俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

知恵と知識(2)

2009-06-30 17:03:23 | Weblog
 ボクサーは普段、試合の体重より遥かに重い体重で生活して、試合前に急激に絞り込む。これは彼らの怠慢や不摂生を意味しているだろうか。
 私はこれを非常に合理的なやり方だと思っている。体重が増えれば贅肉だけではなく筋肉も増える。筋肉も贅肉も増やしてから絞り込めば確実に筋力強化に繋がる。
 そもそも人間の体は短期間で必要なものを身に着けられるような仕組みにはできていない。水や食事でさえ徐々に補給するしかない。一度に3日分の栄養を補給しようとしたら多分腹を壊すだろう。必要なものは徐々に溜め込むしかない。
 服や化粧なら簡単に取替えられるが生身の肉体を改善することは難しい。それが困難だから服や化粧のような虚飾の技術ばかり高まるのだろう。
 知識についても同じことが言える。無駄と思える知識も溜め込んで、そこから必要な知識を繋ぎ合わせなければ優れた知恵にはならない。
 一挙に知識を詰め込んでも消化不良を起こす。知識は毎日コンスタントに身につけて行ってこそ知恵のレベルにまで高まり得る有意義な知識になる。忘れることを恐れずに貪欲に補充することが必要だ。
 勿論、溜め込むだけではなく自らの力で考えなければ知識は知識のままで知恵のレベルまで高まることは無い。

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