野次馬にはプロとアマがいます。プロの野次馬は、自分が見たことを原稿にして売り、自分のことをマスコミ関係者と自称します。その報道を喜んで受け取って金を払うのがアマチュアの野次馬です。
【ただいま読書中】『時差は金なり ──内側から見た総合商社』三菱商事広報室 著、 サイマル出版会、1977年
反乱軍の攻撃がザイールの銅相場に影響を与え、それがさらに国際的な銅相場に波及していきます。新聞にも載らないようなニュースを求めて、三菱商事の現地駐在員は走り回ります。インドネシアで南洋材を切り出している責任者は、その会社を引き継ぐ前のトラブルとストライキの収拾に奔走しています。オーストラリアの大規模な石炭露天掘り、深海底のマンガン団塊、日本海での石油開発、鹿児島では養豚と養鶏、資金調達、ピザレストラン……
さすが“総合”商社です。本当に何でもあり、加工貿易立国の日本では本当に重要な働きをしていることがわかります。私が驚いたのは、養豚や養鶏も加工貿易の一種だ、ということです。輸入したエサを加工して肉にする、と考えるのだそうで。
ただ「日本の総合商社」だったら「すごい活動をしているなあ」と感心できますが、たとえば「現地の農園の従業員たちが幸せな生活をしているか」などにもうちょっと注目をしたら「世界の総合商社」になることができるのではないか、ということも思いました。損して得取れ、ですから。