俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

変化対応

2008-01-18 15:08:35 | Weblog
 生存が困難になるほど環境が変化した場合、動物には次の4つの選択肢がある。①滅ぶ②移動する③自分を変える④環境を変える。
 人間も動物の1種だから同じような選択肢から選ぶことになる。「移動」の例としては、寒冷期には南下しただろうし、水位が上がれば高地に逃げただろう。「自分を変える」例としては、新モンゴロイドの寒冷適応のように肉体を変えるだけではなく、衣服や各種の道具を開発するという方法もある。「環境を変える」のは人間だけに可能な選択肢だが、環境を変えればそれが招く恐ろしい副作用も覚悟せねばならない。むしろ破壊してしまった環境を修復することに力を注ぐべきだろう。
 あるビジネスが時代にそぐわなくなった場合も同じような選択肢で考えざるを得ない。人件費やインフラの高騰に音を上げて東北地方や海外に工場を移転するのは「移動」という戦略であり、高付加価値の商品に的を絞ったり松下電器のように社名を変えるのは「自分を変える」という戦略だ。インターネットを使ったビジネスなどのように新たに市場そのものを作り出すのは「環境を変える」という戦略に該当するだろう。

空騒ぎ

2008-01-18 14:55:10 | Weblog
 マスコミが鳥インフルエンザの恐怖について騒ぎ立てている。「鳥インフルエンザが突然変異を起こして人から人に感染するようになれば、誰も免疫を持っていないので大流行して大勢の人が死ぬ」と。
 しかしこの話は「突然変異を起こす」ことが大前提になっている。突然変異を起こさなければ鳥だけに感染するインフルエンザでしかない。そんな劇的な変異を警戒するよりは人インフルエンザをもっと警戒したほうが良い。人インフルエンザは既に人から人へと感染する性質を持っている。しかもいつも同じではなくしょっちゅう変異している。新型・人インフルエンザに対しては誰も免疫を持っていないから大感染になる恐れがある。鳥インフルエンザが人に感染するウィルスに変異する可能性よりも、人インフルエンザが更に危険なウィルスに変異する可能性のほうがずっと高い。
 別に他の動物を経由せずとも病原体が変異することは病原性大腸菌O-157の例を思い出せば分かることだ。鳥の病気について騒ぎ立てるよりは人間の既存の病気をもっと警戒すべきだ。鳥インフルエンザについて騒ぎ立てる人は何か口に出せない別の目的を持っているように思えてならない。

慣れ

2008-01-18 14:42:12 | Weblog
 人間は適応力の高い動物なので大抵のことに慣れてしまう。自由を満喫していた大学生がサラリーマンになるや否や周囲に合わせて一日中働くように朱に交わればすぐに赤くなる。
 その一方で人間は環境の変化を嫌う動物でもある。仕事の段取りを変えようとすればベテランから猛反発を食らうし、個人の悪い習慣を改めさせるのも難しい。
 一挙に変えようとせずジワジワと内側からなし崩しにするのがコツだろう。違和感を感じさせない程度に変えて行けばそのうち馴染んでしまう。
 ところで昨今、頻繁に親殺しが報道されているが、こんな報道は自粛したほうが良いと思う。決して言論統制をしたい訳ではないが、親殺しのニュースに慣れてこれを異常と感じなくなることが怖い。八戸の3人殺しは母の酔っ払い振りが、京田辺の斧での父親殺しは浮気が嫌だったからだと言われている。酔っ払いや浮気は殺害に値する罪だろうか。子供は親から逃げ出せないという特殊事情があるとは言え、不快なものは退治するということは余りにも安易な打開策ではないだろうか。

奇妙な偽装事件

2008-01-18 14:30:24 | Weblog
 年が変われば世の中も変わるものなのだろうか、今年になってから奇妙な偽装事件が発覚した。古紙配合率の偽装だ。不気味なのは古紙配合率が「低い」という偽装であることだ。これは言わば新米・古米のミックス米で新米の比率を高めるようなもので、昨年流行った安物を混ぜるのとは逆に新しいものを古いものに混ぜる偽装だ。なぜこんな変な偽装が起こるのか?
 この新聞記事を読んでこんな寓話を思いついた。
 国が音頭を取って「腐りかけた卵を無駄にせずに食べよう」というキャンペーンを始めた。食品メーカーは大量の防腐剤と薬品を加えて加工卵を開発した。しかし腐りかけた卵だけを材料にした加工卵は不味いので新鮮な卵も添加した。このことが発覚して国は「偽装だ」と怒った。
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 再生紙が過大評価されているせいだ。決して環境に優しくない再生紙を国とマスコミがグルになってまるで救世主のように祭り上げているせいだ。
 本来の再生紙は汚く、破れ易く、品質がバラバラなものだ。印刷物として使用に耐える再生紙は薬品で厚化粧させたものでしかない。そんな再生紙に一層の品質向上を求めるからこんな馬鹿馬鹿しい偽装が起こる。誤った常識が定着していてマスコミも自治体もそれを訂正せず、むしろそれに便乗してイメージアップを図ろうとするからこんな変な事件が起こる。
 環境問題では3つのRが重要視されている。reduce reuse recycleがそれだ。私はreduce(減少させる)が最も重要だと考えているが、日本ではどいう訳かリサイクルに走りたがる。リサイクルが必ずしも環境のために良くないという意見は黙殺され、リサイクルの可能性さえあれば無駄遣いも許されているのが現状だ。