザインの工夫のおかげか、一時廃れていましたが、最近あちこちで復活しています。ただし、多くは以前の「前ドアの三角窓」ではなくて「前ドアのさらに前方の三角窓」ですけれど。空気抵抗を減らすためにフロントガラスをずっと前まで延ばすデザインが最近の流行のようで、するとどうしてもドアの前方、ボンネットの側面の部分が死角になりやすいのでそこにガラスをはめこむ、ということになったようです。
実は最近(廃車にしたバイクの代わりに)購入した車にそのタイプの三角窓がついていたので、はじめて世間を見回して「意外に多いんだ」と気がついた次第。意識しないと見逃している物がこの世には多いんですね。
【ただいま読書中】『路上の弁護士』ジョン・グリシャム 著、 白石朗 訳、 新潮社、1999年、2200円(税別)
原題は“The Street Lawyer”。まずはストリートチルドレンを連想しつつ、私は本を手に取りました。
米国で弁護士として“成功”するのは大変です。ロー・スクールを卒業後、アソシエイトとして10年くらい骨身を削って長時間労働をし、その中で最優秀のもの(1割以下)だけがパートナーとして事務所に正式採用される、というシステムなんだそうです。本書の主人公マイケルは、シニア・アソシエイトとして年収12万ドルを稼いでいました。ただしその多忙のため結婚生活は破綻します(こういった若手弁護士のハードな生活と金銭欲については、同じ作者の『法律事務所』にもっと具体的に書いてありました)。しかし、事務所のパートナーになれたら年収100万ドル以上は確実です(そしてその最有力候補はマイケルなのです)。それこそが自分の望んだ人生である、と頑張っているのですが……ある日、犯罪歴のあるホームレスが、胴体に“ダイナマイト”を何本も巻き拳銃を片手にマイケルの弁護士事務所ビルに立てこもります。しかし、高給取りの弁護士たちが寄付をせず社会の底辺層に目もくれないことを非難するだけで何も要求しないうちにスワットに射殺されてしまいました。人質となることで事件に巻き込まれたマイケルは、犯人がなぜこんな犯行を起こしたのか興味を持ち、場末の法律事務所を訪れます。そこには、マイケルが目指すのとは別種の弁護士が活動をしていました。薄給で公益のために働く人たちです。
そこでマイケルは理想に目覚め……なんて単純な話をこの著者が語るわけはありません。紆余曲折があり、自分が所属する事務所の違法行為を知り、自分自身も違法行為を行ない、離婚をし、訴えられ、そして自分も訴えを起こし……
厳寒のDCでの悲惨なホームレスの生活、金に目がくらんで大切なものを忘れていく上層の弁護士たち、どろどろした訴訟沙汰、なんとも重たい話がてんこ盛りなのに、読後感は爽やかです。意外な拾いものでした。
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実は最近(廃車にしたバイクの代わりに)購入した車にそのタイプの三角窓がついていたので、はじめて世間を見回して「意外に多いんだ」と気がついた次第。意識しないと見逃している物がこの世には多いんですね。
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原題は“The Street Lawyer”。まずはストリートチルドレンを連想しつつ、私は本を手に取りました。
米国で弁護士として“成功”するのは大変です。ロー・スクールを卒業後、アソシエイトとして10年くらい骨身を削って長時間労働をし、その中で最優秀のもの(1割以下)だけがパートナーとして事務所に正式採用される、というシステムなんだそうです。本書の主人公マイケルは、シニア・アソシエイトとして年収12万ドルを稼いでいました。ただしその多忙のため結婚生活は破綻します(こういった若手弁護士のハードな生活と金銭欲については、同じ作者の『法律事務所』にもっと具体的に書いてありました)。しかし、事務所のパートナーになれたら年収100万ドル以上は確実です(そしてその最有力候補はマイケルなのです)。それこそが自分の望んだ人生である、と頑張っているのですが……ある日、犯罪歴のあるホームレスが、胴体に“ダイナマイト”を何本も巻き拳銃を片手にマイケルの弁護士事務所ビルに立てこもります。しかし、高給取りの弁護士たちが寄付をせず社会の底辺層に目もくれないことを非難するだけで何も要求しないうちにスワットに射殺されてしまいました。人質となることで事件に巻き込まれたマイケルは、犯人がなぜこんな犯行を起こしたのか興味を持ち、場末の法律事務所を訪れます。そこには、マイケルが目指すのとは別種の弁護士が活動をしていました。薄給で公益のために働く人たちです。
そこでマイケルは理想に目覚め……なんて単純な話をこの著者が語るわけはありません。紆余曲折があり、自分が所属する事務所の違法行為を知り、自分自身も違法行為を行ない、離婚をし、訴えられ、そして自分も訴えを起こし……
厳寒のDCでの悲惨なホームレスの生活、金に目がくらんで大切なものを忘れていく上層の弁護士たち、どろどろした訴訟沙汰、なんとも重たい話がてんこ盛りなのに、読後感は爽やかです。意外な拾いものでした。
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