SBIが出資し、LDに壁が立ちはだかった。思えば、家電業界でも同じようなことがあった。50年前、小さな会社であったが、常に世界に先駆けて新商品を世の中に出していったSONY。今のLDとSONYはオーバーラップする。家電業界の「モルモット」とも言われた。目の前の壁を乗り越えると、知名度、大きな販売チャネルをもっている会社が、採算ベースを見極め参入し、マーケットを席巻する。プロ野球業界そして放送業界に風穴をあけた「ホリエモン」これからもがんばって欲しい。
サリン事件が起こってから10年がたった。あの日は、20数年勤めた会社を辞め、新しい会社で働き始めた初日だった。バブルがはじけ、世の中が変な状態になってきた時期でもあった。私自身にもこの10年間色んなことがあった。過ぎ去った月日は、もう戻らない。
「整理」「整頓」「清潔」「清掃」「躾」「節約」のことをいうが、物を大切にすることにつながる「節約」が今後の循環型社会に必要になってくる。「節約」と聞くと、物が無くて貧しかった時代に生まれた人は、贅沢を許されなかった幼い頃を思い起こす。高度成長期に、高品質の工業製品をつくった人にとっては商品を大切に長く使って欲しい、農業で米、野菜などをつくった人にとっては無駄なく食糧・食料として使って欲しい、料理をつくった人にとっては綺麗に残さず食べて欲しいと願うことを意味する。物を大切にすることを、本当に理解するには、そのものをつくった技術者、生産者、職人さんなどの苦労を体験することだ。やはり、日本人は「ものづくりの精神」を忘れてはいけないのだ。
1日に、コースの代表で卒業証書を授与される娘の卒業式に出席した。校長先生の卒業生に贈る言葉が、とても印象に残った。明治初期に活躍した渋沢栄一と岩崎弥太郎を例にあげて、倫理観を説明された。公共財を残した渋沢栄一、私財を残した三菱の岩崎弥太郎。今日、経済界で私利私欲に走った色々な不祥事が取りざたされているが、渋沢栄一の偉大さは、時代を経てますます輝きを放っている。なぜ、商人は士農工商の最下位に位置付けられたのか。商人は算盤(儲けること)だけを考えるのでなく、論語を学び社会的な地位向上につとめなければならないと、商人のために一橋大、共立女子大など数多くの教育施設をつくった先見性はすばらしい、ぜひ渋沢栄一のような人間になって欲しいというのが贈る言葉の主旨であった。