俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

外風呂

2008-01-22 15:19:17 | Weblog
 私が子供の頃は家庭風呂を内風呂、銭湯を外風呂と呼んでいたが、最近では外風呂とは露天風呂を指すようになっているようだ。何しろ家庭風呂の普及率は96%だということだから、風呂と言えば家庭風呂のことであり、銭湯は風呂と思われていないのだろう。風呂の無い家庭が僅か4%ということは、生活保護を受けている家庭(11%)と比べても遥かに少なく、家庭風呂はもはや国民にとって当たり前の施設となっている。
 しかし各家庭に風呂があるということは必ずしも合理的とは思えない。家庭での熱エネルギー消費量の33%が給湯に使われ、水使用量の32%が風呂に使われているというデータを見て異常だと驚くのは私だけだろうか?
 当然の話だが、風呂は風呂としてしか使えない。まれに死体をバラバラにするためにも使われるが、それは超レアなケースであって、せいぜい一人1日1回しか使わない。特に一人暮らしの家庭風呂は問題が多い。一番風呂は危険だと言うが一人暮らしなら毎日一番風呂に入らねばならないし、もし水を惜しんで何度も使えばレジオネラ菌が繁殖しそうだ。
 もし風呂をなくせば1部屋増やせるか、1部屋分取得価格または家賃が安くなる。家庭風呂はそれほどの犠牲に値する施設なのだろうか。仮に日本に銭湯という施設が無ければ各家庭が風呂を備えねばならないだろうが、せっかく銭湯という半公共的な施設があるのだから、各家庭が風呂を持つことは大変な無駄遣いではないだろうか。
 銭湯は徐々に減りつつあり、今のうちに保存を図らねば壊滅してしまいかねない。わずか1・2人のために風呂を沸かすのは止めて銭湯を利用すればどれだけ省エネになることだろう。
 都市での移動手段が自動車から電車に移行するように、地価の高い都市でこそ家庭風呂を止めて銭湯利用に切り替えるべきではないだろうか。

死ぬべからず

2008-01-22 14:59:38 | Weblog
 今月11日の「責任転嫁」で「車内で眠るべからず」というニューヨーク市の規則を紹介したがそれ以上に呆れた法律がある。フランスのル・バランドー町で出された「死ぬべからず」がそれだ。墓地が足りなくなったためにこんな法律(条令?)が作られたらしい。誰かが死んでも埋葬する場所が無ければ町が責任を問われるが、こんな法律を定めておけば「死んだほうが悪い」と突っぱねることができる。
 変な法律の本場はシンガポールだろう。シンガポールは中国系77%、マレー系14%、インド系8%の複合民族国家のためそれぞれの民族の悪癖を法律で禁止している。主な変な法律は次のとおり。
・エレベーター内で放尿してはならない。
・トイレ使用後は水を流さねばならない。
・チューインガムの製造・販売・広告を禁ず。
・ボウフラを発生させてはならない。
・鳥や野良猫に餌をやってはならない。
・痰を吐いてはならない。
 シンガポールはfine countryと呼ばれている。このfineは「快適な」という意味と「罰金」という意味を兼ねている。
 本来モラルとして守るべきことを法律にして罰則を設けねば守れないということが何とも情けない話だ。いや、他の国を笑ってばかりではいられない。日本も徐々に同じような情けない国に変わりつつある。

地球に優しい容器

2008-01-22 14:43:07 | Weblog
 壜と缶とペットボトルと紙の4つを飲料の容器として比較した場合、どれが環境に対する負荷が小さいだろうか?
 多くの人は壜と考えるだろう。壜は洗うだけでリユースできるが、缶やペットボトルはリサイクルする必要があり、紙は使い捨てになると多くの人は考えるだろう。
 しかし単に消費の段階だけではなく、もっと総合的に負荷の大小を検討する必要がある。製造段階・流通段階・再生段階も含めて考えるなら、紙が最も地球に優しいように思われる。
[製造段階]
 金属を使う缶が多分最も多くエネルギーを使い、化学合成されるペットボトルが次に多く、紙が最も少ないと思われる。
[流通段階]
 壜が最も重いので多くのエネルギーを無駄遣いしていると思われる。紙が一番軽いので省エネになっているだろう。
[再生段階]
 壜は洗うだけで再利用できるので環境に良さそうだが、洗浄に使う薬品や洗浄工場への運搬も考慮すれば必ずしも理想的ではない。缶やペットボトルは再生するためにかなりのエネルギーが必要だ。結局、燃えるゴミにしかならず自然分解する紙が最も環境への負荷が小さそうだ。
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 もし使用済みの紙をエネルギーとして利用するならバイオエタノールより遥かにエコロジカルなエネルギーになる。木材から紙を作って使用済みの紙をエネルギーとして活用するのだから、一度紙として利用している分、木材を乾かしてエネルギーにするよりも資源を有効にフル活用していると言えよう。
 使用済みの紙は再生紙にするよりエネルギーとしたほうがずっと合理的だと思われる。同じようにペットボトルもリサイクルするよりは燃料にしたほうが合理的ではないだろうか?