俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

チンパンジー

2012-04-27 14:51:33 | Weblog
 ゴリラのハーレム制は割とよく知られている。体が大きくて力も強いオスが多数のメスを囲い込む。こうすることによってゴリラという種は大きく強くなるという方向に進化した。これは進化論の種族内淘汰を説明するためには便利な実例だ。
 チンパンジーは乱婚制だ。発情期を迎えたメスは多数のオスと交尾する。そのために誰が父親なのか全く分らなくなる。人類はこの乱婚制を軽蔑する。西洋文明圏が支持する一夫一妻制とは余りにも懸け離れているからだ。しかし人類に最も近い動物が採用しているこのシステムはもっと評価されて然るべきだろう。
 どこが素晴らしいのか?子供が群の子として育てられるからだ。母親は特定できるが、父親が誰かは分らない。誰の子か分からなければ父無し子とされるのが人間社会だが、チンパンジーの社会では群の子として育てられる。母親と一度でも交尾したオスは勿論のこと、全く交尾できなかったオスまでもが父親として子供の面倒を見る。
 日本ではシングルマザーの生活は苦しい。大半が生活保護が必要なレベルの収入しか得られない。大阪の風俗嬢が2人の子供を餓死させて有罪判決を受けたが、チンパンジーの社会ではこんなことは起こらない。総てのオスが子供の面倒を見るからだ。子ども手当や児童手当などとは全然レベルが違う究極の児童福祉社会と言えよう。妻が夫の所有物でないように子供は親の所有物ではない。子育ての仕組みに関しては人類の社会はチンパンジーの社会よりも劣っている。

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