「ティーカップにはなぜソーサーがついているのか?」を「チコちゃんに叱られる」でやっていました。私はチコることができましたが、私が物知りなのではなくて、これはけっこう広く知られた豆知識でしょうね。
私が不思議なのは、「コーヒーカップにもソーサーがついているのは、なぜか?」です。コーヒーの場合にはついていない場合も多いですが、ついている場合、それは、なんで?
【ただいま読書中】『香料商が語る東西香り秘話』相良嘉美 著、 山と渓谷社、2015年、880円(税別)
「香料」はフランスではもっぱら香水用ですが、日本では食品用の方が多いそうです。そういえばカップ焼きそばの開発でもあの香りを作るのに相当苦労した、と聞いたことがありましたっけ。
フランスの調香師は独立性が強く、日本のように会社に属する人もいますが、個人営業で香水にも個人名が付いている人も多いそうです。その中で有名な一人、ジャン=クロード・エレナは「咲き始めた白いリラの花の匂いは、フェニルエチルアルコールとヘリオトロピンで再現でき、満開の状態はそこにインドールを加え、紫のリラにしたいならクローブ少々」などということが、道端で花の匂いを嗅いだ瞬間にピンと来るのだそうです。とても人間業とは思えません。戦前派の調香師は天然香料を重視しますが、エレナのような戦後派は合成香料で自然を超えたものが真の香水、と考えるそうです。
著者が多くの調香師に話を聞いたところでは、香りの原料(約1000種類)の一つ一つが文字で、その組み合わせで文章を描くように調香するのだそうです。もちろん基本の「文章」はありますが、「美しい文章」を作れるかどうかは腕(鼻)次第。あるいは「文字と文章」ではなくて「音符と曲(ハーモニー)」なのかもしれません。
「文化としての香り」は「焚香(ふんこう)」と「香油」で始まりました。アラブで蒸留が始まると「薬酒」も作られるようになりました。様々なハーブが用いられましたが、その中で特に香りが良いものが、薬効ではなくて香りを目的とする「オーデコロン」となります。そこから今日の香水の系譜が生まれました。
「香りの原料」についても、著者は専門家ですから、これでもかと言うくらい様々なものを紹介してくれます。もったいないことに私は読んだはしから忘れてしまうのですが。本に香りがついていて、「あれはこんな香り、これはこんな香り」などと具体的にわかったら楽しいんですけどね。
日本人も香りについてはいろいろなこだわりを持っていますが、西洋人のように脂ぎった趣味ではなくて、もっとあっさりしたものだそうです。現在の我が家では「香り」がきちんと存在しているのは、台所と仏壇(の線香)くらい。香水よりも食品の香りの方が、個人的には重要なようです。