http://www.nature.com/articles/srep29901
有名な科学誌「ネイチャー」系にオンライン科学誌「Scientific Reports」があります。
ここに興味深い論文が公開されました。
アメリカのフロリダ州立大学、マイケル・デルプ(Michael Delp)教授らによるものです。
月面に行ったアポロ計画の宇宙飛行士、更に地球軌道上の低空しか飛ばなかった宇宙飛行士、そして飛ぶことがなかった宇宙飛行士、この三つの群に所属する人々の間で、どういう違いが出ているのかということです。
特に、死亡原因として。
この話は母数が数十人ずつしか人が存在しませんから、あくまで参考的な話ではあると思います。
サンプルが少ないから、どうしても致し方ありません。
勿論、宇宙空間で放射線を外部線量として被曝していることのリスクによる変化があるのかないのかということを想定している話です。
その結果としてがんなどの死亡率には変化がありませんでした。
しかし、ある部位の疾患にだけ、特徴的な結果が出ています。
アポロ月面宇宙飛行士に心血管疾患に基づく死亡者数を見たときには、飛行しなかった宇宙飛行士の群に比べて、およそ5倍であったということです。
また地球軌道上の低空しか飛行しなかった宇宙飛行士に比べても、心臓や血管の疾患は4倍も高かったということです。
三田医師とも之について話しました。
「論文は簡単にしか読んでいないけれど、いろんな条件付けをしていて、死にいたることに大きな因子が何になるのかを割り出そうとしている。特に心血管疾患による死亡率がアポロ月面飛行士だけ数倍となったことは、論文の書いている通りに、放射線影響が強いと考えるのは、理に適った話と思いますよ。」
放射性物質の影響が、心臓に危険が及ぶと言ったのは、バンダジェフスキー博士でした。これは放射性物質を体内に取り込むことによるリスクの指摘を、チェルノブイリ後の研究で突き止めたものです。
今回は、強い放射線を外部から浴びた場合の危険がどこまであるのか、そうした話です。
興味深い判断材料が論文として、被曝国の日本人にとって重要な要素として提示されたということになると僕は思います。
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