「運がよかっただけ」と、天才が本気で言うことがありますが、実際にはその業績のほとんどは努力から成っています。
「運がよかっただけ」と、凡才が謙遜したつもりで言うことがありますが、実際にはその通りです。
【ただいま読書中】『SFマガジン700【海外篇】』山岸真 編、早川書房、2014年、1060円(税別)
「SFマガジン」が700号に到達した記念に、選りすぐりの短編を集めてみました、というアンソロジーです。いや、無茶というか無謀というか、700号分の作品集から文庫本1冊分だけ抽出ですって? あり得ません。100号ごとに編むのだったらまだわかるんですけどね。というか、“次”はぜひ100号後に編んで欲しいものです。
そうそう、SFマガジンは昨年2月号から月刊誌だったのが隔月発行に変わっています。もし100号ごとに編むとすると16年かかるわけで、待ちくたびれて私の寿命の方が尽きてしまうかもしれませんが。
目次:「遭難者」アーサー・C・クラーク、「危険の報酬」ロバート・シェクリイ、「夜明けとともに霧は沈み」ジョージ・R・R・マーティン、「ホール・マン」ラリイ・ニーヴン、「江戸の花」ブルース・スターリング、「いっしょに生きよう」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、「耳を澄まして」イアン・マクドナルド、「対称」グレッグ・イーガン、「孤独」アーシュラ・K・ル・グィン、「ポータルズ・ノンストップ」コニー・ウィリス、「小さき供物」パオロ・バチガルビ、「息吹」テッド・チャン
月刊誌700号分の“厚み”をしっかり感じることができるラインナップです。ただ、編者によってこのラインナップは大きく変わることでしょうが。私自身ここに入れたい作品はいくつも思いつきますもの。クラークだったら「太陽系最後の日」とか、と思っていたら、本書は「これまで著者短編集には未収載の作品」という縛りをかけているのだそうです。なるほど、ただのベスト集ではないわけです。
読んでいて、やはりすごい作品が並んでいることに感嘆します。そして、もしも人生がもう一回あるのなら、SFマガジンを最初から読み通してみたい、なんてこともちらりと思います。