解散前日に離党するって、「野田首相と方針が不一致……」なんて言っている人もいますが、それだったら最初から一緒の“政党”にいることの方がおかしいわけです。離党するのだったらもっともっと前でしょう。「選挙のためには離党して民主党の看板を外した方がいくらかでも有利」という計算が透けて見えるって、なんだかイヤンな気分です。まだ「今回は落選して、次回の巻き返しを図る」の方が潔いように感じるなあ。
【ただいま読書中】『旅の仲間(下1)(指輪物語3)』J・R・R・トールキン 著、 瀬田貞二・田中明子 訳、 評論社文庫、1992年(2002年7刷)、700円(税別)
3日と4晩人事不省だったフロドが目覚めたのは、裂け谷にあるエルロンドの館でした。エルフの王の館だったら(当面は)安全です。ここが落ちるのは、冥王が中つ国の他の地域を全部支配した後のことでしょう。しかし、敵は勢力を増しています。
冥王サウロンが勢力を増すにつれて暗くなっていく世界を憂えて、各地から助言を求める使者が裂け谷に集まっていました。エルロンドは彼らを全員集めて、情報交換の会議を行ないます。そこで明らかになったのは……南では、人間の王国ローハンやゴンドールが苦しい戦いを継続していること。北の荒れ野でもサウロンの手下たちが跋扈していること。フロドが持ち込んだ指輪がサウロンの手に落ちたら、サウロンは一挙にかつての力を取り戻し、形勢は絶望的になること。さらに悪い知らせをガンダルフが持ち込みます。サウロンにいくらかでも抵抗できそうな白の賢者サルマンが、指輪の研究をしているうちにその魔力に負けて“ダークサイド”に堕ちてしまったのです。仲間割れなどしている場合ではありませんが、「強大な力」のシンボルである指輪は、その存在だけで人の心を堕とすのです。それも中途半端に力と自信を持っている人間を。
会議はもめ、やっと結論を出します。「指輪」を滅すべし。
ではどこで? そこに誰が運ぶ?
自由の民の代表として、ホビット・ドワーフ・エルフ・人間からそれぞれふさわしいと思われる隊員が選ばれます。悪しき黒の乗り手の9人に対抗するために、隊員の数は9人。武力では対抗できませんから、一行が使えるのは知力と隠密性。しかし空には黒鴉の群れが地上を見張り、一行には不思議な黒い影がつきまといます。そして、越えるべき霧ふり山脈は雪に閉ざされていました。
第2巻では「古森」が人間やホビットに対する悪意をむき出しにしましたが、ここでは「冬山」が旅の一行に対して悪意をむき出しにします。もしも各種族の混成部隊でなければ、指輪隊一行はここで遭難していたかもしれません。彼らは命からがら下山します。残されたルートは、山脈の地下、暗黒のモリアを抜ける道です。かつてドワーフが採掘をして巨万を富を稼ぎ出し、のちにオークが荒らし回った暗黒の迷宮。そこで何が待っているのか、ガンダルフでさえ知りません。しかし他の道はないのです。