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福島第一原発で「石棺方式」というワードが飛び交い始めた中、乳幼児用の安定ヨウ素剤配布決定という必然。

2016-07-14 23:50:10 | 福島第一原発と放射能

まずは、苦言を呈しておきます。

あの事案に関して、大政党幹部が"ガセ"と吹聴して無視しようとしている状態だとの話を聞きました。

おそらくこの事案に関しては、僕が接触している関係者などから話を聞く作業をしないと、"ガセ"として単純に葬ることは出来るはずもありません。

現時点まで、まったくそうした作業は、その大政党側から関係者には為されていません。

事実であるのか否かをどう考えるかは、それを確かめる作業を一定程度するのかしないのかによります。

残念ながら、この大政党幹部には、最低限のチェック感覚もないようです。

思い出すことがあります。

「チェーンメールで放射線のデマ拡散」という記事で、東葛でホットスポットが発生しているという"デマ"がネットで流れていると、糾弾した内容を讀賣新聞が流したことがありました。

論外な記事です。

事実存在した放射能汚染を無視して、それを伝える動きを、事実をきちんと確認もせずに"デマ"と断定したもの。

こういうことは、本質的に悪質な話です。

内容は違いますが、今回の大政党幹部が為している対応は、まさに同じ構造に見えます。

自分たちに都合の悪い内容が聞こえても、単純に"ガセ"としてまずは葬ろうとするやり方です。

最低限の確認作業をして"ガセ"というなら、まだ理解できなくもありませんが、その最低限の作業を、その大政党が為している確認はできません。

関係者に問い合わせもありません。

自分たちの大きな枠組みの政治運動を、大崩壊するリスクを認識していないことに愕然とします。

そしてそもそもの人物も、実はそうした多大な悪影響をまわりに及ぼす可能性を考慮しない人格というふうに、僕からは更に見えています。

放射能メトロポリタンは、"劣化"では済まない状態になっているということです。


さて、そうした時に、放射能関連で特徴的なニュースが飛び交い始めました。

「石棺方式」というワードです。

原子力損害賠償・廃炉等支援機構から福島第一原発の廃炉に関する「技術戦略プラン 2016」という 配布資料にこういう記載がありました。

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なお、チェルノブイリ原子力発電所4号機の事故に対して取られた、通称”石棺方式”の適用は、 原子炉建屋の補強などによる当面の閉じ込め確保に効果があるとしても、長期にわたる安全管理 が困難である。したがって、現時点においては燃料デブリの取り出しによる中長期のリスク低減 に取り組むこととし、今後明らかになる内部状況に応じて柔軟に見直しを図ることが適切である。 その際、長期的な責任継承に関する不確実性や世代間での安易な先送り等に対する懸念を十分に踏まえることが求められる。

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普通の話です。しかし、現在の廃炉作業への疑問から、おそらくは閉じ込める以外の方法はないかもしれないという意識に対する文書。

勿論否定はしています。しかし、否定しながらもこうしたワードが出てきている感覚は、注意すべき話と思います。

反響にあわてて、原子力損害賠償・廃炉等支援機構はきょうこうした声明も出しました。

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技術戦略プラン 2016 における「通称“石棺方式”」に関する報道について

2016 年 7 月 14 日 原子力損害賠償・廃炉等支援機構

 昨日公表された技術戦略プラン 2016 について、弊機構において通称“石棺 方式”を検討しているとの報道がありました。これは事実と異なり、誤解と御心配をお 掛けしたことをお詫び申し上げます。 通称“石棺方式”についての記述は、近年、「なぜデブリを取出す必要がある のか」「石棺という方法もあるのではないか」といった御質問を受けることがあったこと から、地元の皆様の不安を解消する観点から、通称”石棺方式“の問題点について弊機構の見解を示すため記載したものです。

 戦略プラン 2016 概要版 8P に記載しているように、燃料デブリについては、中 期的視点からのリスクと長期的視点からのリスクとの双方を考慮する必要があると考 えています。 中期的視点からのリスクとは、現在維持されている一定の安定状態からの 逸脱が生じるリスクであり、長期的視点からのリスクとは核燃料物質が将来的に環境 中に漏洩するリスクです。 通称“石棺方式”は、中期的リスクの低減に効果がある場合があっても、長 期的リスクの低減には限界があり、避けるべきであると考えております。

 廃炉に当た って長期的リスクを放置することは考えられないことから、通称“石棺方式”を検討し ている事実はなく、また、燃料デブリについては取出すことを前提に技術的な検討を 行っているところです。 記述のなかで、「今後明らかになる内部状況に応じて柔軟に見直しを図るこ とが適切である」との記載が、通称“石棺方式”を検討しているとの誤解を生じさせた ものと思われます。燃料デブリの取出しにおいては、取出しの作業と周辺の調査とが 一体となって繰り返されることを想定しており、上記の記述は、一般論として、内部状況に応じた柔軟な技術的判断と不断の戦略見直しが必要であることについて説明したものです。

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 これを読んでも、チェルノブイリ「石棺方式」という方法論も、今後想定されるケースの中にはありうるのだろうという感覚は更に強まるだけですが。

 「石棺方式」に問題があることは常識ですが、追い詰められたらそんなことも言っていられるのかどうかということです。

 さて、廃炉に向けてこんな状態が展開している中、別の観点での放射能関連情報も同日にありました。

それは、安定ヨウ素剤を乳幼児用に配布するということです。原発から30キロ圏内の全国自治体へ、乳幼児向けの安定ヨウ素剤を内閣府が配備すると発表しました。

およそ30万人分で、ゼリー状のもの。今年は、自治体配備目的しか製造しないとメーカーは伝えています。

製造元になる日医工HPより。


勿論、配備したほうが望ましいことは言うまでもありません。

しかし、そうした配備をする背景には、何が何でも再稼動するという日本政府の強い意思がわかります。

どうしても原発と一蓮托生の国家運営をするので、万が一漏れたら、小さい子にはゼリーで安定ヨウソ剤飲ませてねという話になります。

危険と背中合わせに生きろと国家が示唆する話です。

こうした乳幼児へ安定ヨウ素剤ゼリー配布話が、「石棺方式」というワードと、軌を一にするかのように聞こえてきている。

これは、偶然でなく、ある種の必然であると僕は思っています。

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