俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

減反政策

2009-09-22 17:41:23 | Weblog
 食料の生産を制限している国は多分世界中で日本だけだろう。世界中で食料が不足してどこの国でも生産力強化のために補助金を出している中で、日本だけはわざわざ米の生産を抑制するために補助金を出している。信じられないほど馬鹿馬鹿しい話だ。
 世界に類を見ない減反政策の目的は価格の維持だ。米を高値安定させるために生産量を抑えている。その結果として日本人は世界一高い米を食べざるを得ない。
 これは「ノー政」と揶揄された食管制度の歪みが現在にまで及んでいるせいだが、過去の失政を非難しても仕方がない。コロンブスの卵のような発想の転換で米の増産と農家・消費者の利益の両立を考えるべきだろう。
 私の本音は大規模農家の育成による米の生産コストの軽減だが、こんなことが一朝一夕にできるものではない。また大規模農家が生まれたら小規模農家は駆逐されてしまうだろう。
 食料自給率が僅か40%の国は国内農産物の生産と消費を奨励する必要がある。そのために、例えば米の消費税をゼロあるいはマイナスにすることも検討して良かろう。国内での米の消費量が増えれば減反する必要は無くなるし消費者にもメリットがある。米の消費が増えれば輸入に依存する小麦の消費量は減るだろう。
 食料を輸入に頼ることはかなりリスキーなことだ。需給のバランスが少し崩れれば価格は乱高下する。買うほうが偉いと思い込んで「買ってやる」というスタンスでいると思わぬ「売り渋り」に会いかねない。
 仮に穀物生産高の2割を輸出している国が天候不順のために1割減産になったら輸出量はどうなるだろうか。1割減ではない。5割減る。
 この国の生産高を100万tとするなら輸出は20万tだ。生産量が90万tに減れば、特殊な独裁国家以外は自国民の生活を優先するのが当然だから、輸出量は10万tに減る。輸入に頼ることはこれほど天候に振り回される危険な行為だ。

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