【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

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2010-12-13 17:33:00 | Weblog
民主党政権も次の総選挙で終わりそうですが、さて、前回こぞって民主党に投票した人は、次はどこに行くのでしょう。自民党は政権を失ってから根本的に変わった様子はありませんし(というか、かつての“何でも反対”社会党より悪いんじゃないかしら。社会党は自民党の政策に社会福祉推進の影響を与えていましたが、今の自民党は何を提案していましたっけ?)、宗教政党に政権を取らせるのは怖そうだし、小党はどれがどれやらよくわからないし。
こんな感じでかつてのドイツにはヒトラーが出てきたのかな?

【ただいま読書中】『代替医療のトリック』サイモン・シン&エツァート・エルンスト 著、 青木薫 訳、 新潮社、2010年、2400円(税別)

原題を見てまず大笑い。「TRICK OR TREATMENT? : Alternative Medicine on Trial」。これで発売がハロウィーンの季節だったらもっと大笑いなのですが。ここで重要なのは「on Trial」の部分です。正しいとか間違っているとかの「信念」を吐露するのではなくて、科学的に検討をしたらどうなるか、という態度で俎上に載せられるのは、鍼・ホメオパシー・カイロプラクティック・ハーブ……
ホメオパシーの所は、一々頷けます。レメディが希釈されすぎて、溶液の中にもとの物質の分子が一つも含まれないくらいになっているのに「水が記憶しているから」有効だ、というホメオパスの主張に対して「希釈に使われた水がそれまでに溶かしたことがある他の物質の記憶は?」という反論があるところなんか、大笑いです。
カイロプラクティックは、欧米では非常に人気があるんだそうですね。日本で整体や整骨に人気があるのと似ているのかな。
ともかく、ホメオパシー・カイロプラクティックなどの基礎理論は、じっくり読み込むとなんともトンデモの匂いがぷんぷんと。まあ、理論が無茶苦茶でもそのテクニックが有効(で害が少ないの)ならリクツは後から説明し直せばいいのですが、そこで問題なのはちっとも有効ではないのに有効だと喧伝されている有名な“療法”が存在すること。そこで本書は「二重盲検」や「系統的レビュー」を活用します。これは科学の方法ですが、別に非科学だけを差別するものではなくて、科学の中でも「有効ではないもの」は容赦なく指摘するものだから“使える”のです。

そういえば著者の一人、サイモン・シンがイギリスでカイロプラクティック協会に名誉毀損で訴えられたのはこの本の記述が原因でした。で、協会の方が盛大に“自爆”した、というのには……ここは笑うところかな?
本書で気になるのは、たとえば漢方薬ですでにいくつも二重盲検が行なわれてそれなりの結果を出していることがまったく無視されていることや、ジョギングやエクササイズなど“健康に良い運動”が俎上に載せられていないこと、です。運動は代替医療ではない、ということなのかもしれませんが、これだけ“信者”が多いものを検討しないのは片手落ちのような気がします。



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