私は、汚染地の意識は大丈夫かと、また思う話です。
まず、藤沢市で学校給食課元主幹の女性(61)が遊興費などに使うため、2011年以降に、給食費を6400万円も使い込んだそうです。
http://news.livedoor.com/article/detail/11781984/
まあ、こうした横領や使い込みはよくありますから、驚く話ではありません。
しかし、そうした横領をした理由と、この女が言い出す話はビックリします。
「放射能汚染で食材問い合わせが増えて疲れたから、横領に手を染めた」と話しているそうです。
これは、論理的にはよくわかりません。
問い合わせが多くなり、ストレスが生じて、使い込んだと言いたいのかもしれませんが、論理的に繋がっていません。
論理的につながっていない、こうした話をこの横領役人がどうして言い出すのか。
これは業務が増えたことだけでなく、こうした理由を言い出せば少しは許してもらえるかもという感覚があるような気がしています。
はっきり書きます。
「給食の食材を問いあせてくるような、おかしな人たちの対応で大変だったから、私もおかしくなって横領してしまったから、少しは許して」と言いたいような感覚にしか思えません。
しかし、普通に考えたら、こうした問い合わせが増えただけで、数千万円も横領してよい論理は何も有得ません。
それでもこうした言い訳を話し出し、その言い訳を市役所がわざわざ外に伝えている構図。
市役所がマスコミに明かす話は、彼等の中で伝えたいことを伝えることでしかありません。
そうすると給食費を6000万円横領したことより、放射能問い合わせが相次いで疲弊したと女が言い出していることのほうが、伝えるほうがさらによいと市役所も無意識に判断しているとも言えます。
そして、メディアも同じ感覚の枠内にいる状態。
これは、三者とも、放射能懸念で給食食材を問い合わせる人々への、潜在的な差別意識があると普通に読み取れるのです。
だっておかしいですよ。本来なら、「業務が忙しくなり、ストレスがたまって、横領した」程度の供述で書くのが、普通の原稿です。抽象的に。
よほど特異な事情が背景になってストレスがあり、それで犯行に手を染めたという文脈で具体的に内容を明示するケースは、実はこうした横領を題材とするような原稿では稀なんです。
そんなストレス的な理由は、横領する輩の適当な言い訳に過ぎませんから。
特異な事情だと客観的に承認される状態の時に書くのです。
でも、そうした稀な原稿がわざわざ出稿されています。テレビの放送原稿として。ピンポイントで。
これは、「放射能懸念で食材を問い合わせる人々がおかしい」という意識をベースに考えている状態としか僕には思えません。
こういうことが、横領した女⇒市役所⇒マスコミの三者間で無意識に共有されて伝えられ続けている状態を、僕はものすごく違和感を感じています。
要は、給食費を何年にもわたって6000万円も横領した輩が他に無理矢理原因を擦り付けている話を、そのまま構造的には肯定して聞いていて、そうした肯定感覚が露骨に放送原稿まで展開しているのです。
これは三者とも、被爆回避感覚への排除意識がもともと共有化している状態があるからでしょうし、汚染地が実は根幹からおかしくなりつつあることの証左の一つではないかと僕は思います。
この原稿の異常さに気がつかない貴女。それは、絶望です。
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