地球は自転しているし公転しています。で、この回り方は、左回りです?それとも右回り? これは(銀河あるいは地球の回転軸の)北極側から見るか南極側から見るか、で逆の表現になります。
で、左でも右でもよいのですが、自転の回り方と公転の回り方は、同じ回り方でしょうか?それとも逆の回り方?
【ただいま読書中】『頭脳勝負 ──将棋の世界』渡辺明 著、 筑摩書房(ちくま新書)、2007年、700円(税別)
著者の渡辺さんの名前が鮮烈な輝きを持ったのは、竜王奪取のときでしょう。弱冠20歳、これはすごい棋士が出現した、と私はその将来に期待しました。だけど、当時の一般マスコミは(今の藤井さんの扱いとは違って)全然渡辺さんに注目しないのね。逆に今の藤井さんの扱いを見ていると、マスコミの基本態度って、何なんだろう、と思います。「ニュースの価値」は「それ自体」ではなくて「流れ」で判断している、ということなのかな。
勝負の時、棋士がどう決断したか、は棋譜を見たらわかります。しかしその決断に至るまで、どんなことを考えどんな選択肢をなぜ捨てていったか、は外からはわかりません。それを棋士本人が語ってくれる、贅沢な本です。
対局がないオフには何をしているか、高校生活と棋士の生活をどうやって両立させたか、プロ棋士の報酬の財源……など具体的に興味深いことが記されています。私が面白かったのは、対局前から「駆け引き」が始まっている、ということ。相手の得意戦型と最近の傾向から次の対局でどうやって来るかを予想し、それに対する対策を考える。逆に、自分の最近の傾向から相手が自分のことをどう予想しているかも考える。もしも両方の頭の中が見えたら、実に面白いものが見えそうです。
2007年のコンピューター将棋ソフトは、けっこう強くなってきていて、私はもう勝てないなあ、と思うレベルになっていました。著者は「ボナンザ(という当時最強のソフト)は、持ち時間が1時間なら奨励会3級、10秒将棋なら奨励会2〜3段」と評価しています。もっとも、著者とボナンザの公開対局の日にはボナンザが進歩していて「持ち時間が1時間なら奨励会2〜3段、10秒将棋ならプロ棋士」までになっていて、苦労したそうです。ただ、この時点で著者は「トッププロが負け越すところまでのソフトの進化はないのではないか」と予想していますが、これは外れてしまいましたね。AIの深層学習というおそろしい手法は、人間の予測をはるかに超えた物を産みだしてしまいました。
本書出版時、藤井聡太さんはまだ幼稚園児。いやあ、笑っちゃうしかありませんね。そして、今幼稚園児や小学生をやっている人たちの中から、さらに次の世代の棋士が次々登場してくるのでしょう。未来が楽しみです。