俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

世襲の公務員

2010-07-30 14:27:59 | Weblog
 意外と知られていない話だが、郵便局の80%が特定郵便局だ。特定郵便局の局長は世襲されている。
 日本郵政グループは一応民間企業の形を取っているが実際には国有企業であり、日本新党主導の郵政改革が実施されれば完全に国営事業に戻る。
 特定郵便局という制度は郵便事業の創業時に生まれた。前島密が国営の郵便事業を始めようとした時、鎌倉時代から続いてていた民間事業の飛脚と競わねばならなかった。資産が充分とは言えない明治政府は各地の有力者と手を組んで特定郵便局を設けて郵便局網を築いた。今で言えばボランタリーチェーンのような仕組みだ。
 こうして国は郵便事業を独占し、様々な法律を定めて郵便局を保護して民間企業が参入できないようにした。特定郵便局長という地位のメリットはかなり大きいようで特定郵便局が閉鎖されたという例は殆ど無い。
 この仕組みが明治以来、現在も続いており訳の分からない「世襲の公務員」となっている。亀井静香氏の支持団体である全国郵便局長会(略称:全特)とはこの特定郵便局長による全国組織だ。正式名称と略称が連動しない組織は極めて異例だ。タテマエとホンネのギャップがこの名称にも表れているのだろう。
 郵政民営化の狙いの1つとして特定郵便局制度の見直しがあった筈だが、どういう訳かマスコミは口をつぐんでいる。

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