北朝鮮に対する「独自制裁」が韓国や日本から発表されました。ところで国際的な「制裁」で重要なのは「それが相手にどのくらいダメージを与えるか」です。「ノーダメージ」だったら「口先だけの制裁」だし「あまりに強力すぎる制裁」だったら相手を追い詰めて暴発させかねない。相手の身になって「どの程度シビアにダメージが与えられたと感じるか」で「制裁」を選ぶ必要があるでしょう。「やった」ことだけで自己満足するのではなくて。
あ、そういった点では「謝罪」も「制裁」と似ていますね。どちらも「やる側」がいくら「やった」と言っても、「やられた側」が「やられた~」とか「気が済んだ」と思わなければ、無意味ですから。
【ただいま読書中】『LOVE IN VAIN ──ロバート・ジョンソン 1911-1938』J.M.Dupont 著、 MEZZO イラスト、椎名ゆかり 訳、 小出斉 歌詞訳、 ジュリアンパブリッシング、2015年、3220円(税別)
27歳で死んだ伝説のブルース・ミュージシャンの人生の物語です。iTunesStoreに彼の作品がいくつかあったので試聴してみましたが、このギターの響きから日本のバンドで連想したのが憂歌団です。あ、憂歌団はブルース・バンドでしたね。もしかして20世紀初めの音楽が今でもしっかりそのまま生き残っているということ?
アメリカで「ニガー」(や「ジャップ」)が公然と使えた時代、綿摘み人のロバートは17歳で結婚、しかし妻は出産の時赤ん坊と一緒に死亡。残されたのはブルース・ギターだけ。ロバートは猛練習して腕を上げ、「ギターが上手になるために、悪魔に魂を売ったに違いない」と噂されます。生活そのものは、酒と女と喧嘩に明け暮れていて、本当に悪魔に魂を売った人間のものみたいに荒れていたようですが。そして最後には毒入りのウイスキーで殺されてしまいます。
しかし、ブルーじゃなくて「黒い」本です。漫画というか本書の主要部分を支えるイラストは、白い部分よりも黒い部分の方が圧倒的に分量が多いのです。話の内容も明るくありませんが、視覚的にも黒々としています。たぶんここにロバートの(あるいは他のブルース・ミュージシャンの)音楽をバックに流したら、ぴったりになるのでしょうね。