俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

雄ライオン

2013-07-06 14:02:08 | Weblog
 雄ライオンは働かない。育児も狩りも雌に任せて一日中ゴロゴロしている。まるでヒモか退職後の夫のようだ。どうしてこんな変な役割分担になっているのだろうか。
 子連れの雌ライオンは過酷な生活を強いられる。雄ライオンに襲われるからだ。育児中の雌ライオンは発情しないから雄ライオンはまず子供を殺す。それから交尾を迫る。
 我が子を殺した憎き敵と仲良くするなど人類ならあり得ないことだがそこは畜生の悲しさで、子供が殺されたとは理解せず単に死んだと捉えられる。子供がいなくなれば雌ライオンは発情する。
 しかしこれは何とも無駄の多い仕組みだ。せっかく腹を痛めて産んだ子供が雄ライオンに殺されてしまうことなど何とかして阻止すべきだろう。その解決策は、交尾した相手に付いて行くということだ。こうしてファミリーを作れば子供の安全が守られる。これはたまたまそういう性質の雌がいて、その性質を受け継いだ者だけが生き残ったのだろう。
 こんな経緯でファミリーが作られるのだから雄の役割は最小限になる。流れ雄ライオンから子供と雌を守りさえすれば雄としての役割を全うできる。雌も元々それ以上のことなど期待していない。
 ゴリラの生態についてはよく知らないが、多分同じような経緯があるのではないだろうか。ゴリラにも連れ子殺しが見られるからだ。こうして雄ゴリラはハーレムを作る。
 人類は連れ子殺しなどしないから同じようなことは起こらない。しかしシングルマザーが悲惨な境遇に陥り易いということではライオンやゴリラと同じだ。彼らよりも賢い人類は、当然それを防止するためにもっと上手い手を考え出す。それが一夫一妻制だ。

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