今年は花火大会はどこも中止ですよね。あまりに残念ですが、せめて写真でも見て心を慰めようと、図書館から借りてきました。
【ただいま読書中】『花火のえほん』冴木一馬 写真・著、 あすなろ書房、2008年、1200円(税別)
まずは打ちあげ花火の構造の解説から。花火玉の中には二種類の火薬が入っています。「割薬(割り火薬)」と「星(星火薬)」です。前者は空中で花火玉を割り、星を遠くへ飛ばすための火薬で、星よりも粒が小さく形成されています。星は花火玉が破裂してから、光や色・煙を出しながら飛び散る火薬の粒です。
星を作るためには、星かけ機という斜めに設置された回転釜で、菜種などの芯のまわりに火薬を少しずつ付けていきます。なんだか金平糖を作る作業に似ています。次に、ボール紙を固めて作った半球状の入れ物(玉皮)に外側から、星と割薬を交互に層状に詰めていき、半球分がぎっしり詰まったらそれを二つ合わせて球状にします。
花火の大きさは「号」で表現され、2号〜40号まで様々なものがあります。30号が直径90cmということは、「号」は「寸」のことですね。
打ち上げには、打ちあげ筒が用いられます。その底に打ちあげ火薬をセット、上からそろそろと花火玉を詰め、点火をしたら、打ちあげ火薬の爆発で打ち上がると同時に導火線に点火して上空に行ってから花火玉が爆発、となるわけです。
「黒玉」という業界用語も紹介されています。これは、不発弾のことです。花火師は、打ち上げの時には花火玉が割れたかどうか見ていて、割れなかったものは、花火大会終了後に必ず捜索をするそうです。残しておいたら危ないですもんねえ。
スペイン、アメリカ、イタリア、中国の花火も紹介されていますが、それぞれ個性があります。中国では花火玉の大きさは一種類で、青は使わない、というのはなぜなんだろう?
昭和半ばの花火大会は、「たまや〜」「かぎや〜」というかけ声が似合うようなゆったりしたタイミングで打ちあげられていました。連発は一番最後だけ。それが今では、迫力はありますが、なんだかやたらと「感動しろ」「感動しろ」とせっつかれているような連発だけとなっています。いや、文句を言いたいわけではありませんが、風情よりも感動の時代なんですね。